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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第24章

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5.圧倒的な力。

遅くなり申し訳ございません。

あとがきに、新作情報。そちらも応援よろしくお願いいたします。







「くっ……!? やっぱり、桁違いだな!」




 キーンは戦闘開始直後にそう思わされた。

 互いに剣技、魔法、そして治癒術に長けた者がいるチーム。自然とエリオはアルナとぶつかり、マキとマリンは各々後方に陣取り様子をうかがっていた。エリオの剣術は、クレオとの特訓の成果もあってか、以前よりも飛躍的に向上している。

 そのため、前衛二人の実力は伯仲。

 多少はアルナに押されているが、しばしの時間稼ぎが可能だった。



 だからこそ、雌雄を決するに必要な決定打は――。



「私とリリアナ王女の、魔法……だが……!」



 そう、魔法使いの二人の力量によるものだった。

 そして考えが自然とそこに至ることで、キーンの口から出たのが冒頭の言葉。戦闘開始直後、リリアナはエリオ目がけて無詠唱魔法を放った。

 エリオはそれを上手く回避してみせたが、その衝撃は想像以上。



「無詠唱魔法の範疇を、超えている……!」



 キーンは息を呑んだ。

 あのような馬鹿げた火力、たまったものではない。

 間違いなく喰らえば戦闘不能。事実、その一撃があった場所には大穴が開いている。威力としては、キーンやクレオが詠唱を行った上で使用する、上級魔法――あるいは、それ以上。王都立学園の魔法学主席卒業、天才の名を欲しいがままとした実力は本物だった。


 それをまざまざと見せつけられて、キーンは無意識に頬を引きつらせる。

 このようなバケモノとも思える相手に、勝てるはずがない。

 そのことは自明の理だった。



「立ち尽くしているだけでは、なにも前に進みませんよ?」

「………………」



 そんな彼に、リリアナは厳しい言葉を投げる。

 まさしくその通りだった。だから、キーンは何も言い返せない。いいや、ここはあえて言い返さなかった、というのが正しいか。

 今のはリリアナの挑発にも近い。

 この程度の差を見せつけられたとして、それに意識を持っていかれてはいけない。彼はそう思い直し、必死に策を練った。



「私にできること、私にしかできないことを……!」



 リリアナの魔法を回避しつつ、キーンは唇を噛む。

 そして、こちらも無詠唱魔法による牽制を入れ続けた。戦況は拮抗状態。あるいは、前衛二人の体力次第、というところだと思われた。

 この状況を覆すために必要なのは、明らかにキーンの一手である。



「くっ……!」

「大丈夫か、エリオ……?」

「あぁ、まだまだ大丈夫だ。だけど、どうするキーン」

「…………」



 ふっと緊張状態が解け、エリオとアルナが距離を取ったタイミング。

 キーンは彼女に歩み寄って意見を交換した。相手との睨み合い。その束の間に、三人はここからの戦略を共有することにした。

 そして、その最中にキーンがこう言うのだ。



「これは、一か八かだ。それでも――」



 エリオとマキ。

 二人に、小さく笑いかけながら。



「二人とも、覚悟はできているか?」――と。







「リリアナ。どうする?」

「…………そうですね」



 リリアナは少々、落胆したような声色でアルナに答える。

 キーンの魔法は自分の足元にも及ばないのは、戦前から理解していた。しかしながら、なにかしら手を打ってくるだろう、そう思っていたのだ。

 しかし、蓋を開けてみれば彼は防戦一方。


 前衛のエリオにすべてを任せ、やるとしたらリリアナの魔法を妨害する程度。

 これでは、どう考えても遅延行為にしかならない。



「だったら――」



 リリアナは、一つ息をついてから。

 マリンとアルナを見て、こう告げるのだった。



「もう、終わらせましょう。私の魔法で」――と。



 直後、今までにない魔力の奔流が王女を包み込む。

 それを確かめたアルナは、呆れたように小さく首を振って言った。



「あぁ、そういうことか。分かったよ」



 剣を構え、真っすぐにエリオを見る。



「でも、頼むから訓練場は壊すなよ……?」

「さぁ? それは約束できませんね」

「おいおい……」



 少年騎士は苦笑いを浮かべた。

 その直後だ。



「ん……!?」

「あちらも、動き始めたようですね」





 キーンたちの動きに変化があった。

 そして、その一手は戦況を大きく動かし始める。



 


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新作書きました。

下記のリンクから飛べますので、応援いただけますと幸いです。

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