5.クレオの知らぬ因縁との邂逅。
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あと、コミックス2巻が5月7日発売予定の模様。
階層を上がるとそこには、あの大男が待っていた。
不敵な笑みを浮かべた彼は強く拳を打ち鳴らし、ボクのことを見据えている。こちらはもちろん知らない相手だが、彼にとってこちらは因縁深い存在のようだ。
肌で感じる。
この山賊の長には、ボクを殺すほどの理由があるのだ、と。
「自己紹介だ。――オレ様の名は、オド」
「……ボクは、クレオ」
「そうかい。いや、嬉しいもんだ。地獄の底から這いあがったかと思えば、あの時の恨みを晴らす戦いができるなんてよ」
「なんの、ことだ……?」
オドの口振りに、ボクは眉をひそめる。
どうやら彼だけは他の人々と違い、自身が死霊だと認識しているらしい。そして、その上で術師の口車に乗っているのだとしたら、なにか目的があるはずだった。
ボクはそれを確かめようと、問いを投げる。
「貴方は死という安息から引き上げられ、駒として扱われているはず。死霊術師は基本的に、その者の記憶を奪う。それだったら、貴方は――」
「……どうして、術師に逆らわないのか、ってことだろ?」
「………………」
オドはボクの言葉を遮ると、ゆっくりと立ち上がった。
そして、こう続ける。
「あぁ、恨んでいるさ。顎で使われるのも癪に障る。だがな――」
その、次の瞬間だった。
「仇敵の子孫を殺せるなら、それ以上必要ねぇよなぁ!?」
「なっ……!!」
目にも止まらない速度で、オドの拳がボクの目の前を横切る……!
寸前で後方に半身を動かして回避するが、肌を裂くような速さだった。――いいや。触れられていないはずなのに、まるで殴られたかのような感覚が鼻先にある。
威力と速度、どちらを取っても超一流。
オドという山賊がただ者でないのは、それだけでよく分かった。
「さあ、こまけぇことはナシだ! ――殺り合おうじゃねぇか!!」
「くそっ……!?」
数歩後退して、剣を抜き放つ。
頬に緊張による汗が伝うのが分かった。
「これは、簡単な話じゃないな……」
分かるのだ。
このオドという男の力は、ゴウンさんより上。
さらに言えば、速度はクリスをも上回るだろうと思われた。
――身体能力の怪物。
思わぬ場所、思わぬ時。
ボクは、言い知れぬ敵との邂逅を果たしていた。
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