12.キーンから見たクレオの異変。
ようやっと体調不良とか、諸々から復帰です。
お待たせして申し訳ございません。
あと、弾みをつけるため、というかリハビリで新作も書いてます。
この話のあとがきから、どうぞ。
キーンにとってクレオは憧れや、尊敬の対象である。
忠誠を誓ったあの日から、その気持ちに変化が生じたことはなかった。それでも今、オドという山賊を打倒した彼に対して初めて、異なった感情を抱く。
それは、一言で表せば恐怖に近い。
何があったか、クレオ自身もハッキリと口にしなかった。
だとしても、あの時の彼に異変が起きていたのは間違いない。その証拠として、魔法の素養が高い青年は察知していた。
「あの魔力量はおおよそ、人が身に宿して良いものではない」
オドを見送っていたクレオの周囲に残存していた魔力の断片から、キーンは彼の中にある魔力の一端を垣間見たのだ。もっとも一瞬のことではあったが、あの時に限ってしまえば確実にリリアナを超える、人類が到達し得ない力が満ちていたのである。
そのことに、クレオ自身は気付いているのだろうか。
その疑問はいまだ解決しないが、しかし青年は彼も何かを感じ取っているはずだと考えていた。何故ならキーンの知るクレオは天然ではあるが、聡明なのだから。
「いったい、クレオさんは……?」
ミトスの住んでいた村。
その空き家の一室で、キーンは一人考え込む。
だがやはり本人不在かつ、その口から語られない限りは答えなど出なかった。そう思っていると、彼の前に姿を現わしたのは――。
「キーンさん、少しよろしいでしょうか」
「え、エスカリーテ……さん?」
クレオの妹である少女、エスカリーテだった。
彼女はどこか大人びた雰囲気を漂わせて、彼の元へやってくる。そして、
「キーンさんに、お話しておきたいことがありまして」
「それって……?」
そう、まるで甘美な時間へと誘うような声色で。
エスカリーテは、キーンの耳元でそう囁くのだった。その言葉を受けて彼は困惑に眉をひそめるが、しかし現状の疑問について手掛かりがあるかもしれない。
確証はなかった。
だけども、そのように思われた。
「もしかして、いまのクレオさんについてですか?」
だから、青年は少女に問いかける。
するとエスカリーテは、しばしの沈黙の後にこう答えた。
「……はい。これは公爵家に、古くから伝わるお話です」――と。
真剣な声色。
そこにはきっと、嘘というものはない。
キーンは意を決して彼女の話に、耳を傾けるのだった。
――どこか、何かがおかしい。
そんな違和感が、胸に去来するのを抑え込んで。
キーンはエスカリーテのことを信じようと、そう思うのだった。
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新作です。
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