2.公爵家の始まり。
今回も短いですが。
これ、いつか番外編書くべきかもですね(許可出るかなぁ)
「……あぁ、クレオ。お前には、これを見せたかったのだ」
父の後について行くこと、数十分。
たどり着いたのは、王城の外れにあるやや荒れた庭園だった。人々に忘れられたようなその場所には、一つの石碑がある。
記念碑、だろうか。
しかし同時に、なにか悲しみを覚えるものでもあった。
「お父様、この石碑はいったい……」
「この石碑は我が公爵家にとって、貴重な財産なのだよ」
「……財産?」
「あぁ、そうだ。もっとも『人々には』もう、不要なものかもしれないが……」
父はそう言うと、ずいぶんと小さくなった背を屈めて。
ゆっくり、それに触れるのだった。
ボクは彼の話す内容がちっとも理解できず、首を傾げるしかない。そうしていると、父は肩越しにこちらを振り返ってこう言った。
「英雄と王家の関係、知っているだろう?」
それは千年以上も前の、御伽噺のようなもの。
この世界を包んだ災厄を振り払った勇者――英雄と呼ばれる者の、その後について。わざわざ言うまでもなく、そのことは一般教養として誰もが知る話だった。
世界を救った英雄は、後に王女と婚姻を結んだとされている。
よくある物語、その結末であるように思えた。
ただ、そこから先は誰も知らない。
そう思っていると、父は微かに目を細めてこう口にした。
「英雄の末裔、それが――」
大切なことを伝えようとする、そんな表情で。
「我々、公爵家なのだよ」――と。
ファーシード公爵家の始まり。
それはもはや、人々に忘れられた御伽噺に違いなかった。




