7.夜、霧は語る。
久々の更新です(*‘ω‘ *)
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あとがきに、新作アリです!!
「みなさん、本当にお人好しというか。……これは少し、心配になりますね」
人気のない村の中を歩きながら、少年はそう呟いた。
礼儀正しい口調ではあるが、どことなく相手のことを小馬鹿にした色が感じられる。それもそのはずだった。彼らは素性に違和感を覚えながらも、自身を連れて行くと約束したのだから。少年はその決定に都合良さを感じつつも、どこか情けなくも思っていた。
どうしてこうも『英雄の血筋』というのは、他人を疑わないのか。
それは何も、クレオに限った話ではない。
キーンだって同じだった。血の濃さでいうならば、あるいはエルフの寿命を考えて、こちらの青年の方が多いかもしれない。もっとも、それだからといって何もないのだが。
ただ人間やエルフ、そして魔族という者たちはいつまでも変わらない。
それに対して、少年は星空を仰ぎながら感情不明の笑みを浮かべるのだった。
「さて、少し遊びが過ぎた玩具を消しに行こうかな」
そして、そんな笑みを湛えたまま。
彼はゆっくりと歩き出した。
◆
――あり得ない。
死霊術師は、肩で息をしながら逃げ惑っていた。
あのように小さな少年に、自分が負けるはずがない。いいや、それ以前にどうして自分の居場所がバレているのか、考えれば考えるほど分からない。
ただ一つだけ分かるのは、このままだと自分は死ぬ、ということ。
「あー、もう。そんなに逃げても、意味がないですって」
「ひっ……!?」
そして、その現実は今まさに自身の目の前に。
少年はにこやかに笑いながら、腰抜けの死霊術師を見下ろしていた。
「せっかく力を与えたのに、少しお喋りが過ぎましたね。……あと単純に、貴方は調子に乗り過ぎました」
「な、なんだ……と?」
「だからそれ、すぐに返却してくださいね!」
少年はそう口にすると、おもむろに手を翳す。
暗がりで、分かる表情は口元の無感情にも思える微笑みだけ。死霊術師は命乞いをしようにも、恐怖から声を発することすら能わず、ただ震えていた。
そして、彼が最期に口にしたのは――。
「あぁ、もう……汚い声だなぁ」
少年が眉をひそめるほどの情けのない叫びであった。
周囲が血の海になった中で、一人残された少年はため息をつく。
「さて、なるべく早くに次の手を打たないとね?」
だが、すぐに気持ちを切り替えたらしい。
彼は足取り軽く、踵を返して駆け出すのだった。
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ほのぼの(当社比)新作です。
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