5.歴代最強の公爵。
ダン……(´;ω;`)
「クレオさん!? どうしたのですか、そんなに慌てて!」
「た、大変なんだ。魔族が現れて……!!」
「魔族……!?」
ボクが王城へ戻ると、ちょうどキーンたち三人と鉢合わせた。
血相を変えたこちらを見て、彼らもただ事ではないと察したらしい。
「そ、それで。その魔族はいま、どうしている!?」
「父さん……お父様が、時間稼ぎを……!」
エリオさんの言葉に、ボクは呼吸を乱しながら答える。
すると、三人は顔を見合わせて頷いた。
「助けに行きましょう、クレオさん!」
「あぁ、マキの言う通りです」
「そうだな!」
そして力強く、そう声を揃えるのだ。
「みんな……!」
――とても、心強い。
ボクは改めて思い知らされた。
この仲間たちは、本当に最高だということを……。
◆
「くっ……!? 人間風情が、このようなァ!!」
ダンの動きに、クリムは完全に動揺していた。
あまりにも速すぎる。おそらくは身体強化の魔法の類だが、それにしても能力の向上が異常だった。おおよそ人間の動きに非ず。
ダン・ファーシードは病魔に蝕まれ、細身となった身体を疾走させる。
「魔族というのも、たいしたことはないな!」
「なにを……!」
そして、クリムの背後から一撃。
彼女は辛うじて防ぐが、彼の振り下ろした剣の圧力に膝を折った。
そうするとダンは、すかさず魔族の顎に膝を打ち込む。
「あ、が……!?」
クリムの視界に火花が散った。
まるで、首がもげるようなその膝蹴り。
おそらく顎の骨は砕けただろう。即座に治癒を施すが、再生が追いつく間もなくダンは次なる攻撃を仕掛けてきた。
「――――ッ!?」
それは、魔法だ。
ダンの手から放たれた火炎は、一息にクリムの身体を呑み込む。
防御魔法など追いつかない。まともに彼のそれを喰らった彼女は、後方数十メイル吹き飛んだ。いったい、何が起きたのか理解が追いつかない。
自分が喰らったのは、間違いなく上級魔法――いいや、それ以上のもの。
そうでなければ、魔族であるこの身が行動不能に追い込まれるはずなどない。
「どうした、魔族。今のは最下級魔法――【ファイア】だぞ」
「な、に……?」
だからこそ、ダンの言葉にクリムは戦慄した。
今のが最下級だというのか、と。
「馬鹿げてる。そんな、はずが……」
「言っただろう? お前に私が殺せるわけがない、と」
「………………!」
そしてこの時。
クリムは生涯で初めて、恐怖というものを覚えた。
死に対する恐怖も当然だ。だがしかし、それ以上に――。
「ダン・ファーシード……! バケモノ、め……!」
目の前の人間――ダン・ファーシード公爵に対して。
クリムは血の塊を吐き出して、どうにか身を起こした。そして、
「く、憶えていろ。貴様は必ず、私が殺す……!」
そう言い残して、姿を消す。
ダンはあえてそれを追わずに、氷剣を手放した。
空気中に溶けていくそれを見送って、小さく笑うのだ。
「あぁ、すまないな。それは、どうやら不可能だ……」――と。
彼は言って、咳き込んだ。
手で覆うとそこにあったのは、多量な血の塊。
「再戦は、叶わない」
ダンは拳を握り、振り返る。
すると、そこには慌ててこちらへやってくる息子たちの姿。
それを見て、公爵はゆっくり目を閉じた。
平衡感覚が失われる。
膝から一気に、力が抜け落ちていく。
「父さん……!!」
意識が遠退く前。
聞こえたのは、とても優秀な自慢の息子の声だった……。
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