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ぶち切れ聖女は激マズポーションを置き土産に逃亡する  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
プロローグ

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プロローグ・ぶち切れ聖女の強襲②~ケモック二世side

「あ~ら、神官長。アンタは初めてだろうけど、私はアンタを()()()いるわぁ~。ガリガリ神官長じゃ、大したクッションにもならなかったみたいね~。都合よくピンク頭と伸びてくれちゃって~。飛んで火に入る何とやらね~」


 ニヤリと黒くて悪い笑みを浮かべるフィデリカは、神官達へ不敵に言い放つ。


 12歳とは思えぬ圧に、神官達はザワつく。


「そ、そなたがやったのですか!?」


 戦いならまだしも、平和ぼけした神官の日常とは無縁の、こんなアクシデントに慣れているはずもない神官。そんな神官の一人が、上ずった声でフィデリカに問う。


 その神官は言いながら、上に載った女の下から救出した神官長を庇うようにして立つ。魔法で防御壁を張ろうとしたのだろう。


 神官が手を前に突き出そうとした。


「ケモック二世!」

「えっ、あ、メ、メエェェェ~!」


 神官には目もくれないフィデリカから、突然、声をかけられた。


 すっかり忘れていた段取りを、一拍置いて思い出した我は、太い鳴き声を上げる。


 聞いた者の体を痺れさせる、獣化した時のみ使える特殊魔法だ。


「か、体が動かない?! ヒッ! あの少女らしからぬ圧は何だ!?」

「まさか、辺境に蔓延る魔国の者!?」

「ま、魔族か!」


 口々に喋る神官達よ、少女らしからぬ圧には同意する。


 しかしフィデリカは魔国の者でも、お前達が魔族と呼ぶ、我ら魔国の住人でもない。


「ふっふっふっ。何でかわからないけれど、寝室から衛兵? 護衛? を遠ざけてくれていて助かったわぁ~」


 視覚的には見えずとも、ドス黒い漆黒の何かを撒き散らしていそうなフィデリカは、不気味に笑って神官達に一歩、また一歩と近づいていく。


「「「ひ、ひいぃぃぃ~」」」


 神官達は、心の底から悲鳴を上げる。


 我は心の中で、そっと手を合わせるに留め、これから起こる光景を見守る事にした。


    ※※※※


「……気の毒に……」


 この場の人間達を、恐怖と混沌へ突き落とすフィデリカの所業を前に、我はドン引きしながら小さく呟いた。


 しかし暫くした頃、次の犠牲者が自分からのこのこ現れてしまった。


 ――バン!

「テレス! 俺の婚約者! 大丈夫か……え?」


 現れたのは、目の下の隈を隠せないくらい濃くした青年。


 明らかに身なりが良い青年は、この場の惨状に目を丸くした。


「あ~ら、アンタは……誰だっけ?」

「第一王子のアントニウスだ! 俺の顔も知らぬ不届き者……ヒゥッ」


 血走った目を向けたフィデリカの迫力に、恐怖したように言葉を飲みこむアントニウス。


「お、王子! 相手は幼い少女の皮を被った凶悪犯罪者、いや、もしや魔族かもしれません! お下がり……」

「ふ~ん、どっちにしても、飛んで火に入る何とやらね~」


 すると遅れて登場した護衛らしき騎士達の一人が、アントニウスとフィデリカの間に立つ。


 しかしニヤリと黒い笑みを浮かべたフィデリカが、言葉を遮った。


「ケモック二世!」

「メ、メエェェェ~!」

「か、体が動かない?!」

「ひ、ひいぃぃぃ~」


 フィデリカから、第一王子は普段から威張り散らしていると聞いていた。


 しかしそんな第一王子も、初対面のフィデリカへ感じる恐怖が甚だしいようだ。


 いや、アントニウスだけではない。彼と共にこの場に馳せた騎士達すらも、フィデリカに畏怖の念を覚え、ただでさえ痺れて思い通りにならない体を竦ませる。


 先程の神官達同様、フィデリカに為されるがままとなると予想した我は再び、ドン引きして呟く。


「……気の毒に……」


 心の中で、再び手を合わせた。


    ※※※※


「さあ、終わったわ。

次よ、次!」

「……どうせ連中は、正気を取り戻すだろう。もうこのまま……」

「まだよ! せっかくそこの寝台で座ってる国王から、直接許可を得たんだもの! 今度は()()()を殺るわよ!」

「殺す方のやるって言ってないか!?」

「ちょっとやる気が空回りしただけよ。ケモック二世は、目ざといのよ! やるわよ、婚約破棄をね! はっはっはっはっー!」

「ふぐっ!?」


 高笑いするフィデリカが、再び我の背に跨がった。


 思わず呻いた我の獣耳に、離れた場所でヒソヒソと話す神官達の声が届く。


「やばい少女が聖女に……」

「やはりアレ、聖女か……」

「悪の魔少女、んんっ、魔聖女……」


 つい今しがた、国王と神官長に聖女と認められたばかりのフィデリカへ、神官達は信じられないといった視線を向けておる。


「うっ、うっ……私、悪くありませんわ……」


 泣きながら砕け散った首飾りをかき集める女の声も獣耳(ケモミミ)が拾う。だが我は冷めた目を向けるに止めた。


 フィデリカを乗せ、悠々とした足取りで大破した窓際へと向かう。


「我が友、ガーゴイルよ!」


 城の上空に待機させていたガーゴイルを呼んだ。


――ドガバキドガァン!

「ギャオォォォ!」


 何故か城の天井が崩落し、我の友が惨状、いや、参上した。


「「「「「……」」」」」

「ナイス登場! やるじゃない! 気に入ったわ!」


 我も含め全員が無言になる中、喜んだのは、我に跨がるフィデリカだけだった。

お久しぶりです!

本日、投稿タイミングの研究がてら、4話連続投稿していってますヾ(≧∇≦)

しばらくは毎日投稿です(*´∀`*)

ジャンルは最後まで悩みましたが、ファンタジーにしました!

詳しくは活動報告でくわしく書いてるので、良ければご覧下さいm(_ _)m


◆お知らせ◆

3月5日にベリーズファンタジーより、新刊が発売されます!

【稀代の悪女】と作風が似て、シリアスが逃亡する書き下ろし作品です( ´艸`)

規約違反になるので、小説投稿サイトのベリーズカフェでのみ一章まで公開しています。

https://www.berrys-cafe.jp/book/n1773402


noteとはてなブログで販売サイトを勝手にまとめているので、試し読みしてお好みでしたら、ご購入下さい!

◎note◎

https://note.com/arashihanako1/n/n69e8ad362b89

◎はてなブログ◎

https://arahana-ashika.com/entry/2026/02/15/124149


◆ヒロイン小話◆

何故か稀代の悪女の編集様の時同様、ベリーズファンタジー編集様とも

「ヒロインは元々、純粋じゃないので、純粋からの悪女的な過程はありませんよ?中身年食った人間なんで、転生しても最初から悪女寄り、てか人生経験ある普通の人間ですよ?」的なやり取りをしたので、どちらのヒロインも根本性格が似てます(・∀・)

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