7.錯綜。
過去話だからこそ、彼が出てきてる(忘れられてそうだけど
「アクア先輩、二人は成し遂げる……ですよね?」
「………………うふふ、お転婆さんたちね」
「冷や汗すごいですよ」
審査員席に座らされ――もとい拘束されているボクは、生きた心地がしていなかった。今すぐにでも逃げ出してしまいたいが、もう時すでに遅しだろう。仮にいま逃げ出そうものなら、後に二人からどのような目に遭わされるか分かったものではない。
そんなわけで、出てくるだろう料理と呼称される何かを待つ。
ただ火柱が立ち上がり、黒煙が視界を支配する中で、ボクは隣のアクア先輩に訊ねた。
「どうして、先輩はあのように言ったんですか?」
「成し遂げる、という部分かしら」
「そうです。……いま、貴方の口角は引きつってますけど」
すると、先輩は少しだけ考えてから。
「うーん……この理由は、クレオくん自身で見つけてほしいわね」
「ボク自身で、ですか……?」
そのように煙に巻くので、思わず首を傾げてしまった。
これはアクア先輩の冗談なのだろうか。それとも二人の考えや、思惑について、ボクの知らない何かがあるというのか。そう思い悩んでいると、先輩は小さく笑った。
「うふふ。優秀とは聞いているけど、まだまだ子供なのね?」
「……え?」
ボクはそれの意図がまるで分からず、呆けてしまう。
そして、訊き返そうと彼女の方を見て――。
「……い、いない!?」
先ほどまですぐ隣にいた先輩が、消えていることに気付いた。
間違いない。あの人は意味深な言葉を並べるだけ並べて、ボクの注意が散漫になったところで逃げだしたのだ。なんと狡猾な……!
「く、くそ……ボクも、逃げ……!」
こうなったらもう、命の方が大切だ。
そう思ったのだが――。
「ひえっ……!?」
何故か、頬をナイフが掠めていった。
しかもそれには、メモのようなものが付いている。
『マリンお嬢様の手料理を無碍にしたら命はない』
それを目にした瞬間、背筋が凍った。
そして、ボクは逃げ場のない空間でただ震えるのだった……。
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