3.外から見たキーンとアリア。
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「あの、さ……キーン?」
「……はい、なんでしょう。クレオさん」
エルフの村があるという森に足を踏み入れてしばらく。
ボクは最後尾をトボトボとついてきているキーンのもとへ向かい、抑え気味な声で訊ねた。
「改めて確認なんだけど、アリアさんはキミの幼馴染み、なんだよね?」
すると彼は、酷くやつれた表情で頷く。
そして沈んだ声色で、このように説明を始めるのだった。
「はい……彼女はエルフの村、そこの長老の娘なんです。私とは生まれた頃からずっと一緒にいて、幼馴染みといって間違いありません」
「それにしては、なんというか……こう……」
「あー……言いたいことは、何となく分かります。クレオさんとリリアナ王女の関係とは、まるで違いますからね」
「…………うん」
言いにくそうにしているのを察してくれたのか、キーンは苦笑して言う。
前を見ると、自慢げに話すアリアさんの姿があった。その隣には、心の中では何を考えているのか分からないリリアナが、笑顔で頷いていた。
どうやらまだ、彼女が王女であるということはバレていないらしい。
もっともバレても対応が変わるかは疑問だが、少なくとも王族は邪険に扱われないはずだった。
そこまで考えてから、ボクは頭の中をいまの話題に戻す。
たしかに一口に幼馴染みといっても、関係は色々だと思うのだけど……。
「なんというか、もはや熟年夫婦のように見えるよ……?」
「私はアリアに物心ついた頃から、尻に敷かれていましたから。そのように見えて当然、ですかね。……幼少期からの関係というのは、なかなかどうして難しいですよ」
「……なるほど、ね」
ボクはキーンの言葉を聞いて、思わず苦笑いした。
たしかに、自分とリリアナの関係を思い起こしても大差ないように思う。幼い頃の関係というのは、ありがたい反面で難しいのは、こちらだってよく理解できていた。
しかし、どうしてだろう……。
「だけど、アリアさんはどこか――」
ボクは素直に、思ったことを口にする。
「キーンのことを見て、とても嬉しそうにしてたように思うよ?」――と。
真っ先に殴ったのは、もしかしたら愛情の裏返しなのではないか。
そう思ったのは、彼女がそれだけキーンに対して真っすぐに、真剣に気持ちを向けていたから。簡単にいえば、言葉にしないとしてもそれだけ彼のことを心配していた、ということだ。
ボクが感じただけで、実際は違うのかもしれない。
ただ、当のキーンの考え方は異なるようで――。
「えー……アレはきっと、ストレスの捌け口がなかったからですよ」
心の底から面倒くさそうに言った。
すると、その直後に――。
「あが!?」
「何かいま、アタシの悪口が聞こえた気がした」
「………………」
前方から、アリアさんが小石を全力投球。
それは見事にキーンの鼻っ面を捉え、彼は撃沈した。
「……まぁ、色々だよね。あはは」
もしかしたら、本当にボクの勘違いかもしれない。
そう思うことにして、とりあえずキーンに治癒術を施すのだった。
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