秘密の花園計画
「 〈〉 」・・・魔法を発動する時に使う魔法言語 (呪文) を表現。
《》・・・主人公の持つ能力 智慧者が話していることを表現。
『』・・・回想をしていたり思っていることを強調したりしていることを表現。
お祖母様に服を作って欲しいと頼まれた後、少し談笑してからお祖父様と父様の仕事が始まるとのことで、解散となった。
私は今、5歳の誕生日プレゼントに貰った部屋の前にいる。
部屋と一言で言っても中はそれなりに広いし、場所は皇女宮の東側にある。
私が『何も置かないで』と言っていたので今は部屋に何もない。だから余計に広く感じる。
だが、私は今からそのでかい部屋よりももっとデカいものを作ろうとしているのだ!!!
何を作るのかは出来てからのお楽しみ!!
今は人払いをしていて、部屋には誰もいないから思う存分に出来そうだ!
さぁ、1年間考え抜いた部屋の内装を今、作ろうではないか!!
「それじゃ、智慧者。一緒に頑張ろう!」
《了解です、ミシュ》
「 〈空間調整〉 」
部屋改革その一、空間魔法の"空間調整"で部屋の空間を広くするべし。
床は円形状にして広く、天井部分はアーチ状にして高いイメージを。
天井はガラス張りにして、自分の意思で開け閉め可能にする魔法〈自動ドア〉を発動させる。
ガラスを支える格子には風属性の魔法〈装飾〉で花や蔦などの自然をモチーフにした装飾を女郎花色で細かく施し、ガラスとガラスの間に入れていく。
格子のベースの色は白で折れることはないが、万が一揺れた時には揺れを軽減してくれるものを使った。
壁は、元々あった部屋の材質が木材だけだったので、それを再利用して付け加えることにした。
壁一面をガラス張りにして、格子をつけ、その周りに木材を蔦状にしたものをアクセントで、内側に床と壁下の周囲、壁上と天井の周囲に括り付けた。
...よし!これで外装は完成だね〜
一応、確認はしておこうか..。
「智慧者、これで災害とか人災とかが起こっても平気?潰れたり倒れたりしない?」
《確認します。.............確認が完了しました。結果、ある程度は大丈夫だと判断しますが、大きすぎるものでは対応できないでしょう。強化魔法を格子とガラスにかけることをお勧めします》
「なるほど〜...じゃあ、強化魔法かけとくか...」
対象を強くイメージして....
「 〈強化魔法〉 」
「どお〜?智慧者〜?」
《確認します。.............確認が完了しました。結果、どのようなことが起こっても耐えられると推定します》
「OK〜ありがと〜」
《報告》
「ん?」
《個体名ミシュタリカ・エヴァ・リナ・ムーンはレベル20に到達しました。ミシュタリカ・エヴァ・リナ・ムーンの能力『智慧者』は『大賢者』へと進化します。『智慧者』を『大賢者』へと進化させますか?》
「あ〜まじか....魔力量の変動はどれくらい?」
《『智慧者』から『大賢者』へと進化するのに必要な魔力量は10000です。ミシュタリカ・エヴァ・リナ・ライトムーンがやろうとしている部屋改革に支障は出ないと推定します》
「なるほど〜、それじゃあ、進化を希望します!」
《了解しました。進化を開始します》
そうか〜智慧者が大賢者になるのか〜...ほんとゲームみたいだわ...。
まぁ、私はゲームやったことないんだけどね(笑)
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《ミシュタリカ・エヴァ・リナ・ライトムーンの能力『智慧者』が『大賢者』へと進化しました。よろしくお願いします。マイマスター》
「お、よろしくね〜大賢者!智慧者からやることは引き継いだりしてるの?」
《はい》
「そっかそっか〜そしたら大賢者、これからよろしく!」
《こちらこそ、よろしくお願いします。マイマスター》
マイマスター...新しい呼び名だな...。まぁ、ええや。続き行っちゃお〜!!
さて、外装は出来たから...あとは内装行っちゃおう!
今日、この日のためだけに妖精ちゃんに聞いたり本を読んだりして植物を集めてたんだよね〜!
とりあえず、通路は作らないとかな〜でも本当に理想を言うと、床も野原みたいにしたいんだよな〜...。イメージは人工芝の土がないver.みたいな?できへんのかな?
「大賢者」
《はい》
「この床の部分なんだけど、人工芝の土なしver.にしたいの。出来る?」
《検討します》
「よろしく〜」
《.........検討した結果、可能であると判断します》
「ほぉ!!!どうやって!?!?!」
《方法はいくつかありますが、成功する確率が一番高いやり方は土の入ってない人工芝を魔法で生成します。それを床一面に敷き詰めれば完成です》
「なるほど...そしたら他の植物を植えることが出来なくなりそうな気もするんだけど、そこんとこどうするの?」
《それがこの案の懸念事項の1つです》
「懸念事項なんかい!」
《解決策は2つあります。1つは別の案。もう1つは床と壁の間に敷き詰められてる木を生成媒体にします。
マスターが植えようとされているのは魔法植物ばかりなので、周りにある木にマスターの魔力を貯蔵しておけば可能となります》
「なるほどね〜。別の案っていうのは?」
《別の案は幾つかありますが、2番目に成功率の高いやり方は土入りの人工芝を生成し、土と芝の境目に薄く触っても跳ね返されない結界を貼ることです。マスターの持っている植物は現在、魔法植物ばかりなので、土の養分はあまり入りませんが、普通の植物を植えたい場合には土の養分が必要となります。その時のために土はあったほうがいいと考えます》
「ふむ....なるほど....確かにそうだわ。
そしたらこういうのはどお?魔法植物は魔力というよりは魔力の源の魔素を吸うよね?だからその魔素がなくなった時のために木には私の魔力を注いで貯蔵しておく。そして、土入りの人工芝を生成し、土と草の間に薄く触れても跳ね返されない結界を発動させる。これは床と壁の間の場所で、四方に刻印する」
《良いと思います。成功率は90%です》
「おぉ〜まぁ、結構可能性は高いね。じゃあ、それで!
ただ、問題は...触れても跳ね返されない結界なんだよな〜。そんな魔法多分実在しないよね?」
《はい。実在しません。なので、開発することをおすすめします》
「やっぱりか〜!!まぁ、自動ドアも装飾も私が開発したし、元日本人にとったら魔法の開発なんてお手のものなんだけど...まぁやりますか...」
そう、実はこの世界の魔法言語って縛られてないんだよね〜。ただ、ルールがあって、文字数を短くすれば短くするほど、魔法の威力がぐんと跳ね上がるんだよ。発動するかどうか呪文じゃなくて、イメージが大事。イメージが出来ていなかったら魔法も発動しない。
だから元日本人で漢字を知っている自分は魔法の呪文開発はお手のもの。あとはイメージの問題って感じ。まぁ、イメージもアニメとか漫画とかちらっと見てたからなんとなくわかる。
これくらいだったらいけるな。
魔法陣は...元々存在する結界魔法の魔法陣を使って、中心の魔法言語を漢字にしたらいけるか。
よし。
呪文後の結果と魔法陣をイメージしながら...
「 〈生成 ; 接触結界〉 」
「どお?大賢者?成功した?」
《確認します。............結果、成功しました。結界魔法を生成したことから光属性が使用可能になります》
おぉ〜進化した!ラッキー♪
ほんじゃ、とりあえず今ある接触結界は解除をして...と。魔法開発と魔法植物の生成を繰り返していたらいつの間にか手に入れていた能力開発者を手に入れていたんだよね〜。
それを使ったら人工芝ならぬ魔工芝が出来る。
.....ん?待てよ??魔工芝が出来るんだったら...貯蔵能力のある芝を作ったら魔素の貯蔵媒体が出来るんじゃね?魔力から魔素への変換は魔法植物には例外なく付けられているから作らなくてもいいし...。
うっわ、うち天才だわ〜!よっしゃそれでいこ〜
「 〈生成:魔工芝〉 」
ポンッという音と共に出てきたのは私がイメージした魔工芝そのものだった。
これを能力千里眼でイメージ通りの構造ができたかを確認しよう。
........よっしゃ!成功や〜!!
部屋改革そのニ、花園には芝を敷くべし。
よし、いっちゃお〜う!
「 〈複製〉 」
それから私は、ひたすらにコピーしては床に置きを繰り返していた。
その作業を続けて20分後。
「やっと床終わった〜!!!ほな、次いこか!次は結界やな」
部屋改革その三、部屋には結界をはるべし。
木と床の間に刻印するか...ん〜いや...床と壁の間に挟まってる格子に刻印するか..そしたら丁度土と草の境目に来るし、東西南北に刻印したら保ち続けれるよな...よし、そうしよ!
刻印...我流でやったほうが成功率高いんだよな〜...大賢者に聞いてみるか..。
「大賢者、刻印魔法だけど、我流でやってもいい?」
《構いません。ミシュのやり方ですることをおすすめします》
「OK〜ありがとう」
大賢者からお墨付きをもらったし、これでいこう。
そんなこんな考えていたら1つ目の刻印場所に着いたようだ。
じゃあ、早速。魔法陣の形をイメージしながら...
「 〈刻印 ; 接触保持結界〉 」
成功したかどうかを確認。
『千里眼』
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接触保持結界魔法陣
接触結界と保持結界を組み合わせた魔法陣。
対象:接触結界:魔工芝 保持結界:木の輪・魔工芝
現象範囲:刻印場所全域
現象:1. 結界に触れたとしても触れた対象が弾き返されることはなく、触れた対象の形に凹む。凹む範囲は結界対象による。
2. 結界対象を結界を発動した際の状態のまま保つ。
開発者:ミシュタリカ・エヴァ・リナ・ムーンライト
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ふむ。じゃあ、これを床は東西南北の四隅に刻印するか〜!
今いるのは北側だから、東 → 南 → 西 の順で回るとするかね。
これで、最後〜っと!
ふぅ...よきよき!
ん〜そしたら、天井の木の輪には保持結界だけでいいかな?
「 〈浮遊〉 」
おぉ〜めっちゃいい眺め!!
「 〈刻印 ; 保持結界〉 」
よし、これを残り3箇所につければある程度は完成かな?
あぁ〜でも普通の結界?を付けないと...。変な人に来られても嫌だし。
まぁ、ここは王族居住区だから正当なやり方で入ってきてる人だとこの場所まで辿り着けれるのは極一部。と言っても結構な人数が出入りしてるんだけど...。
ただ、私は自分のテリトリーには許したものしか入れたくないタイプだから結界はるしかないか〜。
どこに貼るかな〜?やっぱり床...だよな〜。
っと...終わった〜。
やっぱり浮遊って移動速度早いなぁ〜。便利で助かる〜!
床に降りてっと。
...次は結界はって、そしたら魔法植物植えるか...。
範囲指定はどうしようかな〜?....ん〜....入口よりも外側からがいいから...よし!
魔工芝の下にある床に
「 〈刻印 ; 結界〉 」
効果は?
『千里眼』
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結界魔法陣
発動者と発動者が許した者のみしか入ることのできない結界魔法陣。
対象:ミシュタリカ・エヴァ・リナ・ムーンライトの花園全域・ミシュタリカ・エヴァ・リナ・ムーンライトの花園から半径10m
発動者が許した者:0人
現象:1. 発動者が許した者のみが結界をすり抜けられる。
2. 発動者が許した者以外が結界に触れると、弾き飛ばされ、共通語で『私は(結界対象名)に侵入した者です』という魔法文字が背中に浮かび出る。これを消すことは発動者にしか出来ず、発動者は侵入者の位置を知ることが出来る。
開発者:ミシュタリカ・エヴァ・リナ・ムーンライト
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成功〜♪
やっぱり、侵入者には容赦なくお仕置きしないとね〜!ふふふ!
あ、そうそう。
「 〈ガイド・アレクス。弥代 朔。桜樹 李月。3名の入室を許可します〉 」
ピコンッ
《ミシュタリカ・エヴァ・リナ・ムーンライトの花園への入室可能者は3名になりました》
これでよし!
次行こか〜♪
部屋改革その四、花園には魔法植物を植えるべし。
まずは、高いものから植えていこか〜!
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よし!植物は植え終えたよ〜ん!
あとは、花園の中心部に行ってっと
「 〈転移〉 」
ん〜!!いい香り〜!!
あ、そういえば換気も付けなきゃだわ!後でやらないとね。
まずは、ここにベッドと、机、クローゼットは確定でしょ?
あとは....ん〜....。
《机をお茶会でも使用できるテーブルにして、椅子を普段は4脚置いておくのはどうでしょう?その日の人数によってテーブルの大きさも調整できるようにし、空間魔法で椅子を用意しておけばいつでも取り出すことが可能となります。雰囲気も花園に合うと思います》
.....。
「頭良すぎだろ大賢者...。ナイスアイデアだ!!!」
《ありがとうございます(ドヤァ)》
よし、それで行こう!!
「 〈生成:テーブル〉 」
ポンッ
4脚程、椅子が入るかな?くらいの大きさで、白い円形・猫足のテーブルが出てきた。
もちろん大きさの変更は自由だ。やり方はテーブルの中心に魔力を注いでイメージをすればいいだけ!なんと素晴らしいものなのだ!!
ここから花と蔦をモチーフにした装飾を女郎花色でしていったらいいか。
「 〈装飾〉 」
よしよし。上出来。
椅子は...白色で座るところは石竹色のふかふか絨毯。縦に長方形の穴が3つ空いている背もたれに猫足か。こちらも装飾はなしっと。
テーブルとセットでいいか。
「 〈装飾〉 」
OK〜よきよき!
めっちゃいいんじゃない?
テーブルたちは真ん中より少し玄関側の西に置こうかな。
あとは..ベッドを中間に置くか少し南側に置くか...ん〜よし。
東側に少し逸れた位置に置こう!あとはデザインだけか..テーブルが白と黄色系とピンク系の色だから...。
あれでいくか。
「 〈生成:ベッドセット〉 」
ポンッ
白の板目で作られたキングサイズのハイバックレザーデザインベッド。
マットレスはふっかふか!まるで雲の上にいるかのようだ。
掛け布団は若葉色ベースで女郎花色と銀白色で花と蔦、月柄に刺繍されている。
そして、天蓋が付いているのだが...なんと、頭上は開け閉め自由!!気分によって変えられる優れものだ。
天蓋は白ベースに女郎花色で、月と風と森の様子が刺繍されている。
ヘッドボードの真ん中には百合型のランタンを付けて、周りにはアクセントで小花を置こうかな?香りはラベンダーがいいな〜...魔法で作っちゃえ!
「 〈生成:魔法植物,小花〉 」
ポンッ
ちゃんと香りはラベンダーで白・桃色・紫・承和色の小花だ。
これらをランタンの周りにつけたらベッドは完成だ。
よし!あとは、鏡とクローゼットなんだけど...どこに置こう?
あまりクローゼットは中心に置きたくないんだよね〜。
ん〜...あ!そうだ。
西側に入口があるから...ん〜北東でいっか!
北東の自然の奥まで行って....あった!
壁と床の格子を隠している木の輪に...
「 〈刻印 ; クローゼット〉 」
で、刻印した魔法陣に魔力を注ぐと...若緑ベースに銀白色で、花と蔦や空?の自然が描かれたクローゼットが出てきた。
そして、このクローゼットの扉を開けると...よし!ちゃんとクローゼットだ!!
そしたらこの場所で、この国ではしたないとされている服装が出来る!!
よっしゃぁ!!これができてしまえばもうこっちのもんだ!!
それじゃあ、完成かな?..と言いたいところだが、天井がちと寂しいな...?
どうしよ....。ん〜...あ、天井の木の輪に藤の花を生やしているように置いていったらいいか。
で、ライト代わりに格子の天井部分に円形になるように光の刻印をしていったらいいか...。
ほんで、その後に転移陣を床に付けたらいつでもここに来れるんじゃん!?
うちって天才だわ....それで行こう!!
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「完成〜〜〜!!!!!!」
《お疲れ様でした。マイマスター》
「ありがと〜大賢者!まさか天井の装飾に30分かかるとは....思わんかった....。でもなんとか理想の花園が完成して嬉しい!!
ん〜ここの名前、何にしようかな〜?幻想的な花園だから、前世の言葉で... dreamy garden とか?...いいんじゃない?!?よし、これで決定!」
ピコンッ
《ミシュタリカ・エヴァ・リナ・ムーンライトの花園がdreamy gardenに変更されました。これ以上の変更は不可となります。よろしいですか?》
「よろしいです!」
あ、あと、お兄様たちの入室許可も出さないと。
「 〈ルイラーダ・トゥカ・リナ・ライトムーン。リシャルカ・サレス・リナ・ライトムーン。ラジェラース・ディ・ヴィオール。エーリネル・カイ・ヴィオール。スーザン・レア・ヴィオール。パラディノ・リナ・ライトムーン・ヴィオール。ティサーナ・ヴェルナト・ライトムーン。ヒュデルファス・ラトーレ・リナ・ライトムーン。ミヤビ・カミクラ・ライトムーン。ファルビノ・カイル・リナ・ライトムーン。10名の入室を許可します〉 」
ピコンッ
《dreamy gardenへの入室可能者は13名になりました。》
よしよし。
それじゃあ、次は洋服を....
ドンガラガッシャーン!!!!!
8話を読んでいただきありがとうございます!
次回もよろしくお願いします。