2.旅の最中、思いを馳せる。
ちょっと小休止的な話にシフト()
荷馬車での移動を取りやめたため、ボクたちは徒歩でエルフの森へと向かう。
しかし、それは普段旅慣れしていないミトスには、なかなかに堪える様子だった。そのため当初の予定より、幾分だが進行は遅れている。
そのこと自体に焦りはあったが、やむを得ない事情であることは分かっていた。
「今日はこのあたりで野営にしよう」
「わ、分かりました!」
ボクがそう宣言すると、ミトスは息も絶え絶えにそう答える。
他のメンバーに視線で確認すると、同意するように頷いてくれた。それでもミトスは自分の責任だと感じているらしく、ずいぶんと難しい表情を浮かべている。
それに何と声をかければ良いのか、考えていると彼はふとこう口にした。
「……あ! みなさん、今日の食事は自分が作ります!!」
そして、言うが早いか食糧を漁り始める。
ボクとリリアナ、そしてキーンは顔を見合わせ首を傾げるのだった。
◆
「……うっま! これ、あの食糧だけで作ったの!?」
「疲れもあるのでしょうけど、城での食事よりも美味しいですね」
「えへへ! 実は、少しだけ料理には自信があるんです!」
――ミトスの作った料理は、どれも絶品。
ボクたちは自然と彼に称賛の声を上げ一口、また一口と頬張っていく。信じられないくらいの旨味に、進みだした手は止まらなかった。
あっという間に料理はなくなって、全員の表情が和らぐ。
「この料理の腕は、マリンにも分けてあげたいですね」
「ははは、リリアナったら……」
そんな中で、幼馴染みはこの場にいない聖女の名前を出した。
しかも良くない意味での使い方に、ボクは思わず苦笑い。しかしミトスにとっては興味を引く内容だったようで、小首を傾げながらこう訊いてきた。
「そのマリンという方は、料理が苦手なんですか……?」
「苦手というか……」
「……あれは、次元が違いますね」
その質問に、ボクとリリアナは顔を見合わせる。
そして、ふと学園時代のことに思いを馳せて話し始めるのだった。
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