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なろうラジオ大賞

アドベントカレンダー

作者: 地野千塩

 どこの世界にもお局さんは居るものだが、まさかキリスト教会にもいて、ボス役をやっている人がいるとは、知らなかった。


 彼女の名前はMさん。たぶん年齢は五十歳ぐらい。アメリカの教会から転会してきた私がとにかく気に入らないらしく、当たりも強い。数人で縄張りを作り、私の根も葉もない噂をばら撒いていた。


 牧師に相談したが、Mさんは献金額も多く、なかなか逆らえないらしい。まさに害悪お局、老害、古参とも言えよう。以前も私と同じような新入りをいじめ抜き、教会から追い出した過去もあるらしい。


「困ったね。Mさんとはどうしたらいいですか、神様」


 もう祈る他ないと思った。神様が試練の為、嫌いな人と出会わせる事もあると牧師からも聞いたし。


 すると、「アドベントカレンダー」という単語が思いつく。今の季節はクリスマス前だ。クリスマスまでの日々を数えるアドベントカレンダーは教会とも縁が深い。聖書の言葉のものももちろん、菓子や入浴剤、紅茶などが入ったアドベントカレンダーはクリスマスまで日ごとに開けるのが楽しみなものだが。


「Mさん、クリスチャン向けのおススメのアドベントカレンダーはありませんか?」


 正直、アドベントカレンダーは毎年いろんなものを買っているので、Mさんに聞くほどでもない。


「はあ? アドベントカレンダー?」

「ええ。Mさん、何かいいのはありませんか?」


 それでも無知なふりをしてMさんに質問し、頼ってみた。


 不思議な事に、頼ってみると、Mさんの態度も軟化してきた。ある日、家族からも馬鹿にされ、寂しかった事なども語られてしまう。そんな話を聞くと、Mさんも責められない。その気持ちに関しては何となく分かる。


 そして今年も十二月二十四日がやってきた。アドベントカレンダーの最後のマスを開ける。中からは小さなキャンディが入っていた。最終日の割には地味だが、こんなもんかもしれない。


 本当のクリスマスは地味で映えない。イエス・キリストが産まれた場所も底辺といってよい場所だった。


 夜からはイブ礼拝もある。今年はMさんの幸福も願いつつ、イブ礼拝に出席したいと思う。


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