9.九死に一生を得たかと思ったのに。
コメディパートって、難しいよね。
新作ローファンタジーも、あとがきからよろしくです。
「大変ですわ、クレオの意識が戻りません!」
「マリン、早く治癒術を!?」
泡を吹いて倒れたクレオの肩を掴んで、ガクガクと揺さぶるマリン。
その都度に少年は眼球をグルグルと回しているのだが、聖女と王女にはそれを確かめる余裕はない様子だった。それどころか、治癒術を使えば何とかなるだろう、とさえ考えている。
問題はそこではない、というのは忠告しても意味ないだろうが。
「しかし、いったいどこが駄目になっているのか分かりませんわ」
そんなの食道から腹部にかけてだろ。
誰もがそんなツッコミをいれかけたが、誰も目の敵にされたくないのでグッと呑み込んだ。そして手当たり次第にクレオの回復を試みる二人を見て、少年の境遇を憐れむのだった。
そうして、二人が悪戦苦闘すること十数分。
さすがに、逝ったか。
誰もがそう思った瞬間、クレオは薄っすらと目を開けるのだった。
「ん、んうぅ……?」
「あぁ! よかったですわ、クレオ!!」
「えぇ、そうですね。それでは――」
誰もが安堵した。
その次の瞬間だった。
「それでは、私の料理を試食してくださいね?」
悪魔が現れたのは。
「…………え?」
「だって、マリンだけなんて不平等でしょう?」
「それはそう、だけ――ぐふ!」
リリアナは満面の笑みで、暗黒物質をクレオの口に放り込んだ。
すると、一瞬だけ彼は目を見開くと――。
「……………」
「あら、また昇天してしまいましたわね?」
あぁ、さすがに逝っただろう。
誰もがそう思い、英雄の時代から伝わる所作で彼を拝むのだった。
もっとも、リリアナとマリンの二人だけは気にもせず。
「マリン、これでは勝負の結果が分かりません!!」
「それは困りますわ!?」
何故かこういう時だけ意気投合し、またも治癒術を行使するのだった……。
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