僕の履歴
その旅は、結局······未知へと至らしめる旅だったのかもしれない。
それらの詩は、結局·····踏み越えてはいけない領域へと踏み込んでしまう詩篇だったのかもしれない。
確かに、詩が生命だった。詩が命だった。
しかしそれらを止めた今では、なぜそんなにも執拗に詩を求めたのかは、分からない·····
「結局、ヴェルレーヌは、息子を可愛がり過ぎたんだね····」
そう喫茶店で、菅沼さんは言う。
「·····」僕は何も答えない。
「ヴェルレーヌは、息子のランボーを可愛がった·····が、最後は破局した。」
「·····」まだ何も言いたくはない。
「詩なんてと思う人もランボーや、ヴェルレーヌの詩に触れれば少しは考えを改めるよ」
「そうですね·····」
「お父さんは相変わらず?」
「はい。父は小説を書かない僕を可愛がりません。長編を書けとばかり言って僕をシナリオ教室に通わせようとします。」
「そうかあ·····」
「君が詩を書くようになってずいぶん経つね。」
そう言い老人は目を伏せた。
「そろそろ·····」
「ああ、お帰りなさい。」
そう言われ僕は家へと帰る。
長い坂だ····ずいぶんと長い間、この坂を登っていた·····
家では父は、寝ている。
詩を書かなくちゃ·····
最初の一行は、いつも苦労する。こんなに書けるようになったのも、9年間の下積みのおかげだ。
一行を油汗流して、書く。
後はすらすらだ。途中ちょっとカットをする。
まあまあの出来かなあ。
ラインを返していなかった····
千草のやつ怒ってるのかなあ·····
ちょっと千草のやつに電話をしてみる。
「起きてる?」
「うるさい」
「相変わらず野球のこと?」
「うるさい。ばか。」
「僕は·····一生·····」
「何?」
「一生かけて、詩を書くつもりだ。」
「まだ親に逆らうの?」
「いや、長編も書くよ。いつか·····」
ふっとインスピレーションが湧いた。
「ちょっと待って!」
「どうしたの?」
「いや、何かしら·····」
「?」
「3人の子どもたちかあ····」
この時は、僕はまだ僕の童話がこんなに受けることも、そのせいでひどい戦いになることもなんにもわかってはいなかった·····




