3.違和感と可能性。
書籍2巻の発売が近付いてきました(*‘ω‘ *)
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「山賊のアジトは、一つ山を越えた先……か」
「今から出立すると危険ですね。一晩は、ここで明かさないといけませんが……」
「…………そう、だね。まずは彼らの供養から、かな」
リリアナの活躍によって、ひとまず山賊の住処について情報は得た。
しかし、場所が場所なだけに今すぐ向かうことはできない。そうなると、この村で一晩を過ごすことになるが、気になるのはやはりミトスの様子だ。
少年は先ほどから、一人一人のご遺体を見ては涙に暮れている。
もはや誰とも判別がつかないが、彼の目には違うように映るのかもしれなかった。
「ねぇ、ミトス……?」
「……はい、なんでしょう。クレオさん」
「この人たちに、お墓を造ってあげようよ。一人一人、っていうのは難しいから。どこか広い場所に合同って形になるけど」
「そんなこと、できるんですか……?」
ボクの提案に、ミトスは力なくそう訊いてくる。
「あはは……。一級品は無理だけど、ある程度なら石材の細工とか、そういったものも出来るからね。魔法を使えば穴を掘ることもできるし、錬金術を使えば必要な墓石も錬成できるはず。簡単なものになっちゃうけど、それでミトスが良いなら……だけどね」
「そんな、すごいです……! あの、よろしくお願いします!!」
「うん、分かったよ」
ボクは頷いて、今夜の作業についてキーンやリリアナに相談した。
二人は快く承諾してくれる。だけど、一人なにかを考え込んでいたのは、エスカリーテだった。妹はとある遺体に触れようとする。
だけど、こちらの視線に気付くと手を引っ込めた。
「どうしたの、エスカリーテ?」
「ううん。なんでもないよ」
「……そう?」
こちらが首を傾げると、彼女はとくに表情も変えずに行ってしまう。
ボクはそんなエスカリーテの後姿を見送ってから、彼女が触れようとしていた村人の遺体に目をやった。それは他の遺体と違いなく、ひどく腐敗が進んでいる。
このようになるには、何かしらの魔法か、あるいは時間の経過が必要だった。
「もしかして、山賊の中には手練れの魔法使いがいる……?」
その可能性はある。
だとすれば、たかが賊だと考えるのは駄目かもしれなかった。
気を引き締めよう。明日は、そんな底知れない相手と相対するのだから。
「でも、まずは……」
ただ、今ばかりは。
この村の人々に思いを寄せよう。
そう考えて、ボクはまた静かに手を合わせるのだった。
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