2.クレオへの依頼。
今日から2週間、毎日更新がんばります。
同時に新作を上げるという、まさかの自殺行為も(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
「えっと、リリアナ。久しぶり……」
「えぇ、お久しぶりです。そちらはずいぶん、自由に過ごしていたようで」
「あははは。これでも、色々と大変だったんだけどね?」
「はい。そのあたりのことは、アルナから報告を受けていますので」
ボクの言葉に、紅茶を口にしながらリリアナは答えた。
宿の談話室には独特の緊張感が漂っている。それもそのはず、王女がお忍びで訪れたとあっては、この宿の主も気が気でないはずだ。
自然と人払いがされ、現在この部屋にいるのはボクとリリアナ、アルナの三人だけ。紅茶を用意した従業員も、いつの間にか立ち去った。
「ところで、その象徴って? なんの冗談なのかな」
久しぶりに会う幼馴染との会話は、なぜか重苦しいものになる。
こちらが問いかけると、彼女は少しだけ間を置いてからこう答えた。
「アルナからの報告にもありましたが、少しばかり困った事態になっているのです」
「困った事態……?」
ボクが首を傾げると、リリアナは頷く。
「えぇ、クレオも対面したのでしょう? 赤の瞳をした種族――」
そして、こう言った。
「魔族、と呼ばれる者たちと」――と。
◆
「あれ、宿がやけに静かだな」
日も傾きかけた頃合い。
キーンはクレオに相談したいことがあり、宿へと向かっていた。
すると到着から間もなく気付くのは、普段なら多くの旅人が行き来するそこが、あまりにガランとしていること。
入口から中に入っても、誰もいなかった。
不用心だなと、そう思いながらキーンはひとまず談話室へと向かう。
「ん……?」
そうすると、聞こえてきたのは話し声。
身を隠して覗き込むようにすると、そこにはクレオとアルナ以外に、桃色の髪をした一人の少女の姿があった。
「あの女の子は、誰だ……?」
見覚えのない人物。
しかし、身に纏っている衣服から貴族であるのは分かった。
マリンの時のように、クレオの学園時代の友人が会いにきたのだろうか。
「魔族が、王城に潜伏している……ってこと?」
そう考えていた時だった。
クレオが真剣な口調で、そう言ったのは。
キーンは長い耳をピクリと動かし、そっと聞き耳を立てた。
「えぇ、そうです。私とお父様が秘密裏に調査を進めたところ、すでに魔族のものと思しき魔法の痕跡がいくつか発見されました」
「ということは、魔族がすでに内部で活動している……?」
「はい。大きな騒ぎにはしたくないので、家臣の中でも古株の者にしか伝えていませんが――現状では、いたちごっこです」
少女の口振りに、キーンはほんの少し違和感を覚える。
このような話をできるのなら、つまり彼女は王族の者ということになるからだ。だとすれば、護衛の一人もつけずに出歩くのは、まずあり得ない話。
しかしながら、身分を隠していればおかしな話でもないかもしれなかった。
それに、クレオとアルナの存在もある。
この王都において、彼ら二人の傍にいる――これが、どれほど安全か。
キーンはそのことをよく知っていた。
「それで、リリアナはボクにどうしてほしいの?」
そう考えていると、クレオが少女――リリアナにそう訊ねる。
すると彼女は大きく息を吸ってから、こう言った。
「私から、お願いをしたいのは一つ」
真剣な声色で。
「クレオ、貴方にこの国を救ってほしいのです」――と。
クレオだけではない。
物陰から聞き耳を立てていたキーンも、驚きの言葉だった。




