2.リリアナの言葉。
月一更新に意味はあるのか!? いや、ある!!!!!!!
(´;ω;`)
「結局、アレは何だったんだろう……」
ボクは自分の手を見つめて、ただただそう呟いた。
オドという山賊の長との戦いの中で、自分は間違いなく瀕死の状態に陥ったのだ。それにもかかわらず、次に意識を取り戻した時、ボクの手は彼の命を奪い取っていた。
そして、彼は満足そうに言い残す。
「神の寵愛を受けた、って……?」――と。
首を傾げるしかない。
それこそ生まれたばかりで、右も左も分からない子供のようだ。自分のことのはずなのに、一つとして理解できることがない。父は自分たちが英雄の子孫だと語ってくれた。
だけど、それだけですべてが説明できるはずがない。
ボクにはまだ、知らないことがある。
「クレオ、起きていたのですね」
「……リリアナ?」
そう考えていると、ボクが使っている部屋に幼馴染が入ってきた。
彼女はこちらを認めると、小さく微笑んで隣にやってくる。窓際で空を見上げていたボクに並んで、リリアナは同じようにした。
月明かりに照らされた彼女の顔は、幼いそれに似合わず大人びている。
そう思うこちらに気付いたのか、リリアナはこう口を開いた。
「クレオに何があったのか、私は聞きません」
「え……?」
それは、少し予想外のこと。
てっきり彼女は、自分に何が起きたのか、を聞きにきたものだと考えていたから。だけど幼馴染は数回、首を左右に振るとこう続けるのだった。
「……いえ。正確にいえば、私も色々と混乱しています」
額に軽く手を当てて。
彼女は一つ、大きなため息をついた。
その上で、いまだに困惑の最中にいるボクへと語り掛ける。
「それでも、確かなことは一つだけあります」――と。
リリアナはまるで、ボクの迷いを悟ったように。
真っすぐにこちらを見て、こう言った。
「クレオはいま、自分が何者かと考えていますね。だったら、答えは一つ――」
人差し指で、ボクの頬を軽くつつきながら。
「私、リリアナの大切な幼馴染、です」――と。
それだけは、決して揺るがない。
たしかに彼女の言う通りだ、そう思った。
ボクが仮に普通の人でなかったとして、リリアナやみんなと過ごした時間は、決して嘘などではないのだから。信じて前に進むしかない。そう、思わされた。
「だから、そんな不安そうな顔をやめてくださいね」
「……うん」
彼女はきっと、本当にただそれを伝えるためだけにここへきたのだ。
それ以降はずっと、何も言わずに空を見上げていた。
リリアナの言う通り。
ボクは、クレオであって他の誰でもない。
いまは考えるのをやめよう。
それよりも、優先することは山ほどあるのだから……。
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