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ぶち切れ聖女は激マズポーションを置き土産に逃亡する  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
1章〜ブチギレるまで

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17.とうとうぶち切れた聖女

「……そう……そう、くる? ふふふふふふふ」


 手にしていた二通の手紙をグシャリと握り潰す。


 一通の手紙には、王家の印。もう一通には……。


「お嬢様、歓喜でトチ狂いましたか」

「タミョル、怒りにトチ狂いそうなだけよ。やっと王子が帰って、ガルヴァウ兄様も王都へ出発したかと思ったら……」


 私がロリコン変態野郎の股間に膝蹴りをお見舞いした翌日。カリエルは、生まれたての子鹿のように、足を震わせながら馬車で帰った。


 学園があるからと、兄もその三日後には馬に乗ってここを発った。


 と思ったら、その一週間後の今日、王族御用達の郵便鳥が、この邸に手紙を届けに飛んできた。


 この領から王都まで馬で一週間。馬車なら十日はかかるはず。


 あの郵便鳥なら、王都から一日でこの領へ飛んで来られたる。


 さすがに早すぎる。カリエルは途中から、馬で帰ったに違いない。


 となるとお兄様は、この手紙が告げるカリエルの()()には関わっていない。


 と、信じたい。


「チッ、あの速達専門鳥め。焼き鳥にしてやれば良かった。こんなくだらない紙、運んできてくれちゃって……」

「お嬢様、心の声がダダ漏れですよ。王族御用達の速達専門なんで、体も引き締まって余計な脂肪がないから、硬くて不味いですよ、きっと」

「タミョル、その通りだと思うけれど、そういう事じゃないわ」


 言いながら、確かに不味そうね、なんて味を想像してしまった。


「王家の印章を押した正式な婚約を告げてくるなんて。しかももう一通の……」

「第二王子からのプライベートレターには、何て書いてあったんです?」


 蛮行レターは、王家がカミュリッチ家へ宛てた婚約の決定通知書。


 だから私の手元に届く前に、お父様が開封していた。


 手紙には一応、打診と書いてはいる。いるけれど、悲しいかな、うちは格下貴族。


 カミュリッチ家側からは、断る事ができない。


 いや、できるっちゃできる。


 でも、やっちゃうと確実に、王家から睨まれる。領、ひいては領民達に、迷惑がかかりかねない。


 お父様とお兄様も……まあ、肩身の狭い思いはするだろう。


 この手紙を渡してきたお父様は、とっても申し訳なげな顔をしていた。


『フィデリカ……私達家族だけで片づかない問題なんだ。よく考えて? ね? でもね……もしそれでも、どうしても嫌だって言うなら……もの凄〜く気が進まないけど、断るよ?』


 お父様は、もの凄〜く断らないでくれ〜と懇願した顔と言外の言葉を放ってはいたけれど……最終的には私の判断に委ねてくれていた。


 と、思いたい。


「脅迫文よ」


 そしてもう一通は、未開封のまま渡された。カリエルが私に宛てた、個人的な手紙だったから。


 内容は本当に脅迫文。私の腹パン及び、膝蹴りについてが書かれてある。


【婚約者となるなら、スキンシップの一貫だと思って笑って許せるね】


 ですって!


 言い換えるなら、婚約の打診にオッケーしないと罪に問うぞって事じゃない!


 おのれ、カリエル! 1回目の人生のみならず、2回目の人生でも私を殺りにくるなんて! しかも急展開が過ぎる!


「腹パンも膝蹴りも、いたいけな少女が取った、変態行為に対する正当防衛でしょうが!」

「いたいけな少女は、殺意漲る腹パンも、膝蹴りで金的狙ったりも、絶対しませんよ?」

「ふぐっ。ついうっかり、恨み節が炸裂しただけよ」


 手加減なしでやっちゃったのは、間違いない。


 けれど私は、いたいけな12歳の子供の力よ。死にゃしないとタカをくくって、しっかり狙って力をこめた。


 タミョルにはバレていたようだ。


「恨み節って、王子とは初対面でしょう?」

「……乙女に秘密は付き物よ」

「ハイハイ。いつか話して下さると嬉しいですよ。タミョルはお金の次に、お嬢様の味方です」

「そこは一番の味方でいて欲しかったわ。ふて寝するから」

「ハイハイ。それじゃあ、これからちょっと窓とドアの外が騒がしくなりますが、気にせず寝て下さい。ちょっと大瓶持ってきときます」

「……お父様め」


 タミョルがお金云々と言ったのは、フラグね! 給金支払い主(お父様)から、私の脱走防止策決行命令が下ったのね!


 タミョルが出て行って程なくして、窓とドアの外に、木の板を打ちつける音が同時にし始めた。


 お風呂はともかく、トイレ対策……その為の大瓶か!?


「はっ! 待って! 育ち盛りの少女なのよ! 食事対策が抜けてるわ!」


 とハッとしたら、ドアの一部が平べったく四角に切り取られた。


「ん?」


 何かしらと思っていたら、蝶番と板で小窓を作った!? 食事対策か!? 


「ちょっと? こんな小さな小窓から入れる食事なんて、少なすぎるんじゃない? へー、そう……ふふふ。本気ね、お父様?」


 飢えさせる気もないけれど、脱出させる気力を与える気もないと。


「ふん! だったらその監禁なんて、華麗に受け流してやろうじゃない!」


 食べ物の恨みは怖いって、思い知らせてやるんだから!

ご覧いただき、ありがとうございます。

お父様は普通に食事を与えるつもりしかありません。

でもフィデリカは小さい子供ながら、お転婆です。

なのであまり大きくドアを切ると、何かしら策を講じて脱出しかねないので、平べったい仕様になってます(^_^;)

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