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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第21章

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3.クレオの怒り。

あとがきもよろしくです。

新作情報がありますので、そちらも応援いただけますと幸いです。






「嫉妬心を持つのは、人間なら誰にでもある。でも、それを誰か他の人に向けるのは筋違いだ。ましてやエリオさんみたいに、無関係な人を巻き込むことも……!」

「ほほう、ずいぶんと弁が立つな」



 クラディオは余裕綽々といった雰囲気で言う。

 ボクはその悪びれない態度に対して、さらに怒りを抱いた。それでも最大限に冷静を装って、こう続ける。



「貴方がやっているのは、八つ当たりだ。一族の禍根だとか、因縁だとか、そんなのは言い訳に過ぎない。要するにそれは――」



 遠慮などない。



「これはすべて、貴方の子供じみたワガママが引き起こした事態。リーディンが取り潰しになった原因もなにもかも――すべてが、貴方にある」

「………………」



 ボクは、クラディオにそう告げた。

 すると彼は押し黙り、口角を軽く震わせる。そして――。



「ほざくなよ、若造が……!」



 ついには語気を強めて、そう毒を吐いた。

 どうやら化けの皮が剥がれたらしい。大物然としていた態度の奥には、隠しきれない醜態があった。外道も外道。自らの行い、思想を正当化してきた男の姿。

 そして、それを全否定された故の憤怒。


 クラディオ・リーディン。

 かつて貴族であったという誇り、栄光に固執し、執着し続けた男の末路。それはあまりにも無残だと、そう思った。



「クリム……! クリムはいるか!!」



 そんな彼は、ついに怒りを隠すことなく魔族の女を呼ぶ。

 すると音もなく、彼の背後にクリムが現れた。



「いかがなさいましたか? 我が主」

「そこの生意気な小僧を摘まみ出せ! 不愉快だ!!」

「分かりました。それでは――」



 そして、そう命じる。

 直後にクリムは、ボクたちの目の前に移動していた。

 おそらくは転移魔法、その上位互換。魔力の反応も微々たるもので、とっさに回避することはできなかった。



「貴方は、こちらに来てもらいますよ?」

「なっ……!?」



 クリムに腕を掴まれて、ボクは――。



「クレオ!」

「アルナ、リナ! すぐに戻るから!!」



 屋敷の外へと連れ出された。







「悪くは思わないで下さいね? 一応、命令なもので」

「………………」



 屋敷の外で、クリムはボクにそう言った。

 黙っていると彼女は静かに、ひとつため息をつく。



「本当に、主様は困った方です」



 肩をすくめてそう言ったクリムは、しかしすぐに笑うのだ。



「でも、その憂いも今日で終わりますから」

「……ん? それって、どういう意味だ」

「言葉のままですよ。私の見立てでは、主様は――」



 心の底から、愉快そうに。

 まるで主を主と、微塵も思わない口ぶりで。




「今日、この戦いで破滅いたします」――と。









「さぁ、邪魔者がいなくなったところで。本日のメインイベントを始めるとするか。――出てこい、儂の作り上げた最高の剣士よ」



 クレオが去った直後。

 クラディオはそう言って指を鳴らした。すると現れたのは――。




「…………くっ!」

「エリオ、さん……!」




 アルナとリナは、息を呑む。

 どこから飛び出したのか分からないエリオが、シャンデリアの上に着地した。激しい音を立てて、完全に崩壊するそれを気にもせず、彼女は獣のような呼吸をする。

 そして、こう口にした。




「ニ、ゲテ……!」




 黒化した全身。

 血の涙を零しながら。




「コンナ、ノ、イヤダ……ニ、ゲテ……!」

「エリオ……」





 必死に訴えかける彼女を見て。

 しかし、アルナは静かに剣を構えた。そして――。




「大丈夫だ、エリオ。お前は俺が――」




 まるで、親友と再会したかのような笑みを浮かべて。




「助けてやるから」




 そう、優しい声で告げるのだった。



 


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