2.妹との思い出。
まさかの連続更新。
「うわあああああああん!? お兄ちゃんどこおおおおおおおお!?」
「あー、もう。そんなに泣かなくても、ボクはここにいるよ?」
「か、かくれんぼで号泣するとは……」
王都立学園に入学するずっと前のこと。
それこそ、マリンと知り合うよりもずっと前のことだ。
ボクとリリアナ、そしてエスカリーテの三人は幼い頃からずっと一緒に遊んでいた。ボクと妹は毎日決まって王城に顔を出して、リリアナに会いに行く。事の始まりはどうだったか忘れたけど、いつの間にか日課となっていた。
「はいはい。大丈夫だよ、エスカリーテ。お兄ちゃんはここだよ?」
「ふえええええええええええん!!」
ぬいぐるみを抱きかかえた妹は、こちらが腕を広げると胸に飛び込んでくる。
泣き虫というか、極度の寂しがりというか。こうやって遊ぶ時でさえ、少しでもボクが見えなくなると大声で泣き始めるのだから困ったものだった。
そう思うのはボクだけではないようで、リリアナも大きくため息をつく。
「まったく。いい加減、兄離れしないといけませんよ? 私とクレオはいずれ、王都立学園に通うことになるのですから」
「うぅ……!」
このままでは、ボクがさらに困ることになる。
それを察して幼馴染みは、妹にそう忠告するのだった。しかし、
「お兄ちゃん、エスカリーテと王女さまのどっちを選ぶの……?」
「へ……!?」
まさかのまさか。
エスカリーテは思わぬ二択を突き付けてきた。
ボクは素っ頓狂な声を上げて、答えに窮してしまう。
「え、えーっと……?」
「まったく、もう。そうやってクレオを困らせるのですから……」
こちらが困惑していると、すかさずリリアナが口を挟んだ。
そして――。
「そんなの、私に決まっているでしょう?」
――リリアナ、まさかの真顔でそう宣言。
ボクはとうとう唖然と口を開いた。
しかし、そんなこちらの気を知ってか知らずか、さらにヒートアップ。
「お兄ちゃんはエスカリーテのだもん!」
売り言葉に買い言葉。
先ほどまでの涙はどこへやら。
妹はリリアナとにらみ合う形で顔を突き合わせた。
「………………」
なんだ、この状況は……?
ボクはもはや、どうにでもなれという気持ちで二人を見つめていた。
そうして時を待つこと、数十分。
ふと、こちらを振り返ったエスカリーテはボクにこう言った。
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「ん……?」
「えっと――」
ほんの少し、頬を赤らめて。
ぬいぐるみで恥ずかしそうにそれを隠しながら。
「お願い。エスカリーテの傍に、ずっといてね……?」――と。




