7.マリンの一生懸命。
それぞれの思いを表明する感じになってますね。
今日は2話更新できるかも。
発売日も近付いているので、頑張ります!
マリンはシンデリウス家のリビングで、心ここにあらず、といった表情をしていた。それというのも、あのリリアナが取り決めた決闘について。
まさか妹であり親友のマキと戦うことになるなんて、思いもしなかった。
姉としては複雑な心境で、先ほどから窓の外を眺めてばかり。
「…………はぁ」
そして、こんなため息も何度目だろうか。
治癒専門の二人だ。直接の攻撃を相手に向けることはない。
そう、理屈では分かっている。しかし、感情がとても追いつかなかった。
「…………わたくし、は――」
「ずいぶん、思い詰めているんだな」
「え……?」
――どうしたらいいのか、と。
そう口から漏らしそうになった時だった。
部屋の出入り口の方から、彼の声が聞こえたのは。振り返るとそこにいるのは、やはりゴウン・オルザールの姿があった。
「もっと、肩の力を抜いたらどうだ?」
「………………」
マリンの隣に移動しながら、ゴウンはそう声をかける。
しかしながら彼女の表情は冴えない。黙って視線を下にやった姿を見て、彼は顎に手を当てて少しばかり考え込んだ。そうしていると、
「ゴウンさんは――」
「ん?」
「ゴウンさんは、どう思っていますの?」
まるで、答えを欲しがる実の娘のように。
マリンはゴウンにそう訊ねた。
「そうだなぁ……」
それを受けて彼は、また少し考えて。
すぐに一つ頷いてこう言った。
「俺様は、楽しみだな」――と。
その強面に、笑みを浮かべながら。
「楽しみ、ですか……?」
「あぁ、そうだ」
首を傾げるマリンに対して、ゴウンはこう告げた。
「娘たちが互いにしっかりとした目標を持って前に進む、成長する姿はとても楽しみなんだよ。少なくともお前らの年の頃の俺様は、遊んでばかりいたからな。正直なところを言えば、眩しくて仕方がないさ」
若い時分の己よりも先を歩く二人が、尊いのだと。
彼女はそれを聞いて、少しだけ自嘲気味に笑ってみせた。そして、一つ息をついてからこう自らのことを省みる。
「わたくしは、ただクレオの背中を追いかけていただけです。今も昔も、彼の遠い背中を一生懸命になって……」――と。
ゴウンの言うような、たいそうなものではない。
マリンはそう思っていた。だが――。
「なんだ、答えは出ているんじゃねぇか」
「え……?」
彼はそれを耳にして、あっさりとそう答えた。
困惑するマリン。そんな彼女に、ゴウンはこう告げる。
「誰かのことを想って一生懸命になれるなら、それに勝る答えはねぇよ」
「誰かのことを、想って……?」
「あぁ、そうさ」
そして、ゴウンは少しだけなにかに思いを馳せるようにしてから。
「明日は、楽しみにしてるぜ? 娘たちの成長、ってやつをな」
――ポン、と。
まるでマキにするかのように、マリンの頭に手を置いた。
「ゴウンさん――えぇ、そうですわね」
マリンは父代わりの彼の言葉を聞いて、胸の前で小さく拳を握りしめる。
どうやら、答えは出たようだった。
「貴方の娘たちの成長、楽しみにしていてくださいね?」
「あぁ、ありがとうな」
微笑みを浮かべて。
彼女は、ゴウンにそう宣言するのだった。




