4.処刑台にいるかのような。
帰って参りました。
あとがきの新作も、よろしく。
「さあ、突然に始まりました! リリアナ王女と聖女マリンの料理対決!!」
「審査員のクレオさん。いま、どのような気持ちですか!?」
「細いボロボロの吊り橋の上で、逆立ちしてる気分です……」
ボクの冷や汗をよそに、他の生徒たちはお祭り騒ぎ。
何やら賭け事を始める者もいれば、各々のファンらしい軍団がエールを送ったりしていた。いまや王都立学園の中心人物である二人の対決に、みんなして悪ノリしている。
いつの間にか設営された解説席の隣に座らされて、ボクは表情筋が凍り付いていくのを感じていた。そうしていると、見かねたらしい解説担当のアクア先輩が声をかけてくる。
「あらあら。クレオくん、顔が真っ青よ? どうしたのかしら」
「……訊かなくても、分かるでしょう」
いいや。見かねてというより、この人は面白がっている。
くすくすと口元を隠して笑っているけれど、何故か意地悪な表情が透けて見えた。アクア先輩はこの学園で最も料理の腕が高く、いずれは王宮料理長の座に就くとされている。また一番弟子のリリスも素質十分で、二人の作るそれらは舌が蕩けるほどだった。
「そんなに、なのかしら。二人とも貴方を想って作ってくださるのに」
「もしかしてですけど、最高の調味料は『愛』です……とか言うつもり、ですか? そのつもりなら、ボクから断言しますけど――」
そんな料理のことを走馬灯のように思い出しつつ。
同時にボクは、幼少期に喰らった彼女たちの料理モドキを想起するのだった。
「『愛』で美味くなるなら、料理人は不要です……!」
そして、断言する。
自分だってそんなこと、言いたくはなかった。
綺麗事だろうと、真心さえあれば良いのだと口にしたい。だけどボクは幼少期から幾度となく、文字通り血を吐くほどの辛酸を舐めてきた。時には救急治療にかかり、生死の境を彷徨ったことさえある。それほどまでに、二人の料理は劇薬なのだ。
たとえ悪人と呼ばれても良い。
外道だと、人でなしだと罵られても構わなかった。
「正直なところを言うと、今すぐ二人の調理道具から何もかもを破壊したい」
だから、ついついそんな言葉が出る。
これは決して理性によるものではなかった。むしろ、そう『生存本能』だ。
「あら、そう言うなら逃げればよろしいのでは?」
「こんな拘束具で身動き封じながら言わないでください!!」
「ふふふふ、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ」
「他人事だと思って!!」
なのに、逃げられない。
ボクは死にたくない感情と、既知の恐怖に対する涙でぐちゃぐちゃだった。情けなくも鼻水を啜るしかなく、顔を拭うことすら許されない。
自分はもう、死地に立たされている。
もしくは処刑台に首を入れている状態のようだった。
「……安心なさいな。大丈夫です」
「アクア、先輩……?」
しかし、取り乱すこちらに対して。
アクア先輩は至って平静に、こう諭すのだった。
「二人はきっと、成し遂げます」――と。
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