4.幼馴染み、というもの。
あとがきの新作もよろしくです。
「ところで、リリアナ? 一ついいかしら」
「はい、どうされました?」
小石を全力投擲してから、アリアはふと王女に声をかける。
リリアナはどうしたのかと首を傾げながら、エルフ少女の言葉の続きを待った。しばしの間を置いて、アリアは心なし声を小さくしながら言う。
「あっちでバカの怪我を治してる男、貴女の幼馴染みなのよね?」
「えぇ、そうですね」
示された方を見ると、リリアナの幼馴染みことクレオはキーンに治癒術を施していた。思ったよりも完璧な一撃を喰らったのか、なかなかに大量の鼻血が流れている。
その様子を確認してから、王女はアリアに向き直った。
すると、エルフの少女はまた声を詰まらせる。
「あ、あの……」
何やら赤面しているが、いったいどうしたのだろう。
リリアナがまた不思議に思って首を傾げていると、アリアは――。
「ねぇ、幼馴染みの男って……さ?」
「……はい」
「ど、どんなプレゼントをあげると良いのかしら?」
「………………はい?」
思わぬ方向から問いかけを投げてきた。
しばしの沈黙の後、キーンの幼馴染みは慌ててこう叫ぶ。
「ち、違うからね!? た、ただあのバカの誕生日が近いから!!」
それを聞いて、王女はようやく事情を察した。
そして思わず吹き出して、笑ってしまう。
「あははっ!」
「わ、笑わないで!? いいから答えなさい!!」
「あ! ごめんなさい、馬鹿にするつもりはないのです」
とは答えつつ、まだリリアナは笑っていたが。
「い、いいじゃない! まったく、もう……!」
それに対してアリアは、少し拗ねてしまったらしい。
頬を膨らせて子供っぽい仕草で、髪の先をいじっていた。リリアナはそんな彼女を見て、ゆっくりと呼吸を整える。そして、微笑みながら言うのだった。
「大切な方からのものなら、なんでも嬉しいと思いますよ?」――と。
それを聞いて、アリアはきょとんとした表情に。
だが、すぐに納得したように頷いた。
「そ、そうよね!! このアタシが選ぶのだもの!!」
そして意気揚々。
ころころと表情を変えるのだった。そして、
「あれ? でも、それって――」
なにかに気付いたのか。
リリアナの方を見て、こう訊ねるのだった。
「もしかして、貴女がそうだから……なの?」
「あ……」
リリアナはその指摘を受けて、ふと我に返る。
ちらりとクレオの姿を見た。そして、
「そ、そうかもしれませんね……!」
ほとんど無意識だったことに気付き、自身も頬を赤らめるのだった。
https://ncode.syosetu.com/n0801kv/
新作ラブコメです!
面白い、続きが気になる、更新頑張れ!
もしそう思っていただけたらブックマーク、気軽に★で評価など。
応援よろしくお願いいたします!!




