6.騎士団団長――アラン・ゴールドマン。
一日空けてしまい、申し訳ないです。
発売まで一週間を切りましたので、改めてよろしくです!
アラン・ゴールドマンは、現騎士団団長だ。
齢五十を超えてなお現役であり、並び立つ剣士は他にいないとされている。そんな彼のもとに、アルナが冒険者たちと決闘を行うと届いたのは、昨日のこと。
明日には騎士団の訓練場で試合を執り行う、ということだった。
あまりに唐突な決定ではあったが、彼にとっては楽しみでもある。
「あのアルナが、この騎士団にきてから一番鋭い眼をしておるな」
何故なら、あのアルナが際立って真剣な表情をしていたから。
無論だが普段の彼が手を抜いている、というわけではない。それに輪をかけて、訓練に熱がこもっていると、そう感じられるのだ。
もっともそれの相手をしている団員は、完全に息が上がっているが。
だが何より、アルナの力を評価しているアランには嬉しいことだった。
そして同時に興味を抱く。
「アルナにここまでの眼をさせる冒険者――か」
少年騎士は常々、クレオという名を口にしていた。
しかしながら今回の決闘において、相手の面子にその名前はない。そのことには少々残念がったアランだが、懐かしい名を見て小さく笑みを浮かべた。
かつてこの国――特に騎士団の設立において、名高かった家系の名だ。
エリオ・リーディン。
その女性の名をアランも覚えていた。
かつて学園にて、剣技で名を轟かせていた少女。家がなくなって以降に行方知れずとなっていたが、ここでその名を耳にするとは思いもしなかった。
アランは、副団長の顔色が変わった理由をそこに見出している。
「若き才能の再集結、か。これは――」
何はともあれ、明日の決闘は見物だった。
だから彼はこう呟く。
「儂もうかうかとしては、おれんな」――と。
もうすでに、孫のいる老体ではある。
しかし、この血沸き肉躍る感覚はいつになっても変わらなかった。
アラン・ゴールドマン――騎士団団長の座に君臨する偉丈夫は、静かな笑みを浮かべながら団員たちの修練を見守る。
そう遠くない未来に訪れる、戦いを見据えながら……。




