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ぶち切れ聖女は激マズポーションを置き土産に逃亡する  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
1章〜ブチギレるまで

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3/25

1.崖っぷちで宣言、からの舌を噛む

「ずぇっったいっ、嫌よ!」


 小高目な崖の中腹で叫ぶ。高さ3メートル付近。


 岩壁が一部削れて欠けた、大人二人が並んで座れる程度のスペースがあるこの場所は、私の休憩スポットだ。なかなかの絶景である。


「フィデリカお嬢様〜、何もそこまで嫌がらなくても……」

「嫌ったら嫌!」

「お嬢様〜……見上げると首痛いんで、取りあえずそこから降りてくれません?」


 自分の首の為に懇願するのは、私の専属侍女。黒髪に焦げ茶色の瞳をした彼女の名前は、タミョルだ。


 困ったように、いえ、絶対、ちっとも困っていないのが透けて見える口調だ。


 高さもあるから、タミョルが首の痛みを訴える気持ちも、わからなくはない。


 当然、落ちると高確率で大怪我をする。大人でも、登っている人など見た事がない。


 だからこそ、私的には穴場なのよ! 自分の身体能力には感謝しかないわ!


 それにしてもタミョルは、私という伯爵令嬢の侍女をやってる自覚はないの? もう少し、心配してくれてもいいんじゃない?


「タダで降りたら、登り損じゃないの」


 だからつい、そんな憎まれ口を叩いてしまう。


 私の名前は、フィデリカ=カミュリッチ。

プリプリお肌の12歳。今のところ健康優良児。これでも伯爵令嬢だ。


 なお、ちょっぴり背が低いのは、お母様からの遺伝だと思う。


 けれど前世……いえ、()()()の私は、2年後となる14歳から、とある理由によって徐々に病弱令嬢になっていく。


 お人好しが過ぎたんだと、今なら思う。


 そのせいで回帰前の私の身長は、大して伸びなかった。


「そんな未来には、もうならないわ。絶対、回避してやる。そう、だから……」

「え? お嬢様〜、何か仰いましたか?」

「あら、私ったら。いつから独り言を言っていたのかしら?」


 タミョルの言葉に、我に返って呟く。


 けれど、ちょうどいいわね! まずは今後も私専属の侍女をしてくれるだろうタミョルに、きっぱり宣言してやろうじゃないの!


「絶対の絶対の絶対に! カリエル第二王子と結婚なんて! お断りよー!!!!」


 時刻は、よく晴れた日の早朝。私の宣言は、崖下までしっかりこだました。


「はあ~、スッキリし――」

「お嬢様……結婚じゃなくて、婚約ですよ〜」


 タミョルが呆れる。ものすごくやる気のなさを感じさせる口調で、崖下からツッコミを入れられてしまった。


「くっ、一々つっこまないで! それくらい、わかってるわー!」

「だったら早く降りて下さ〜い! あと今回は私、お嬢様のアリバイ工作はしてませんよ〜! さっさと帰らないと、間違いなく旦那様がお嬢様の捕獲に、猟犬ブラザーを解き放つと思いま〜す!」


 語尾を間延びさせたタミョルの言葉に、私はギョッとしてしまう。


「何ですってぇ!? 私を迎えに来る際には、アリバイ工作しといてって、いつも言ってるじゃない!?」

「ふふふ、わかってませんね。タミョルはここぞという時の、お転婆を諌めるタイミングは逃しませんよ!」

「侍女なのに、なんて悪い顔してるの!? あ〜、もう! お兄様が迎えに来る前に、帰るわよ、タミョル!」

「お嬢様は自分で思ってるより、チマッとしたドジっ子ですからね。転がらないよう、気をつけてお降り下さい、可愛らしいお嬢様」


 くっ! チマッともドジっ子も余計よ! しかも実は礼儀作法が私よりも完璧な侍女が、嫌味のように美しい所作で一礼したわ! 


「でも諦めないんだから! プランBを決行してやる!」

「はいは〜い、ほらほら、ロープはどこです? しっかり握って、足元しっかり見極めて降りないと危ないですよ〜!」


 私の日々の言動に慣れきったタミョルは、侍女なのに余裕をかましている。


「見てなさい! 最近習得した、この駆け降り技術を!」

「へ? ちょっ、お嬢様!? ロープは!?」


 宣言してから、ここ数日で取得した奥義を披露する為、スクッと立ち上がる。


 もちろんロープなんて、最初からない。そのまま垂直に近い岩壁を、まずは数歩走る。


「タミョル、慌てるなんてまだまだ、ッガッ!」


 私が落下するのを抱き止めようとでもしているのか、右往左往しながら移動するタミョル。


「調子に乗って、舌噛まないで下さ〜い!」


 なのに、私につっこみを入れるくらい、余裕があるのね!?


「負けな、ッガッ!」

「また〜!」


 くっ、痛いわ! けれどまだまだ、この程度の舌の衝撃なんて、へっちゃらよ! 二度噛みはまあまあ痛いし、鉄臭い味が口に広がるけれども!


 もう着地するまで、二度と喋ってやるもんですか!


 そう無言で決心し、体のバランスを取ってブーツの爪先を上げ、踵を使ってスピードを緩める。


 ――ザザザザッ。


 動き安さと登り安さを重視して作った、お気に入りのブーツだけれど、踵が磨り減るのは気にしない! タミョルにひと泡吹かせてやるわ!


 崖の所々に隆起した、登り下りの足場に使うスポットへ片足を乗せる。


「ほうほう?」


 ちょっとタミョル? 感心した声を出したわね! 見守りスタイルに切り替える前に、もっと慌てなさいよ!


 同じ要領で、更に下にあるスポットに移動しつつ、勢いを殺しつつ、岩壁を縦移動するだけでなく、横移動もしていく。


 徐々に近づく、地面に雑草が茂る地点。


 地面までタミョルが二人分という高さの所で、えいっ、とスポットを蹴り、雑草に着地。


 からの、即座に落下の勢いで足を痛めないよう、横に倒れて転がった。


「わぁ〜、野生化に磨きがかかりましたねぇ〜」


 タミョルはそう言いながら、パチパチと拍手する。


 けれどタミョルの視線は、私に怪我がないか目視するのに忙しなく動いているのを確認した。


 心配されている事に、気を良くする。


「ええ、無傷だから安心して!」

「でしたら、二度と崖には近づかないように……」


 まずい、タミョルの小言が炸裂するわ!


 見た目と口調だけは、おっとり美少女風のタミョル。


 けれど騙されてはいけない。実年齢は三十路だ。一度火が着いた小言は、とっても長い!


「さあ、帰るわよ!」

「もう〜」


 不服そうなタミョルを後ろに従え、邸に帰還――する前にお兄様に捕獲され、邸に連行されてしまったのだった。

お久しぶりです!

本日、投稿タイミングの研究がてら、4話連続投稿していってますヾ(≧∇≦)

しばらくは毎日投稿です(*´∀`*)

ジャンルは最後まで悩みましたが、ファンタジーにしました!

詳しくは活動報告でくわしく書いてるので、良ければご覧下さいm(_ _)m


◆お知らせ◆

3月5日にベリーズファンタジーより、新刊が発売されます!

【稀代の悪女】と作風が似て、シリアスが逃亡する書き下ろし作品です( ´艸`)

規約違反になるので、小説投稿サイトのベリーズカフェでのみ一章まで公開しています。

https://www.berrys-cafe.jp/book/n1773402


noteとはてなブログで販売サイトを勝手にまとめているので、試し読みしてお好みでしたら、ご購入下さい!

◎note◎

https://note.com/arashihanako1/n/n69e8ad362b89

◎はてなブログ◎

https://arahana-ashika.com/entry/2026/02/15/124149


◆ヒロイン小話◆

何故か稀代の悪女の編集様の時同様、ベリーズファンタジー編集様とも

「ヒロインは元々、純粋じゃないので、純粋からの悪女的な過程はありませんよ?中身年食った人間なんで、転生しても最初から悪女寄り、てか人生経験ある普通の人間ですよ?」的なやり取りをしたので、どちらのヒロインも根本性格が似てます(・∀・)

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