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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第21章

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7.クラディオの変貌。








「許さん、許さんぞ……!」




 クラディオは肩を震わせ、そう何度も口にした。

 ボクたちは彼をジッと睨んで動きを見る。その時だった。



「貴様らなぞに、このクラディオは屈したりせぬ! 嫉妬の炎を燃やし続け、ついに至った境地を見せてやる……!」

「クラディオ、なにを――」

「これさえあれば、この老いた身も蘇る! そして、貴様らに負けぬ力を!!」



 彼が一つの瓶を取り出し、中に入った液体を飲み干したのは。

 こちらの言葉など聞く気もなかったらしい。ニタリと笑みを浮かべた後に、クラディオの身体には異変が起きた。



「お、おぉ、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」



 彼の身体が、黒い靄に包まれる。

 そして、それが払われた時に現れたのは――。



「これ、は……!?」

「エリオと同じ、だっていうのか!」



 全身が黒化した、魔族になり切れないバケモノ。

 エリオさんと同じかとアルナは言ったが、それ以上に禍々しい。身体中の皮膚が爛れ、ところどころから黒い煙が噴き出していた。

 口と思しき位置からは、赤い液体を吐き出し続けている。



『きざ、まらには、まげなぃ……!!』



 不明瞭な発音で、クラディオだった者はそう言った。

 そして次の瞬間に――。



「なっ――!!」

「アルナ、危ない!!」



 その言葉よりも先に、クラディオはアルナに肉薄した。

 身体と一体化した剣を振り上げて、乱暴に叩きつける――!



「あ、ぶねぇ……!」



 寸前で回避したアルナは、後方に飛び退り体勢を整える。

 ボクとエリオさんは、動きの止まったクラディオを後方から斬り付けた。


 しかし――。



「消えた……!?」

「――っ! エリオさん、左!!」

「な!?」



 轟音響き渡り、エリオさんに黒い塊が衝突した。

 吹き飛んだ彼女は壁に衝突し、苦悶の声を吐き出す。



「……これは――」



 少しばかり、不味いことになった。

 ボクはクラディオと向かい合って剣を構えて、そう思う。




 未知の存在との対峙。

 それは、決して気分の良いものではなかった。


 


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