2.アリアという少女。
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「えっと……確認するけど、キミはキーンの幼馴染み、なんだね?」
「人間如きが高潔たるエルフのアタシに、軽々しく口を利かないでくれる?」
「………………」
ボクはキーンを殴り続けるアリアという少女を彼から引き離し、その最中に出てきた言葉を繋ぎ合わせて対話を試みる。すると彼女は、まるでゴミを見るかのような眼差しをこちらに向けてきた。どうやら人間とエルフの関係について、かなり強烈な思想を持っていそうだ。
銀色の長い髪に、蒼の瞳。
そしてスラリとした身体つきは、伝承に出てくる古来のエルフそのもの。しかしながら、どこかキツイ印象を受ける視線によって、近寄りがたさを生んでしまっていた。
ボクは思わず苦笑して頬を掻きつつ、どうしたものかと悩んでしまう。
すると、率先して前に出る人物がいた。
「お初にお目にかかります、アリア様。私の名は、リリアナと申します」
ボクの幼馴染みであり、王女のリリアナだ。
彼女は表情を一つも崩さずに、恭しく頭を垂れると片膝をついてみせる。その所作はさすがとしか言いようがないのだが、身分を知っている手前、どこか肝が冷えてしまった。
そして、それを知らないアリアは――。
「あら、人間風情にも話ができそうな子がいるじゃない」
「お声を拝聴する機会をいただき、ありがたき幸せです。アリア様」
「うふふ、悪くないわ。貴女――」
どこか気が大きくなっているらしく、腕を組んで胸を張って笑っていた。
周囲の寒気を覚える様子など、気にもならないらしい。アリアはリリアナに対して、頭を上げるように告げると、次に顎で立つように命じた。
その上で、王女の全身を舐め回すように見て言うのだ。
「その気があれば、アタシの従者になる? パパに話を通してあげる」
「う、うわぁ……」
小さく笑みを浮かべ、リリアナの顎に指を這わせながら。
そんな様子を目の当たりにして、ボクは思わずそんな声を漏らしてしまった。するとアリアは声に気付いたのか、思い切り眉間に皺を寄せて睨んでくる。
そして、鼻面が当たりそうな距離までボクに接近して釘を刺してきた。
「貴方は気に食わないわ。奴隷にこそ相応しいけど、どうやらそこの子の友人らしいし、最低限の食事くらいは用意してあげる」
「あ、はい……」
「それでも破格の条件であること、肝に銘じないさい」
「……う、うん」
ボクが小さく頷くと、どうやら納得したらしい。
キーンの方を振り返ったアリアは、改めてこう宣言するのだった。
「王都から使者がくることは報せを受けているわ。……不服だけど、パパが受け入れると言っているのだから、招き入れてあげる。ただし――」
キーンを指さしながら。
「そこのバカはもう二度と、王都に返さないから!!」――と。
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