3.公爵家の幼き令嬢の提案。
(*‘ω‘ *)かなり、間空いた。ごめんちゃい。
あとがきには、相も変らぬ新作情報。
面白かったら応援してやってね。
「……! マリンにマキ、公爵の容態は!?」
「キーンさん、落ち着いて下さい。ひとまずは、大丈夫かと」
「ただ、予断を許さない状況であることは間違いないのです……」
医務室から出てきたマリンとマキに、キーンが詰め寄る。
そんな彼らの会話を遠巻きに聞いていたボクは、強く唇を噛むのだった。隣にいるエスカリーテの方が、よほど落ち着き払っている。
その上で、妹は冷静にこう切り出すのだった。
「お父様は、以前に言っていました」
全員が、エスカリーテを見る。
それを受け止めた上で、彼女はこう続けるのだった。
「『必ず、エスカリーテの花嫁姿を見るまで生きるから』――と」
その言葉を、あえて。
まるで父の最期の願いであるかのように。
きっと、みんながそう受け取った。しかし妹は――。
「だからこそ、生きてもらわなければならないのです」
「え……?」
大きく首を左右に振って、そう宣言する。
それに、全員が目を見張った。
誰もが打つ手なし、と。
そう、考えていたに違いないのに。
「……ですが、どうやって?」
それを代表するように、マリンがエスカリーテに訊ねた。
すると、妹はこう言うのだ。
「キーンさんに、お訊きしたいのですが――」
彼の方を見て、強い意志を感じさせる口調で。
「エルフに伝わる秘薬をお譲りいただくことは、可能ですか?」
「え、秘薬……!?」
キーンは驚いたように。
その話をどこで聞いたのかと言いたげに、しかしすぐに首を左右に振った。
「……いえ、残念ですが。アレは――」
「エルフの村に住まう英雄の血族、あるいはその伴侶にしか渡せない」
「それを、どこで……?」
ズバリ、言い当てられたのだろう。
エルフの青年はまた驚き、エスカリーテを見た。
しかし彼女は至って冷静にこう、静かに息をついて言う。
誰もが、予想しなかった解決策を……。
「わたしが、キーンさんのもとへ嫁ぎましょう」――と。
そうなれば、自分は秘薬を扱う権利を得る。
そして、父の願いも叶えられる。
妹は真っすぐに、決意を込めてそう告げたのだった。