表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぶち切れ聖女は激マズポーションを置き土産に逃亡する  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
1章〜ブチギレるまで

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/24

9.鼻血

「うぅ……やっぱり気持ち悪い」


 1回目と同じく、体をザラザラと舐められるような感覚に、鳥肌が立つ。


 分厚い結界に体をめりこませながら、じわじわと歩を進める。


 すると両手の平が、結界を通り抜けた感覚がした。次いで両腕。そして顔、片方の足の順に、気持ち悪い感覚を脱していく。


 ゆっくりと目を開ける。予想通り、すぐそこに異形の男性がいた。


 最後にもう片方の足を引き抜きにかかりつつ、うっかり男性の顔に見とれてしまう。


「間近で見ると、とっても綺麗な顔をして……へ?」


 男性に顔に見とれすぎた。足を引き抜き損なって、つんのめってしまったのだ。


「うわっ……とっとっ、へぶっ」


 慌てて片足を引き抜こうとしたものの、結局引っかけたまま転んだ私は、再び顔面を勢いよく強打した。


「綺麗な顔に見とれて、集中力……切れてしまったわ……顔と乙女心が痛すぎるぅ……」


 半泣きだ。半泣きで、再び顔を擦る。


 まさか、これって魔国式の罠!? 美顔で油断させて転ばせるなんて、やるわね!


 片足を結界に引っかけたまま、痛む顔面を両手で押さえてゴロゴロ転がって、痛みに悶えつつ堪える。


 結界にぶつかった時の比じゃない! 喉の奥に血の味を感じるわ! 口の中、切ったの!?


「何者、だ……」


 暫くゴロゴロしていれば、低くてくぐもった声が耳に入った。


 思わず動きを止めて顔を上げれば、ケモックとよく似た金色の瞳と目が合った。


「ケモ……」

「おい、間抜けか」


 何ですって!? 突然の暴言に、ケモックと呟きかけた言葉を飲みこむ。


「大方我に、とどめを刺そうとしたのであろう。だが結界に囚われた挙げ句、間抜けな面を曝しおって」


 男性は怪我が一番酷そうな脇腹を押さえ、ゆらゆらと揺れつつも、立ち上がる。


 随分な暴言を吐いてくれるわね! そりゃ、今は地面に顔をぶつけて、どこか腫れてるかもしれないけれども!


 内心では罵詈雑言を並べるも、口を引き結んで一旦、堪える。


 相手は魔国の住人だ。1回目の人生で、魔国の住人である師匠は言っていた。


 魔国の住人は総じて、好戦的なタイプが多いのだと。


「私は敵じゃ……」

「丁度良い。そのまま死ね」


 私の言葉を遮った男性が、片手を空に上げる。


 直後、バリバリと雷のような火花が、男性の手の平に宿った。


 嘘でしょう!? いきなりの殺る気!?


 思わず驚いて、頭を庇って丸くなる。


 中和魔法を体に纏うけど、防御魔法のように攻撃をガードする類の魔法とは、根本的に使用目的が違う! 駄目かもしれない!


 そのまま、体感では何分も――実際には数十秒くらい?――経っているはずだけれど、どうしてか雷には襲われず……。


 恐る恐る、ゆっくりと顔を上げた。


 すると男性は、訝しげな表情で私を観察していた。


「………………お前、外の子供か?」


 男性は何かを思案してから、言葉を選ぶように、慎重に口を開いた。


 せっかくやり直せた2回目の人生は、ここで終了かもしれない。


 回帰直前に感じた死の感覚を思い出して、体が竦む。


「こ、殺す?」


 震える声を絞り出した。


 男性は、そんな私に殺る気を削がれたらしい。大きく息を吐いて、頭が痛そうな顔になり、火花を消した。


 脇腹を押さえたまま結界に近づき、私の隣でしゃがむ。


 結界に足首を引っかけたままの、私のふくらはぎを、自由な方の手で掴むと、男性が私の足に中和魔法を纏わせた。そのままゆっくりと引き抜いてくれる。


 その後、私の顔をじっと見ると……え? 苦笑した? 何で?


「脅かして悪かった。ほれ、これで鼻を押さえておけ」


 男性が懐から、白いハンカチを差し出して……ん? 鼻?


「気づいておらんのか? 鼻血が出ておるぞ」

「……嘘!?」

「ああ、素手で触るでない。ほれ、使え……くくっ」


 ガバッと体を起こして鼻下を触ろうとすれば、男が素早くハンカチを当てて私の手をガードした。


 男性が笑ってしまったくらい、間抜けな顔だっただろう。恥ずかしくて、顔面が熱くなる。


「あ、ありがとう……ござまいます?」


 男性の殺気は、もう消えている。何より、ハンカチで押さえてくれた時の手つきが、とても優しかった。


 ケモックの人間版のような外見もあって、私の中の恐怖心は霧散していく。


「いや、良い。ふふっ、いや、笑ってすまぬ……くくっ」


 それに謝りながらも、笑いを抑えきれない男性の顔に、どうしてか懐かしさを覚えた。


 男性とは初めて会ったはずなのに、不思議ね。

いつもご覧いただき、ありがとうございますm(_ _)m

さっそくブクマやポイントを下さった方も、ありがとうございます(〃ω〃)

まだの方は、よろしければ頂けると、やる気が爆増します(*´ω`*)

よろしくお願いします!


◇お知らせ◇

ベリーズファンタジーより新刊が発売されました!

【稀代の悪女】と作風が似て、シリアスが逃亡する書き下ろし作品です( ´艸`)

noteとはてなブログで販売サイトを勝手にまとめているので、試し読みしてお好みでしたら、是非ともご購入下さい!

◎note◎

https://note.com/arashihanako1/n/n69e8ad362b89

◎はてなブログ◎

https://arahana-ashika.com/entry/2026/02/15/124149

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ