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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第23章

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121/211

8.エリオに生まれた新しい理由。

なんと、電子書籍版の配信は29日らしいです!!

という宣伝(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


皆様、よろしくお願いいたします!

※だいぶ近辺が落ち着きました。今日から更新します。








「リーディン家再興、か……」



 エリオは一人、夕暮れ時の王都立公園の椅子に腰かけてそう呟いた。

 セナの墓参りから帰ってきて早々に、クレオから伝えられた思わぬ吉報。あまりの不意打ちに、彼女はどこか心非ずになっていた。

 決闘は明日に迫っているのに、どこか鍛錬にも身が入らない。

 手を抜こうとしているわけではないのだが、それでもどこか力が出ない。


 もしかしたら、燃え尽き症候群、というやつだろうか。

 自分のせいと思い続けていた足枷。それが、真の意味で取り除かれた。そのことによって、エリオは今、次に自分がなにをすれば良いのか分からなくなっているのだ。



「アタシはこれから、なんのために……?」



 父であるクラディオの死から、間もない。

 そこに降って湧いたことだから仕方ないといえば、仕方ないのかもしれない。だが、このままでは自分が駄目になる。彼女はそうも思っていた。

 だから一度、頭の中を整理したくてエリオはここにやってきたのである。


 夕暮れに沈んでゆく公園。

 貴族の子供たちは、もう全員が家路についていた。

 だから、喧騒とはかけ離れた静寂が、いまのエリオを包んでいる。



「あ、こんなところにいたんですね!」

「え? あぁ、リナ。どうしてここに?」



 そんな彼女に背後から声をかけたのはリナだった。

 振り返るとそこには、以前より少し綺麗な衣服に袖を通した獣人の少女。セナの妹である彼女は、どこで買ったのか花束を手にしていた。

 そして、嬉しそうにエリオの隣にやってきて椅子に座る。



「どうして、じゃないですよ! せっかくお祝いしようと思ったのに!」

「お、お祝い……?」

「はい!」



 そう言うと、リナは花束を彼女に差し出した。

 次いで口から出たのは――。



「リーディン家再興、おめでとうございます!!」

「あ……」



 心からの祝辞だった。

 半ば強引に花束を受け取らされたエリオは、言葉を失う。

 しかし、そんな彼女の様子など知ったことではないといった風に、リナは元気いっぱいにこう口にするのだった。



「私、すっごく嬉しいんです! これでやっと、エリオさんは何にも縛られることのない、本当の意味での『自由』になれたんだ、って思えるから!」――と。



 その言葉に、エリオは思わず納得した。



「あぁ、アタシがいま迷っているのは――」



 ――突然に自由を得たからなんだ、と。


 自由とは、つまりなににも縛られないということ。

 それと同時に、自分で考えて行動する必要に迫られるということ。

 エリオは今まで何かしらの目的や、使命があって行動していた。良いものもあれば、悪しきものもあったが、とかくそれらは彼女の道を示していたのだ。


 だから、迷う。

 足元の明かりが突然に消えたから。

 あるいは、道標がなくなった、とでもいえばいいのだろうか。



「エリオさん……?」

「あ、あぁ。ごめん、なんでもないんだ」



 そう考えていると、リナに顔を覗き込まれていた。

 不思議そうな少女の表情に、思わず苦笑いをしてしまうエリオ。せめてリナには心配をかけないようにしよう。そう思って、一つ息をついた。

 そして、こう訊ねる。



「ところで、リナはこれからどうしたい?」



 漠然としていた、これからのことについて。

 エリオが王都に戻ろうとすると、当たり前のようにリナもついてきた。その理由はいまだに分からないまま。とりあえず、それを明らかにしたかった。

 すると獣人の少女は、小さな拳を胸の前で握りしめてこう言う。



「もちろん、リーディン家の給仕さんです!」

「え……!?」



 思わず、エリオの口からは素っ頓狂な声が出た。

 だがそれに構わずに、リナは続ける。



「お姉ちゃんがやっていたこと、もっと知りたいんです!」――と。



 それを聞いて、エリオはハッとした。

 同時に納得する。



「そう、か……」



 まだ、終わっていなかった、と。

 自分にはまだ、やることがあったじゃないか、と。



「駄目、ですか……?」

「いいや。そんなことない」



 いつか夢見た日々を、続けること。

 そして、セナに誓った。リナをしっかりと守る、ということ。

 おもむろにエリオは簪を取り出して、それを夕日にかざしてみた。決して高価なものではないが、彼女にとってかけがえのない宝物。

 そして、それはリナも同じだった。



「……えいっ!」



 少女もまた簪を取り出し、エリオに身を寄せながらかかげる。

 柔らかに日差しを反射するその輝きに、二人は自然と目を細めていた。



「アタシには、まだやることがある。そのために――」



 エリオは、ちらりとリナを見て頷く。



 ――この愛しさを守るために。



 自分はまだ、戦う。

 それが、彼女に生まれた新しい理由。



 ――大切な親友が繋いでくれた新しい絆を守り続けよう。



 エリオはその時、たしかに自身の胸に火が灯るのを感じたのだった。



 


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