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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第30章

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3.違和感と可能性。

書籍2巻の発売が近付いてきました(*‘ω‘ *)

活動報告などに、情報掲載していますので参照ください!

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「山賊のアジトは、一つ山を越えた先……か」

「今から出立すると危険ですね。一晩は、ここで明かさないといけませんが……」

「…………そう、だね。まずは彼らの供養から、かな」




 リリアナの活躍によって、ひとまず山賊の住処について情報は得た。

 しかし、場所が場所なだけに今すぐ向かうことはできない。そうなると、この村で一晩を過ごすことになるが、気になるのはやはりミトスの様子だ。

 少年は先ほどから、一人一人のご遺体を見ては涙に暮れている。

 もはや誰とも判別がつかないが、彼の目には違うように映るのかもしれなかった。



「ねぇ、ミトス……?」

「……はい、なんでしょう。クレオさん」

「この人たちに、お墓を造ってあげようよ。一人一人、っていうのは難しいから。どこか広い場所に合同って形になるけど」

「そんなこと、できるんですか……?」



 ボクの提案に、ミトスは力なくそう訊いてくる。



「あはは……。一級品は無理だけど、ある程度なら石材の細工とか、そういったものも出来るからね。魔法を使えば穴を掘ることもできるし、錬金術を使えば必要な墓石も錬成できるはず。簡単なものになっちゃうけど、それでミトスが良いなら……だけどね」

「そんな、すごいです……! あの、よろしくお願いします!!」

「うん、分かったよ」



 ボクは頷いて、今夜の作業についてキーンやリリアナに相談した。

 二人は快く承諾してくれる。だけど、一人なにかを考え込んでいたのは、エスカリーテだった。妹はとある遺体に触れようとする。

 だけど、こちらの視線に気付くと手を引っ込めた。



「どうしたの、エスカリーテ?」

「ううん。なんでもないよ」

「……そう?」



 こちらが首を傾げると、彼女はとくに表情も変えずに行ってしまう。

 ボクはそんなエスカリーテの後姿を見送ってから、彼女が触れようとしていた村人の遺体に目をやった。それは他の遺体と違いなく、ひどく腐敗が進んでいる。

 このようになるには、何かしらの魔法か、あるいは時間の経過が必要だった。



「もしかして、山賊の中には手練れの魔法使いがいる……?」



 その可能性はある。

 だとすれば、たかが賊だと考えるのは駄目かもしれなかった。

 気を引き締めよう。明日は、そんな底知れない相手と相対するのだから。



「でも、まずは……」




 ただ、今ばかりは。

 この村の人々に思いを寄せよう。

 そう考えて、ボクはまた静かに手を合わせるのだった。




 


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