5.与えられる試練。
連続更新、4日目。
短いですが、ご容赦ください。
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「クレオと一緒に、王城に行きたい……?」
「はい。そうです、リリアナ王女」
数日後、再びリリアナが宿を訪れた。
その時にボクはキーンとエリオさん、マキの三人を引き合わせて交渉。緊張の面持ちの女性陣二人と対照的に、落ち着いた様子でキーンが頭を垂れていた。
そんな彼を見て、ソファーに腰かけ紅茶を啜るリリアナは静かに目を閉じる。
何かを考えている様子で。
しばしの沈黙の後に、彼女はおもむろにこう口にした。
「なるほど、それなら――」
薄らと目を開き、キーンを見据えながら。
「それ相応の実力と覚悟、示していただきたいですね」――と。
後ろに控えるエリオさん、マキの二人も見ながら。
リリアナがそう告げるとキーンは、面を上げて訊ねた。
「試練、というものでしょうか?」
「そうなりますね」
短いやり取り。
そして、ボクの幼馴染である王女はその内容を述べた。
「日時は明後日、正午。場所は騎士団の訓練場が良いでしょう」
紅茶を一息に飲み。
立ち上がった彼女は余裕の笑みを浮かべて言った。
「内容は私とアルナ、そしてマリンの三人との模擬戦です。そちらはクレオを除いた三名、真剣勝負で私たちを打ち負かしてみてください」――と。
この国の若き才能、珠玉と謳われる三傑を相手とした戦い。
キーンたちの間には緊張が走った。しかし、それも一瞬の出来事で。
「分かりました」
数秒の間を置いてから、キーンがそう答えた時。
「問題ないね、エリオにマキ?」
「あぁ、大丈夫だ」
「はいなのです!」
もう、彼らに迷いはなかった。
こうして、一つの戦いの幕が上がる。
それはボクの仲間たちと、その後の命運を計るものだった。




