3.エスカリーテの言葉。
短い(´;ω;`)
前回のとで合わせて一話でした、ごめんなさい<(_ _)>
新作(あとがき下のリンクより)も、よろしくお願いいたします。
――一方その頃。
「キーン様、少しだけお話よろしいですか……?」
「え、どうかしましたか。エスカリーテさん」
「ふふふ、呼び捨てで構いませんよ」
出立の準備中。
やや浮足立つような心持ちでいるキーンに、エスカリーテが声をかけた。
彼女はいつになく妖艶な空気を醸し出しつつも、年相応な笑顔を浮かべている。そんな少女の姿にエルフの青年は思わず息を呑みつつ、なるべく平静を装った。
キーンの隣にあった小さな椅子に腰かけたエスカリーテ。
彼女はふと、彼にこう告げるのだった。
「信じてもらえるか、分かりませんが……」
やや緊張したような口調で。
「私には、魔族の気配が分かるのです」――と。
それを耳にして、キーンは眉をひそめた。
「それは、もしかして……?」
「はい。この王城には、魔族が潜伏しているのでしょう?」
「………………」
訊き返すと、エスカリーテはハッキリと口にする。
この話は限られた人物にしか知らされていない。その点で考えると、彼女がその対象に入っているとは、とても考えられなかった。
そうなると、エスカリーテが言った魔族の気配は、本当の話だろう。
キーンはそれでもまだ考え込み、静かにこう訊ねるのだった。
「それで、もしかして貴方は誰が魔族か分かるのですか……?」
すると、信じてもらえたのが嬉しかったからか。
エスカリーテは本当に無邪気な笑みを浮かべ、頷くのだった。そして、
「はい……! 私には分かります。その魔族というのは――」
そっと、青年の手を取って。
真っすぐに彼の瞳を見つめながら、こう語った。
「リリアナ王女です……!」――と。




