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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第25章

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7.クレオのために。

そんな中での、仲間たちの様子。

あとがきに新作情報あり。応援よろしくです!








「クレオさんのお父さん、お身体悪いのですか?」

「あぁ、聞いた話だけどね」

「それで今日は、クレオがいないわけか……」



 キーンとマキ、そしてエリオの三人は王城の客間で情報を共有していた。

 その内容というのもクレオの父、ダンについて。パーティーメンバーたちはみな、一様に重い表情を浮かべていた。クレオの父については、ほんの少しだが聞き及んでいる。彼を勘当し、家から追い出した張本人だ、と。


 だがクレオ自身は、そんな相手のことを悪くは言っていなかった。

 彼の自己評価が低いのもあるだろう。それでも、クレオにとってはかけがえのない肉親であるというのが、一番大きなところだと思われた。



「…………僕だったら、きっと泣いちゃいます」



 沈黙の中、口を開いたのはマキ。

 それを聞いて、静かに頷いたのはエリオだった。



「あぁ、そうだな。誰かを失うのは、悲しいことだから」



 二人は共に、大切な誰かがいなくなることを知っている。

 マキは物心つく前だが、エリオはセナという少女を目の前で失っていた。そのため、ことさらに親しい存在の生き死にには敏感になっているのだ。


 キーンはそんな二人を見て、言葉を選べないでいる。

 長命たるエルフにとって近親の死は、身近ではないからだ。永遠に思われるような時間の中で、他の種族とは積極的には交わらずに生きる。

 幸か不幸か、青年は感覚を共有できずにいた。



「でも――」



 ――それで、良いのだろうか。


 キーンは思う。

 自分のために心を尽くしてくれる、大恩ある相手が悲しんでいる。それなのに、自分がなにもしないでいるなんて、許されるのだろうかと。


 分かっている。

 国は、人一人の命を見ている場合ではなかった。

 死とは縁遠いキーンだからこそ、そのことが理解できる。クレオが王城に招かれたのは国の危機を救うためであり、自分たちもそれに協力する必要があった。


 だからこそ、彼は苦心する。

 自分はいまどのように、振舞うべきなのかを。



「キーン、さん……?」

「あ、いや。なんでもないよ、マキ」



 そんな葛藤が顔に出ていたのだろうか。

 青年の顔を覗き込みながら、マキが首を傾げていた。



「なんでもない、なんてことないですよ。だって――」



 キーンの言葉に、マキは首を左右に振る。

 そして、こう言うのだった。



「なんでもないなら、そんな苦しそうな顔はしないです」――と。



 少女の言葉に、彼はハッとする。

 自身の手を取るマキに、驚いた表情を浮かべてしまった。



「なにか悩んでいるなら、僕たちに相談してほしいです」

「マキ……」



 優しい言葉。

 キーンはその時、彼女のそれに一つの答えを得た。

 その通りだ。どうして、こんな単純なことを忘れていたのか、と。



「二人とも。クレオさんを探そう」



 自分が魔法で苦心した時。

 その悩みを聞き、手を差し伸べてくれたのは誰だったか。

 それは他でもない――クレオだった。



「クレオさんは、私たちの何倍も苦しんでいるはずだ。こんなところで、こちらが落ち込んでいる場合ではない」



 キーンは二人にそう語る。

 すると、マキとエリオは顔を見合わせて――。



「そう、だな……!」

「はいです!」



 力強く頷いた。

 それを見て、青年は改めて思うのだ。




「今度こそ、私たちがクレオさんを支えるんだ」――と。





 三人は急ぎ足に客間を出た。

 そして王城の廊下を駆け、クレオを探す。









「……良い仲間を、持ったのですね」



 そんな彼らの姿を遠くから見て、リリアナは微笑んだ。

 これで、クレオとダンの問題は前に進むだろう。



「でしたら……私は、私にできることを進めましょう」




 王女はそう力強く口にすると、国王である父のいる部屋へと向かうのだった。



 


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