1.決戦の舞台へ。
書籍版もよろしくお願いします!
そちらでしか読めないストーリーもありますので!!
(`・ω・´)ゞ
「久しぶり、だな。王城に顔を出すのも……」
ボクは王城の中にある騎士団員の訓練場で、思わずそう口にした。
決闘が行われるということもあって、騎士団員のみなさんは運営に回っているようだ。ぶつかり合う金属の音はなく、話し合う人の声に満ちている。
広々とした土がむき出しになった空間。
そこにボクたちパーティーメンバーは立っていた。
「よう、きたな。クレオ」
そんなこちらに声をかけてきたのは、騎士団の副団長。
これから決闘を行うとは思えない気軽さで、アルナは笑っていた。
「エリオたちを控室に案内しろ、って言われてな」
「そうなんだ」
ボクが頷くと、彼もまた頷く。
そして手招きをして、ボクたちを訓練場から少し離れた一室――控室というにはやや豪勢な作りをしたそこに通した。仲間たちがソファーに腰かけるのを見ると、アルナはこちらを見て不意にこう言う。
「あぁ、クレオには特等席が用意してあるぜ」
「特等席……?」
「おう」
首を傾げるボクを見て、彼はまた手招き。
どうやらここでキーンたちとは一度、離れ離れになるようだった。しかしそれも公平を期すためには必要なことだろう。
そう思って、ボクはまたアルナについて歩く。
その道中で少年騎士は、ほんの少し昔を思い出すように言った。
「俺はてっきり、クレオも騎士団に入るものだと思ってたんだ」
「ボクが騎士団に……?」
答えると彼は、頬を掻きながら続ける。
「俺はクレオ以上に強い奴を知らなかったからな。たしかに剣技の面だけでは、俺はお前に勝っていたかもしれない。だけど、それ以外は――」
そこで言葉を切って、アルナは笑った。
悪戯好きな子供のような、無邪気な表情で。
「さて、着いたぜ」
そんな彼にこちらが呆然としていると、どうやら到着していたらしい。
ある扉の前で、アルナは道を譲ってきた。
「俺はこれからリリアナとマリン、二人と打ち合わせするからさ。クレオはこの扉の先にいるやつと、談笑していてくれ」
「え、うん……?」
そして、そう言うと。
アルナはボクに背を向け、去って行ってしまった。
「誰、だろう……?」
残されて、首を傾げるしかない。
しかし中に入る以外に選択肢はないようだった。
そんなわけで、ボクはドアノブに手をかけてゆっくりとそれを開く。
「うわぁ……!」
すると、そこに広がっていたのは先ほどの訓練場。
それを俯瞰するような、大きな舞台だった。なるほどたしかに、ここは特等席と言って然るべきだろう。そして、その景色に目を細めていると――。
「あぁ、お前がクレオか」
「え……?」
不意に、死角からそう声をかけられた。
見ればそこに立っていたのは、ゴウンさんに見劣りしない偉丈夫。重厚な鎧に身を包んだ彼は、皺の多い顔に笑みを浮かべていた。
しかし柔和なその表情に反して、まとう空気は鋭い。
潜ってきた修羅場の数が違うのだろう。
そんな戦士は、ボクに手を差し出しながらこう名乗るのだった。
「儂の名はアラン・ゴールドマン。待っていたぞ、アルナが認める者よ」
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