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10.戦いが終わって、少年はただ立ち尽くす。

意味深で草。










「え、どうして……?」




 ボクは自分の目の前で起きていることが、まるで理解できなかった。

 だって意識が途切れたような感覚があったと思ったら、次の瞬間には――。



「は、はは……やっぱ、お前は英雄の子孫で間違いねぇ……!」



 ――ボクの腕は、オドの胸を貫いていたのだから。

 おびただしい量の返り血を浴びて、崩れ落ちる彼の身体をただ支えた。あれほどの力を誇った相手が今ではもう、呼吸をするのもままならなくなっている。

 意味が分からない。

 何も、状況がまるで掴めない。

 ボクはどうやって、どうして彼に勝った……?



「そんな顔するな、クレオ。お前は強く、オレ様は弱かった。それだけだ」

「それ、だけ……?」



 膝をつくオドから腕を引き抜き、こちらもまた腰を落とす。

 困惑するボクとは対照的に、彼はとても満足げであるように思えた。



「これは、オレ様のワガママだった。もう一度、アイツと戦いたい、ってな」

「『アイツ』って……?」



 ただ訊き返すしかできないボクに、オドは静かに語る。

 魔力が解けていく光に包まれながらも、彼は最期にこう言い残した。




「クレオ、良く聞け。お前は英雄の子孫であり――」




 ただただ、感謝に満ちた声色で。




「神の寵愛を受けた子だ」――と。









「クレオさん! 大丈夫ですか!!」




 キーンがぐらつく足場を警戒しつつ、クレオのもとにたどり着く。

 するとそこにいたのは、少年ただ一人だった。



「クレオ、さん……?」



 だが、様子がおかしい。

 鮮血に染まったクレオは、ただそこに立ち尽くしていた。

 キーンの呼びかけなど聞こえていない。呆然自失と、ただそこにいた。




「なにしているんですか、逃げましょう!」

「…………キーン……?」




 その希薄な存在感に不安を覚えつつも、キーンは彼の方を掴んだ。

 するとようやく、クレオは相手の存在に気付いたらしい。今まで見たことがないほどに呆けた表情で、キーンのことを見つめ返していた。


 おかしい。

 これは、いったい何があったのか。

 キーンがそう考えていると、クレオは小さくこう口にした。




「ボクはいったい、何者なんだろう」――と。





 誰にも分からない。

 真相は闇の中、ただ少年は取り残されたのだった。



 


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