5.二人のやり取り。
あとがきに新作情報あります!
ぜひ、応援してやってください!!
エスカリーテは、ミトスと名乗った少年を見ながら唇を噛んだ。
そこにある感情はいったいなにか。父であるダンを救うことの遅れに対する苛立ちか、はたまたそれ以外になにか思うところがあるのだろうか。
しかし彼女の胸の内は、彼女にしか分からない。
それでも兄と話す少年に向けられた眼差しに浮かぶのは、微かな敵意だった。
「……エスカリーテ、どうしましたか?」
「え……あぁ、なんでもないの」
そのような状態の少女に声をかけたのは、王女リリアナ。
他の二人――クレオとキーンには聞こえない声の大きさで、彼女は静かにエスカリーテにこう問いかけた。
「そこまでして、急ぎたいのですか?」――と。
それはダンの容態を知った上のもの。
違和感しかない発言だが、だからこそ別の意図があるように思われた。
エスカリーテはそれを察してだろうか、語調を強めてリリアナに言葉を返す。
「自分の親が大変なのだから、当たり前ではないでしょうか」
「そうでしょうね。ただ、一つ気になるのですが――」
すると、そんなエスカリーテに対して。
リリアナは、ずっと胸に仕舞いこんでいた考えを投げかけた。
「貴女には、もしかして『他の目的』があるのではないですか?」――と。
直後、二人の間には沈黙が降りる。
互いに何も言わず、睨み合いの時間だけが流れていった。
その反応は、リリアナにとっては肯定だっただろう。王女はエスカリーテに釘をさすようにして、こう告げるのだった。
「……エスカリーテ。いえ、貴女はおそらく――」
たしかな、確信を持って。
「……『別の何者か』でしょう?」――と。
https://ncode.syosetu.com/n4628hi/
新作です!!(下の方にリンクがあります)
面白ければ、ブクマや★評価などで応援いただけると幸いです。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームから評価など。
創作の励みとなります。
そんでもって、大増量の書籍版もよろしくね!!




