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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第21章

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9.すべてを背負い続けた男の、最期。

更新遅くなってすみませんでした((((;゜Д゜))))










 私はとにかく、恨めしかった。

 クレファスという家が、そしてそこに生まれた者たちが。

 リーディン家はいつもそうだ。奴らの陰となり、汚れ仕事ばかりを押し付けられ、迫害され続けてきた。その果てにあったのは取り潰し、没落という結末。

 辺境へと追いやられ、鬱屈とした日々を過ごした。


 一族の者たちにも絶望したのは、いつだったか。

 彼らは自らは何もせずに、ただ不平不満を口にするだけでなにもしなかった。誰も私を手助けすることもなく、毎日のように、漠然とした不安を述べるだけの傀儡。


 事の発端はどこなのか。

 それは考えても、致し方のないことだったかもしれない。

 だが私に残された怒りの捌け口は一つだった。



「クレファスに生まれたこと、リーディンに生まれたこと、ただその違い」



 そう、私にはなんの落ち度もない。

 生まれた時から、すべての行く末は決まっていた。

 どちらに生まれたか、それだけが、すべてを決めているのだ。



「ならば、すべてを壊そう」



 クレファスも、リーディンも。

 両家共倒れになってしまえば差異などない。

 そう決意したのは、いつの日だったか。私は文献を紐解いて、魔族との契約方法を発見した。そしてそれを達成するために、長い月日を費やしたのだ。



「貴様の剣には邪念がある」



 魔法学園生時代、クレファス家嫡男であったアイツはそう言った。

 どの口がそう言うのか。私は腹立たしかった。

 すべては貴様らのせいなのだ。



 だから、私は――。








「さーて、準備はいいか? ――エリオ!」

「あぁ、任せておけ。アルナ!」



 クラディオの動きが止まったのを見計らって、二人はそう声を掛け合って集まる。そして、あえて怪物の目の前に姿を晒すのだった。

 するとクラディオは目の色を変えて、一直線に二人へ猛進する。



「壊す、壊す壊す壊す壊すゥゥゥゥゥゥ!!」



 ひび割れたような声で、クラディオは得物を振りかぶった。

 それを振り下ろすタイミングを計って、アルナとエリオさんは同じ方向へ回避。クリムの言う通り、あいつの標的はあの二人なのだ。

 つまりボクのことは眼中にない、ないしは優先度が低い。



「だとすれば、隙はいくらでも……!!」



 壁に激突したクラディオ。

 そのがら空きの背中へ目がけて、ボクは――。



「光を纏え――【セイクリッド・ライト】!」



 剣に光のエンチャントをかけながら、思い切り振り下ろした!

 黒化した皮膚を、眩い光が抉っていく。

 肉を断つ感触があり、そして――。




「が、は……!?」




 ――ビクリ、と。


 クラディオの身体が脈打つのが、分かった。

 次いで溢れたのは、人のものとは思えない黒き血液ともいえない何か。勢いに任せて剣を振り切ると、彼の身体が綺麗に真っ二つになった。

 臓器などはなく、ただ黒いヘドロ状のものが流れ出る。




「離れろ、クレオ!」

「うん……!」




 アルナの言葉にハッとした。

 そしてすぐに、後方へと飛び退る。すると――。





「……え?」





 なにかが、聞こえた。

 それは若い男性の声だったようにも思える。




『私は、悔しかった』――と。




 彼はそう言うと、堪え切れずに泣き始めた。


 自分はどうすれば正解だったのだろうか、と。

 どのように振舞い、どのように訴えればよかったのだろう、と。


 それは、あまりに大きな重圧によって言えなかった、そんな言葉に思えた。

 だからボクは、思わず――。




「素直に、言えばよかったんです」

『え……?』




 そう、口にしていた。

 声のする方へと、ゆっくり歩み寄りながら。

 背中にはアルナとエリオさんの、呼び止める声を受けながら。




「貴方はきっと、自分が思うほど醜くないです。誰もが、少なからず苦しい気持ちや、嫉妬を持って生きています。だから、どうか――」




 ボクは、黒いヘドロへと手を差し伸べて。

 泣き続ける男性へ、伝えた。




「もう、一人で泣かないで下さい」――と。




 不思議な時間だった。

 ボクの言葉は、果たして涙する男性に届いたのだろうか。

 そう思っていると、彼は小さくこう言うのだった。




『君は、私を笑わないのか。笑わないで、いてくれるのか。そうか……』




 そして、今度は感極まったように唇を震わせて。




『あぁ、あぁ……! 最期に、君に会えてよかった……』




 そう、言い残して。

 黒いヘドロが霧となって消えていく。


 最後に残されたのは、クラディオの遺体だけ。

 ただ深い皺の刻まれた彼の顔には、どこか安心したような表情があった。




 


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