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ぶち切れ聖女は激マズポーションを置き土産に逃亡する  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
1章〜ブチギレるまで

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20.兄としての見解〜カリエルside

「おいおい、カリエル。フィデリカにあんなもん送ったってのは、本当か?」


 ノックもせずに生徒会室へ入ってきたガルヴァウ。そんな彼が言う、あんなもんとは、王印を押した正式な婚約決定証書についてだろう。


 フィーの性格を考えれば、婚約決定証書と共に同封した私の脅迫状を他人に見せたとは考えにくい。


 何よりも今、ガルヴァウは呆れ顔だ。


 もしも脅迫状の存在を知っていたなら、流石にこんな顔はしないはず。


「そうだよ。フィーは烈火の如く怒るだろうね」

「まあ、怒るだけで終われば良いが……」


 やはりガルヴァウはフィーの兄として、妹が怒ると予想している。


 けれどガルヴァウの語尾には、含みがあるように感じる。


 少し引っかかるね?


「ふうん……」

「何だ?」

「ガルヴァウも同じくらい、怒るかと思ったよ」


 ガルヴァウの表情を窺いつつ、嫌われただろうかと探りを入れてしまう。


 未来から戻った私が顔色を窺う人間など、カミュリッチ家の家族達しかいない。


「正直、腹が立たないかと言われたら、立つ。王命だなんて、フィデリカの気持ちはどうなんだよ。大体フィデリカは当然だが、お前だってまだまだ若い。何でそんなに焦ってんだ?」


 流石、ガルヴァウ。私の焦りに気づくなんて……。


「それは……」


 言い淀んでしまう。確かに焦っている。既に私の体調には、僅かながらも異変が生じている。


 けれど、まだガルヴァウに伝えられない。私が全てを思い出し、王都へ戻ってから数日しか経っていないから。


 私が【あの女】の仕業だと気づいた事を、まだ周囲に悟られるわけにはいかない。


 ガルヴァウとフィー。そして兄妹(二人)の両親。


 未来から戻った私にとって、家族と呼べる人達だ。危険に曝すわけにはいかない。


 ただ……カミュリッチ夫人は、どうして生きているんだろう? それだけが不思議だ。


 一度目の人生において、夫人は今よりもずっと昔に亡くなっていた。


 まさか回帰したせいで過去が変わり、誰かが夫人の未来を変えたとでも言うのだろうか?


 つい考えに没頭しそうになった時、ガルヴァウがため息を吐いた音が耳に入る。


「ま、何か理由があんだろう。でもな、カリエル。俺の妹を見くびりすぎだ」


 私が回帰していたとしても、12歳の頃()のフィーを知らない。私達が出会うのは、本来ならあと数年先だった。


 フィーの性格は、私が思っていた以上にヤンチャだ。もちろん、ヤンチャなフィーも愛しいけれど。


 そして今のフィーは、まだ12歳。子供だ。子供にできる事など、たかが知れている。


 フィーの父親(義父)ガルヴァウ(義兄)さえ説得すれば、私はフィーを手に入れられる。


 そう考え、ガルヴァウを説得しようと口を開く。


「フィーの意向を汲んでいないのも、急ぎすぎてるのもわかって……」

「違う」

「ガルヴァウ?」


 なのにガルヴァウは、私の言葉を遮って、力強く否定した。


「間違いなくフィデリカは、婚約そのものを無効化する方法を見つけ出す」


 確信したかのような物言いだった。


 私は僅かに眉を顰め、ガルヴァウの本心を見定めようとする。


 しかし彼の表情を読むに、今の発言は本心だったと察せざるを得ない。


 回帰前に私が見たガルヴァウは、妹であるフィーと接する時、乱暴な言葉遣いとは裏腹に、いつも手加減して接していた。ガルヴァウにとって妹とは、守るべき存在。


 今目の前にいるガルヴァウもまた、回帰前のガルヴァウと同じように考えているはず。


 なのにフィーの実力に関する認識が、私とズレている。どうしてだろう?


「フィーはまだ幼い令嬢だよ? 大人だって滅多な事で、王命を覆せない。フィーには難しいんじゃないかな」


 とは言え、フィーとの婚約を確固たる物にすべく、カミュリッチ家の次期当主であるガルヴァウを懐柔したい。


 だからわざと笑って、大丈夫だと言外に告げる。


「はあ……ったく。まあカリエルがそう考えてんなら、それでもいい。俺の妹に足下すくわれて、派手に転んじまえ。だけど俺は忠告したぞ」


 ガルヴァウがため息を吐いたかと思うと、気持ちを切り替えたのか、ニヤリと笑って言い放つ。


 そんなガルヴァウが、ふと窓の外を見た。

その時だ。


「げ」


 ガルヴァウが、ヤベ、という意味を含むだろう呟きを、一つ落とす。


 私はどうしたのかと、口を開くものの、結局、声を発しなかった。


 正直、そんな時間もなかった。


 ガルヴァウが私の方へ振り向き様に、床を蹴り、私にタックルをしたのだ。


 えっ、ちょっ、予想外突のガルヴァウ(フィー兄)による奇襲かな!? 実は彼の妹へ無理矢理に婚約を突きつけた私へ腹を立てていた!?


――ドガァン!


 という考えがよぎるくらいには、私も後ろめたかったんだと思う。


 一瞬、そんな風に思ったりしたものの、ガルヴァウが私を抱きしめて床に倒れた直後。ガルヴァウが見た方の窓が、破壊音と共に壁ごと内側へと吹き飛んだ。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

ちょっと電動ドリルで親指を爪の上から掘り、地味な痛みで集中力が途切れてしまって毎日更新が隔日更新になかも知れません(;・∀・)

※Xに証拠画像を投稿中…グロい掘り痕は見えなくしてます(^_^;)

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