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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第25章

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4.エスカリーテの宣告。

あけおめです(遅い









「……エスカリーテ、それ本気で言ってるの?」

「うん。本気で言ってるよ、お兄ちゃん」




 ボクが父との対面を終えて部屋を出ると、なにやら困った顔のキーンと遭遇。そして連れられるがままに移動すると、そこには妹とリリアナの姿があった。

 幼馴染も頭を抱えていたので、どうやらなにかあったらしい。

 そう思って、ひとまず話を聞いてみたのだけど……。



「まさか、キーンと婚約したい、だなんて」



 思わず苦笑いを浮かべてしまう。

 以前からエスカリーテは、突拍子もないことを口にする傾向にあった。その場の思い付きとしかいえない提案で家臣を困らせ、周囲の人々を右往左往させる。

 しかし、終わってみれば万事上手くいっていたり。

 とにかく妹は、不思議な子だった。



「だめ? わたし、一目惚れしたの」

「一目惚れ、かぁ……」



 小首を傾げながら見てくるエスカリーテ。

 彼女の言葉を受けてから、ボクはキーンの方を見た。婚約を申し出られて、さぞ彼も困っていることだろう。そう思ったのだけど――。



「あ、あはは……」



 ――あれ、意外に満更でもない感じ?


 キーンはたしかに、困ったように笑ってはいる。

 だが、視線はエスカリーテの方へと向かっているように感じられた。頬も若干だが赤くなり、恥ずかしがっている、という雰囲気にも見える。


 これは、つまるところ……?



「クレオ、少し良いですか?」

「うん。ボクもちょっと話があるんだ、リリアナ」



 そう思っていると、幼馴染が手招きをしてきた。

 ボクもリリアナの意見を訊きたいと思っていたので、二人で部屋の隅へ。そして、小声でこう言葉を交わした。



「ひとまず、エスカリーテとキーンさんの二人だけに」

「うん、そうだね。これは様子を見て決めた方がいいだろうね」





 とりあえず、ここは当事者二人に任せよう。

 そう決めてボクとリリアナは、キーンに一言して部屋を出るのだった。








 そして、取り残されたキーンは緊張で固まっていた。

 何故なら彼もまた、この可憐な少女に一目惚れしてしまったのだから。しかもその相手は、尊敬するクレオの実妹ということで、緊張するなという方が無理な話であるように思われた。

 対してエスカリーテは違和感なく。

 表情も崩さずに、黙ったまま紅茶をすすった。



「キーンさんも、飲む?」

「え、あ……はい」



 そして、彼女はキーンにそう声をかける。

 小さく微笑みを浮かべているあたり、どうやら楽にしてほしい、という思いがあるようだった。それを察した青年は一つ、ゆっくりと息をついてから。

 ふと気になって、こう訊ねるのだった。



「あの、エスカリーテさん」

「エスカリーテちゃん」

「……へ?」

「エスカリーテちゃん、って呼んでほしい」



 だがすぐに、そう釘を刺されて硬直。

 でもキーンは首を左右に振って、気持ちを切り替えるのだった。



「…………エスカリーテちゃん、なにか理由があるんだよね?」



 そして、そう訊ねる。

 キーンには、どこか思うことがあった。

 いくら一目惚れしたからといって、こんな急速に距離を詰めるのはおかしい。だとすれば、そうせざるを得ない理由があるはずだった。

 それを口にすると、エスカリーテは頷く。




「うん。実はね――」




 続けて、神妙な面持ちになって。

 少女はキーンに告げた。

 だが、それは――。




「お父様、もうすぐ死んじゃうの」

「…………え?」





 あまりにも、突飛すぎる宣告だった。



 


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