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真の聖女軍に攻められた国の話

作者: 山田 勝

【イ、イヤァアアアアアアーーーーーーーーー】



「オホホホホ、どうぞ。この屋敷でお暮らし下さい」


「妾がそんなに憎いのか?」

「まさか、王妃教育感謝しておりますわ」


 王妃の住まいは、旦那の墓を壊して、その上に家を建てさせた。旦那と近くにいたいと言うので、私が提案をしてあげた。遺骨は基礎を作るときに混ぜてあげたわ。


 あれはヒゲ親父を愛していたからね。


 私はフランカ、真の聖女、ヒーローのヘンドリックと共に追放された王国に凱旋した。

 ざまぁの真っ最中だ。

 この王国は私の祈りがなくなって不作の連続だという。


 婚約破棄をされ、国外追放されたら、ダキア公国の公子に見初められ、公国は豊かになり。

 さあ、仇討ちだと挙国一致で決まったわ。

 私の祈りの他に、前世の記憶がある。数々のコミックの知識で連戦連勝だわ。






「フランカ様、王妃、自害しました」

「まあ、旦那様の近くに暮らせるようにしてあげたのに、お早く会いに行ったのね」


「「「さすが真の聖女様」」」


「それで、元婚約者ゲオルトと男爵令嬢はどこにいるのかしら」


「近くの小都市ソマリに逃げ込みました。軍を派遣します!」

「まあ、早くざまぁをしたいわね」



 ヒーローのヘンドリック公子にお願いして、軍を進めさせた。

 手のひらを返してゲオルトは私にすがってくるかしら。

 男爵令嬢の泣き喚く姿が想像出来るわ。




 ☆☆☆ソマリの街



「ソマリ防衛軍の最高責任者をドム子爵に任命する」

「・・・畏まりました」


 はあ、絶望する。私は文官のドム子爵だ。この街で最高位の文官だ。

 騎士爵よりも上だが、この都市は侯爵の領地だ。

 上司に指図出来る立場になってしまった。

 軍の職制上は上だ。軍ってそうなっている。


 でも、胃が痛い。



「子爵!大変です。降伏した王妃殿下、自害をされました」

「何だって!」



 実力行使をしている奴らに話し合いは出来ない。皆は止めたが、王妃殿下一行は王都に向かった。

 前の陛下の墓所がある。せめて、近くに住まわせて欲しいと懇願をされたが、

 何でも、陛下の墓所を壊し、その上に屋敷を建てて幽閉させようとしたそうだ。


 何だ。この倫理観の欠如は?愛する者の上に住む?


 そして、今の陛下は、王太子だったゲオルト様だ。



「はん。お前が司令官?まあ、任す」

「キャハ、ゲオルト、街を見に行こう」

「おう」



 彼は、学園の卒業式で、フランカ・・・自称真の聖女との婚約破棄をした。

 これで良かったかもしれないが、フランカは国外に追放、新興国のダキア公国で公子に見初められ、我国で虐待をされていたと訴えて、軍をまとめて攻めて来た。


 辺境伯、陛下は戦死をされ、王都は陥落、残存王族はソマリの街に避難。

 本来ならここは王都防衛、流通の要だ。


 セオリーをぶっ飛ばして、直接攻めて来やがった。


 幸いな事に、ここの城壁はしっかりしているし、兵糧はある。

 しかも、冬期だ。通常、冬は流通が途絶えるから、各家庭も食料をどっさりため込んでいる。


 春になれば、農作業でダキア公国の兵も帰りたがるだろう。

 三ヶ月も耐えればいいのだ。



「ドム様!真の聖女軍が攻めて来ました!」

「撃退しろ!」


 パンはパン屋に任す。

 真の聖女軍は、おかしい。通常、時間をかけて穴掘りや投石機で城壁を壊すはずが、


 新兵器『ハシゴ車』なるもので、攻めてくる。

 言うなれば、3階建ての建物に車輪をつけたものだ。


 城壁につけて兵を送り込む。


 この戦法、『ハシゴ車』を引く兵が大勢死ぬ。

 それでも、真の聖女軍はひるまない。


「撃退をしました!」

「ご苦労・・・」


 しかし、『ハシゴ車』の攻略法は確立している。王都攻略中に軍部が開発したのだ。

 火矢で狙い撃ち。


 対抗して、水をかけて燃えにくくしているので、こちらは油をかけて火あぶりだ。


 戦争ってそうなっている。


 何回か攻めて来たが、城兵たちに恐怖が襲う。



「やつら、火だるまになりながらも戦うのをやめない」

「腹をぶっさしても、斬りかかって来る」

「何で、同じ戦法を?」

「あ、陛下と王妃だ!」




「やあ、息災か?」

「フランカなんて、よゆーよ。よゆー!」


「殿下、いや、陛下!」

「王妃殿下まで」


「おう、お前ら、飯食っているか?」


「はい、それだけは・・・」

「前の聖女様のおかげで蓄えだけはありますから、ヒィ、申し訳ありません!」


「ああ、何だと!って、そうだよな。あいつ、自分の力のおかげで困っているのよ。これからベルタつれて、傷病兵のとこ行くところだ」


「そーだからね。私も聖女だからね!」




 ・・・・・



「陛下と王妃殿下が、街を練り歩いています」


「ほお、それで、士気はどうなったか?」


「それが、反発する者もいますが・・」

「妙に大丈夫だ感が蔓延しています」



 これはいいのかもしれない。もし、最高司令官が、兵の前で落胆していたらどうだろうか?

「王妃殿下、一日五人しか、治せません。しかし・・・」



『私が治すのは重体者だけだからね。私の力を見せてやるわ。擦り傷ぐらいならツバでもつけていなさい!』



 傷病兵の看護所で、そう言い放つ。そして、実際、重体者は一命を取り留めている。

 王妃殿下は並の聖女だ。力を重体者に集中しているのか?



「子爵、大変です!陛下が勝手に人を動かしています!」


「何をしている!」


「フランカ・・・に、その、クソを食らわせるんだと、敵陣に続く川に糞尿を流しています。都市の賤民たちが妙に乗り気で」


「はあ、何やってるだか・・」


 いや、これで、いいのかもしれない。都市の汚物問題が解決したか。

 フランカが来る前は、馬糞や人糞で肥料を作っていた。

 聖女や土魔法師の力は限定的だった。


 仕事のなくなった賤民たちの怨嗟の声が上がった。


 これは、イケるぞ。



 なら、年上が少し頑張るか。


 真の聖女軍は聖なる軍隊だ。

 略奪は行わない。

 聖女の力でダキア公国は毎年豊作で力をつけている。


 商人や芸人たちが出入り出来る。


 噂を流させた。



「あの聖なる森の木を切って、ハシゴ車にしたら、ソマリの民は戦意を喪失するでしょう」


「降伏した兵を前面に押し出せば戦意を喪失すると思います」




 ・・・・・・



 この作戦は上手くいった。士気は向上し、情報を得ることが出来た。ソマリの住人が神聖視している森の木を切るように噂を流させた。

 先陣を切る王国の民は、そのまま寝返る者が続出した。



「・・・何て、非道な。神聖な木を!」

「薪にしている。神木まで」


「おい、お前ら王国民だろ!」

「ヒィ、助けてくれ!奴らおかしいんだ!」



 降伏した王国民から内情を聞く。スパイが混じっているかもしれないが、城門は信頼できる者で固めているから、大丈夫だろう。降伏した王国民は分けて攻城戦の最前線に立たすから、これで、ソマリの住人の死傷率は下がるだろう。



「何故、あちらさんは同じ作戦を繰り返すんだ」

「何でも、頭の中に戦術書があって、その通りにやれば勝てるって、フランカが聞かないんだ」


「ほお、その戦術書の名前は・・・」

「分かりませんが、リボク、リシン、なんて言葉を使っています」

「変な新兵器を作りまくっています」


「まさか、黒髪族か?」


「このままじゃ、カンキの作戦をするしかないとか・・・」

「ゴロツキの集団の長をカンキと呼んでいます」



 しばらくして、そのカンキの作戦が分かった。


 こちらの兵士の死体を切り刻み。磔にして見える所に晒す。



「ウゲー」

「ヒドイ・・・」

「やってやる!」

「行方不明になった夫だわ・・・私も戦うわ!お手伝いぐらい出来るわ!」



「「「「オオオオオオーーーーー」」」



 この作戦はあちらさんもすぐに悪手と気がついたようだ。

 一応、真の聖女軍だからだ。


 しかし、戦場が一変する。


 ハシゴ車は出てこない。


 その代わり鉄の大筒が出てきた。


「何だ。あれは?」


 火をつけている。火炎魔法か?それにしてもあそこからは届かないぞ。



 ドカーーーーン!


 火柱が立った。鉄の大筒が爆発したのだ。


「あれは・・・」

「火薬でございましょう」


 火薬で何かをしようとしたことは分かった。

 失敗したのだな。



 それから、みるみる内に真の聖女軍に疫病が蔓延し弱体化していくのがここからでも分かった。

 汚物を川に流した効果が現れたのだ。


 しかし、向こうの士気は落ちない。水を遠くの街から運ぶようになった。これで大分戦力はそげたか?



「何でも、『ざまぁ』を完遂すると言っています」



 一度、勝てば、こちらの勝ちなのだ。

 様子見の諸候も、女神教会もこちらの味方になるであろう。



「しかし、これではっきりした。相手は黒髪族だ。転生したタイプであろう」


 黒髪族、不思議な異界渡りの力を使い。魔族やドラゴンと戦っていた。

 勇者とも呼ばれる。

 各国が召喚しまくったが、やがて、人為的な召喚は女神教で禁止されるようになった。


 理由は、良い者だけが来るとは限らない。一国をも滅ぼしたことがあった。

 転生者なら、保護され。アカデミーで知識を正しく生かせるように導かれるが、


 フランカ・・・は黙っていたな。

 あ、陛下が執務室にやってきた。



「おう、子爵、ドムだっけ」

「陛下・・」


「俺の処置、間違っていたと思うか?」

「処置は間違っていませんでした。しかし、その後の処遇が間違いだったと思います」


「フン、婚約破棄は正当で、国外追放したのが間違えだったと貴様は言いたいのだな」


「はい、制御出来ない力は・・・抹殺が良策かと」


「フン!今更だ」


 これは、当時の強硬派の考えだ。

 フランカは、何回言っても、祈りをやめなかった。

 おかげで豊作地獄に陥った。職を失った者が多数いた。



 だから、陛下は婚約破棄をして、遠ざけたのか?



「黒髪族を探せ。この街にもいるかもしれない」



「畏まりました」


 俺は黒髪族を探させた。

 何か攻略のヒントがあるかもしれないからだ。


 しかし、100人を超える人達がやってきたが。


 明らかに詐欺の者や。


「ヒヒヒヒ、私にお任せ下さい」

「却下」


 そう思い込んでいる者や。


「あたし、夢を見ました。ドラゴンに乗って空を飛んでいました」

「あっそ、却下」


 ただの黒髪の者ばかりだ。


「この黒髪、どうですか?」

「お帰り下さい」



 いないのか?そうだろう。鰯の群れのごとくいたら、この世界は滅茶苦茶だ。




 戦線は膠着状態だ。


「やつら、畑を作り始めました!」

「まさか、年をまたいでここにいるつもりか・・・」


 考えたな。真の聖女が祈れば、それだけで豊作だ。


「それどころか、王国民でも参加する者が現れました」

「日々、多くなっています」


 これは、深刻だ。


「あの、子爵様・・」

「何だ。今、忙しい・・・学徒兵か」


「昨晩、同期と酒場に行ったときです・・・一人のローブを羽織った少女が食事をしていました。見ない顔です。ローブと杖・・奇妙な魔法杖を持っていたので、お話をしました」



 ・・・話題は、あの爆発です。皆は議論していたのです。


「君、流れの魔道士?この前の爆発は何だと思う?」


「・・・大砲」

「たいほう?」



「火薬の爆発を利用して、鉄の玉を飛ばす」


「いや、飛ばないだろう」

「帰る。勘定はここに置く」


 ええ、その時見ました。目は紺色です。しかし、フードから黒髪がはみ出ていました。それも、真っ黒、月のない夜を思い出しました。






「それだ!君、有難う。後で報奨金を渡す」


 すぐに宿が特定した。冒険者だ。


「え、招集に応じない?」


「・・この国の民ではないと言っています。筋は通っております」


「なら、私が行く」



 宿についた。私は正装だ。

 勇者かもしれないからだ。



「あの、お昼寝をしています。起して参ります」

「いや、結構、このまま待つ」


 夕方になり。

 やっと、対面できた。


 頭を垂れ。教えを請う。


「当職は、王都防衛を任されております。ドム子爵でございます。勇者様におかれましては、ご機嫌いかがでしょうか?」



「最悪、門をでられない・・・勇者違う。私はアリサ・ニッタ」



 名乗ってくれた。魔道士タイプか?

 何だ。杖は、木と鉄で出来たものだ。


 目は紺色だが、黒髪だ。この世界の黒髪は、何か色が混じっている。

 しかし、彼女の髪は真っ黒だ。黒髪族は平民でも家門名を持つ。

 これらの情報から混血か?



「ではニッタ卿、どうか、教えて下さい。あの新兵器は何ですか?」



 話を聞いた。火薬の爆発力で鉄の玉を飛ばす。あの爆発は失敗したとの話だ。だが、それもいずれ完成するであろうと。


「次の敵の出方は・・・焙烙に火薬を詰めたものを使う・・・手榴弾みたいなものだ」


「それは・・」

「爆発する玉だ」


「どう対処すれば如何でしょうか?」

「黒色火薬は水でしける。導火線の方が難しい。使うとしたら、自爆覚悟の攻撃・・」


「さすがに、自爆はしないでしょう」


「真の聖女軍の本質は十字軍だ。宗教の熱狂を攻撃力にしている」


 十字軍は分からないが、時たま、魔族に聖戦を仕掛ける強硬派か?


「水に弱いのですね。承りました」


「もし、宜しければ、この戦局に関わる作戦について、ご教授願いたい」


「やってもいいが、条件がある・・・」



 四日後、少女の言うとおりになった。

 奇妙な火のついた玉を持った兵がせめて来た。


 バン!ドカーン!


「魔道士!ウォーターボールだ!玉を狙え」

「はい!」


 威力はさほどではない。

 導火線の縄が短くて自爆する者。

 城壁に特攻したはいいが、爆発しなくて、矢の集中砲火を浴びるもの。


 ハシゴ車を使わずに、直接ハシゴをかけて攻めてくるようになった。


 敵の死傷者多数。しかし、我が軍は、恐怖に駆られた。瓦解するのは時間の問題かもしれない。

 ただでさえ。敵は圧倒的多数だ。

 城の守備兵4千人、支援をしてくれる者を入れても一万に届かない。


 対して、敵はダキア公国の動員できるレベルを超えている。五万は超えているとの推察だ。


 少しでも緊張感が切れたら、城門は開かれ、メンフォース王国は瓦解する。



「おう、ドム、お前、いい加減に敵を撃退しないから、クビな」

「そーだからね!」



 そう来たか。まあ、仕方ない。


「俺たちが、フランカを軽くやっつけてやる」

「そーだからね」


 若い側近をつれている。数十人だ。

 これは・・・・『ざまぁ』とやらをされて死ぬ気だ。



「お前、どっかに行け」


「させません!策はございます!・・・」



 あの少女から策を授かった。


 花火ギルドに、王国債を発行して、在庫を根こそぎもらった。



「はあ、材料が手に入らねえが、こんなもの、本当に花火だぞ」

「いいから、有難い」



 鍛冶職にも発注した。



「はあ、何だこりゃ。鉄の筒の魔法杖モドキを作れって」

「いいから、遠くからそれっぽく見えればいいから」



 城兵にあの少女の杖を模したものを持たせて、立たせた。


 すると、敵陣は途端に静かになった。



 シーーーーン



「攻勢が止りました。斥候部隊が前に出ています」

「よし、城兵にはボウガンを撃たせる姿勢をとらせよ。それから、火薬を爆発させろ」


「畏まりました」


 バン!バン!


 斥候は逃げ去った。


 こんなことを何回も繰り返したら、敵にバレた。



「何だ。テッポウというのはデマだったか」

「馬鹿!真の聖女様が間違えるわけがない!失言だ。処刑する!」


 バシュ!


「まあ、どこかで、異世界の文献を漁ったのね。こざかしい。前へ出るわ!」

「了解だ。フランカ!」


 フランカは、城が見える位置まで来た。


 その時。


 バン!


 銃声が響いた。しかし、いつもの事なので誰も気に止めない。


「あら、ここから・・・」


 グチャン!


 バタン!


 いきなり。フランカの頭がスイカのように吹き飛んだように見えた。実態は7.62ミリ弾が頭に命中したのだ。


「ヒィ、テッポウは本当だった。真の聖女様!・・・どうしたらいいのだ・・・」


「真の聖女様は生き返るはずだ!」

「敵の邪法に真の聖女様は負けないぞ!頭が生えてくるに違いない!」



「ヘンドリック殿下、敵が城門を開き撃って来ました!」

「戦え。ウグ、グハン!」


「今度はヘンドリック公子の胸から血吹雪が!」



 ☆城壁塔の中


 スウ~


 ダン!


「スウ、吐く・・・撃つ、次は羽の兜でいいか?」


「はい・・・勇者様」


 私は、アリサ嬢に仕事を依頼した。

 彼女の仕事を見ている。


 床に毛布を引き。うつ伏せで寝て、銃というものを構えている。


 真の聖女、敵国の公子、将軍を『狙撃』している。


 これは、何百メートル先の敵を・・・精密に殺している。


 しかし、撃つときは完全に無防備だ。だから、口封じに私の命を欲したのか。


 野戦なら、これに勝てる者や対抗できる兵器はない。



 ☆回想


『策はある。報酬はお前の命だ・・・・』

『何だ。そんなもので宜しいのですか?家族は死にました。私は仕事でたまたまこの都市にいたから生き延びたのです。家族の仇が討てるのなら安いものです』

『・・・そうか。分かった』



 ・・・・・・


 戦いは終わった。


「さあ、殺して下さい。秘密を守るためですね」


「やっぱ、やめた。お前は凡人だ」

「え?」


「お前が正当だと思う金額を冒険者ギルドの口座に入れておけ」


 少女は去った。



 ダキア公国、人口80万人のうち。軍属も含めて10万人が遠征に参加していた。その多くが逃走途中に諸候達に各個撃破される。

 賠償金として領土を削られる事になった。


 私はまだソマリの街の文官だ。

 報酬金を賜った。


 爵位はそのまま。新たな上級役職も無し。

 それでいい。私に王宮の文官は無理だ。




 真の聖女軍を討ち取った諸候に対しては、陛下は冷たい。

 また、こいつらが、真の聖女軍になる素質があると踏んでいるようだ。



 と思っていたが。


「おう、王都は真の聖女の匂いが消えないから、ここを王都にする」

「そーだからね。だからドムは宰相だからね」


「そ、そんな」


「お前程度がちょうどいい。この世界にチートは不要だ」


 そうか、私はチートでないからか。

 後に、陛下と王妃は行幸を好み。


 国民の人気を得るようになった。



 この国に真の聖女はいらない。この世界にチートはいらないのだ。







最後までお読み頂き有難うございました。

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