4.リリアナの申し出。
あざね、復活(*‘ω‘ *)
――エルフの秘薬。
それは、英雄の伝説に登場するものだ。
神から授かりし英雄の力を注ぎ込むことによって、あらゆる病を治すとされている。英雄の死後、エルフの村に秘宝として隠されている、ということだった。
その話もいつしか御伽噺となり、存在すら怪しまれることとなっている。
しかし、キーンの反応を見るに存在は確かなようだった。
だけどもボクには、気になることがあって――。
「エスカリーテは、どこでその話を……?」
「何年か前に、そういうお話を読んだから。キーンさんがエルフの英雄の末裔だって聞いて、もしかしたらと思って」
「…………」
こちらの問いかけに、妹は平然としたように答える。
その堂々とした態度に思わず息を呑んだ。
何故だろうか。
いつも通りの妹の姿なのに、違和感を覚えるのは。
「それで、クレオ。貴方はいかがなさいますか?」
「……うん。それ、なんだけど……」
リリアナの自室を訪ねたボクとエスカリーテ。
こちらを見て、王女である彼女は紅茶を口にしながらそう訊いてきた。
「クレオを王城に招いた理由は、先日述べた通りです。しかし、この一件については私も思うところがありますので、貴方がどうしたいか決めてください」
――『ボクが王城に招かれた理由』
王城の内部に、不審な動きがあるという話だったはずだ。
父の病については無関係であり、本来ならこちらが行動を起こすことは無責任にもなる。だけども、幼馴染はボクの気持ちを優先してくれている様子だった。
だから、ここは厚意に甘えることにする。
「ボクは、二人に同行したい」
キーンとエスカリーテ。
エルフの村に向かう二人に、付き添いたいという思いだった。
きっと長旅になる。だとすれば、リリアナとの約束にも応えられないかもしれない。そう思ったのだけれど……。
「承知いたしました」
「え……?」
まさか、本当に了承されるとは。
ボクが思わず呆けていると、リリアナはちらり、エスカリーテを見てから。
「そうですね。それでは、一つだけ条件を出しましょう」
一つ頷いて、こう提案してきた。
「私もエルフの村へ、同行します」――と。
それは、一国の王女としてあり得ない言葉。
ボクは耳を疑うのだった。




