サイダー
飲み干した瓶の中身は
どこへ行ったのかなんて
だあれも考えやしなくて
その刹那に必死に浸り
希望と絶望を呑み込む
ゴクゴクゴク、がむしゃらに
気泡と切望が胸を抉る
もっと、もっともっと
不確かなセイを追い求める
はち切れんばかりの胃袋と
削られてゆく心の在りどころ
比例しないのは卑猥
それでも任務を遂行するのは
野性の血を絶たせないため
宇宙の法則をかえないため
まっすぐな視線は手折る
可哀想なんて通用しない
あなただけの使命でしょ
くたばることは許されない
電流は繰り返し流される
蘇らせるひとがいる
飲み干した瓶の中身は
どこへ行ったのかなんて
今さら何を言うの
ばかばかしくて……
排泄されたに決まってるでしょ
そして循環されていくの
うつくしく おいしく いとおしく