3.越えられない壁。
まさかの、書籍版の万年2位が重版です( ゜Д゜)!
応援ありがとうございます!
そして、続刊も決定しました。
本当にありがとうございます!! 更新もボチボチとしていきますね!!
「キーンさん、その……」
「ん、どうしたんだい。マキ?」
「さっき王女様から云われたこと、大丈夫なのですか?」
「…………あぁ、心配そうな顔をしていると思ったらそのことか」
キーンたちは呼び出しを受けて、訓練場へと足を運んでいた。
その最中、マキがキーンにそう問いかける。青年は眉をハの字にしてしまっている少女の言葉を聞き、納得したように小さくそう口にした。
ほんの少しだけ足を止めて思い出すのは、リリアナの宣告。
キーンは、あえてそれを繰り返すように口にした。
「マキとエリオの実力はすでに分かっている。でも、それに反して『貴方の実力はまだ、信用ならない』――か」
キーンを除く二人の力は、すでにマリンとアルナから聞き及んでいる。だから、すでにクレオの傍にいることを容認しているが、彼だけは違うのだ。
すなわち、彼女たち以上に圧倒的成果を見せなければ――。
「おそらく私の場合は、生半可な成果だけでは認められない」
無難ではいけない。
クレオという規格外と共にあるためには、彼もまた規格外になる必要があった。総合力では届かないとしても、クレオと並び立つに値する特異性を。
ただ同時に、キーンは分かっていた。
「…………」
――自分が魔法使いとして、リリアナに届いていないことを。
実際に言葉を交わし、先ほど本気の彼女と向かい合って察した。
王女リリアナの秘める魔力量は、桁違い。クレオやキーンのそれも十分に平均以上、類稀な才能であると断言できた。それでも王女の魔力は、段違いなのだ。
天賦の才と言えばいいのだろうか。
いいや、それだけではない。
リリアナから感じられる自信は、それ以上の努力を感じさせた。
キーンを上回る天賦の才に、並外れた努力値。
「きっと、真正面から戦っても私は勝てないだろうね」
それを肌で感じて。
キーンは素直にそう言うのだった。
決して卑屈になっているのではなく、純粋にリリアナを称えるように。それを聞いてエリオとマキは、不思議そうに顔を見合わせた。
なぜ、不思議に感じているのかといえば――。
「キーン、どうして笑っているんだ?」
青年が、どこか嬉しそうに微笑んでいたから。
自分は勝てない。そう認めた上で、どうして笑うのか。
彼はエリオに訊ねられ、短く息をつき、そしてこう答えた。
「あぁ、今は気にしないでくれ。とにかく――」
真剣な眼差しを二人に向けながら。
「全員で勝つ。今は、それだけを考えよう」
そう告げてから、誰よりも先に訓練場へと足を踏み入れるのだった。




