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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第24章

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6.たった一つ、それだけで。








「クレオくんから見て、彼らの力量差はどれくらいあると思う?」

「………………」



 アランさんの言葉に、ボクはしばし考え込む。

 そして、正直に思ったことを口にした。



「やっぱり、魔法使いの力量差が際立っていると思います。キーンの魔法は間違いなく一線級で、ボクなんかより上質で、それでもリリアナのそれは規格外。エリオさんとマキの二人がフォローを入れてますけど、言い方を選ばなければ――」

「足を引っ張っている、ということか?」

「…………はい」



 こちらが言い辛そうにしているのを感じ取ったのか、騎士団長は言葉を引き継いでくれる。そしてそれは、まさしくボクの考えていたこと。

 キーンの魔法は確かに凄い。

 時代が違い、生まれが違えば、王宮魔法使いとして活躍していただろう。

 だけど今回は相手が悪すぎるのだ。


 比較対象となるリリアナは、歴代の魔法使いの中でも最高傑作との呼び声高い存在。規格外のポテンシャルに加えて、学園時代に一層の努力をした。

 入学時と卒業時では、ボクも彼女に大差をつけられていたのだ。



「ふむ、そうなると――」



 アランさんは、顎に手を当てて一つ息をついた。



「この勝負、もうすでに決着しているのではないか?」

「………………」



 そして、言いにくい言葉をあえて口にする。

 だがしかし、きっとこの戦いを見ているすべての者がそれを感じていた。どう足掻いても、魔法使いの差でボクの仲間は、幼馴染に一枚落ちる。

 それはもう、決定的な事実だった。


 ボクもそのことは、戦前から把握している。

 キーンは攻撃魔法において、リリアナに勝ることはない――と。


 両者の実力を間近で見続けたこの目は、間違いなかった。

 でも、同時にボクは知っている。



「まだ、です」

「ほう……?」



 ――キーンの持つ、特別な才能を。


 彼はいうなれば、ボクと同じ凡才に違いなかった。

 それでも一つ。ただ一点において、目を見張る分野があった。ボクはそれを思い出しながら、アランさんに向かって小さく笑いかける。

 戦いは、学園の授業とは違う。

 すべてが一発勝負であり、才能の差など――。



「力量差なんて、些末事ですよ」



 そして、ボクがそれを口にした瞬間に。

 戦況は大きく変化するのだった。



 


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