4話の続き
今日も朝起きて洞窟に行く準備をする。「よし、今日も大丈夫だな。」全身をチェックし、ドアを開けて洞窟へ向かう。食堂の横を通り魔道具で温まっているおにぎりをとり洞窟へ向かいながら食べる。この時間帯は色々と忙しいようなのであまり定員の人と顔を合わせたことはない。「今日も美味しかったな。」腹もちょうどいい感じになった。
洞窟の前に立つといつもと変わらない光景があった。そしていつもどうり洞窟の前に脱出用の魔力を設置して洞窟に入っていく。そういえば昨日話しかけて来たパーティーの人はどうなったのかなとか思いながら意識を切り替えて洞窟の中に入っていく。
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「ねえ、昨日の話の続きをしてよ。」
今日は上手くいかなかったこともありいつもよりも早めに帰ってきてご飯を出してもらう事にした。それでも待たないといけなかったので食堂で待っていると話しかけられた。
「えっと昨日の話何処まで話したっけ?あ〜、緊急クエストが来て皆で行くことになったとこか。じゃあその続きから始めよっか。」そういう時首を縦に激しく振ったので話す事にした。「再開するところは近くの街に来たところから。」そういって話し始めた。
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冒険者ギルドで緊急の時だけ乗ってもいい馬車に乗って近くまで来てもらった。「すいやせん。私とこの馬ではここまでしか行けないので後は徒歩でおねげえします。ところで本当に行くんですかい?失礼かもしれやせんが何人も送りましたがあんた達みたいなパーティーはいなかったんで気になったんだ。」俺達は馬車の中でひとしきり騒いだ後爆睡をかましてたから心配になったんだろう。そう言われた俺達は少し笑って「ああ、ありがとう心配してくれて。でも俺達は大丈夫だ。不測の事態が起こっても大丈夫なように危ないことをする前はこうやってリフレッシュをするんだ。」とリクがこたえると「それなら良かった、もしかして死にに行く前に騒いでるのかと思ったんで、では生きて帰ってきてくれ。」そう言って来た道を引き返した。
「みんな行くよ。」馬車は限界まで近づいてくれた。30分歩けば街に着きその30分後には戦闘が始まっていると考えると怖くなってきたが自分に出来る精一杯のことをやろうと思った。みんなの表情もいつもよりも強張っている気がした。
街につくと、この世界特有の高い壁がありまだ侵入はされている気配はなく、一安心したが、広い街なのにも関わらず出歩いている人が少なくて不気味に感じた。少し歩き街の中の前線の方に行くと鍛冶師が10人くらい死にそうな顔をしながら武器を研いだりしており、小さな建物では僧侶らしき人が何人も行ったり来たりしている。
「これは酷いな。これがブラック企業というやつか。」ロイは周りの状況を見て呟いた。俺がリクと二人で冒険していた時にボソッと言ってそれを聴いていたリクに説明をしたんだが憶えていたのか。まぁ、意味は少し違うが。
「そうね、でも感傷に浸っている暇は無いわ。誰かから情報を聞いて回らないと行けないわ。取り敢えず私とロイで聞き込みをしましょう。」サブリーダーのスイがそういった。ブラック企業はスルーしたようだ。
「ああ、確かにな。俺とスイで聞き込みをしてくるから皆んなは自分の出来る事をしててくれ。」そう言って二人はテントの方へ歩いていった。
僧侶のハナは「手伝ってきます。」と言って負傷者がいそうな方へ行った。
残ったのは俺とリウだけだったので、話しかけた。「これ、戦況はどんな感じだと思う?」
「う〜ん、悪くもないが良くもないって感じかな正直。外の方からは魔法の音があまり鳴っていないしさっきから見ている感じ怪我人は多くいるが重症者があまり見えない。だが戦いが終わっている感じもしない。つまりボスがまだ生きていて膠着状態が続いているって感じかな。師匠はどう思う?」
「俺もあながち同じ考えだが今の状況はおかしいと思っている。リウも言ったように重症者があまりいない、だが負傷者が多すぎる気がする。というこう事はだ、恐らくどこかの高ランクのパーティーが犠牲になってボスかその周りの幹部辺りを倒したと思った。そして普通型のモンスターを他の冒険者が倒しているのが現状なのではないだろうか。」
「なるほど、ボスは高ランクが倒し、中、低ランクの冒険者は普通型のモンスターを倒しているから致命傷になっていないという事ですね。なるほど確かにそうかもしれない。」
ロウと話していたらリクとスイが帰ってきた。周りを見た後「ハナは後で話す。そして軽く現状を聴いてきた。偵察班の情報によるとボスが三体、普通型のモンスターが大量にいて一体のボスは討伐が終わっており、二体目はもう少しで狩る準備が出来る様だ。その二体を刈り切ったらこの国で最強のパーティーが三体目を討伐するそうだ。そしてその二体目を狩るために今準備をしているようだ。そして俺達のやる事はこの普通型のモンスターの討伐だな。」
「おう、分かった。それじゃあ俺達は取り敢えず普通型のモンスターを刈り続ければいいのか?」
リクは頷き「ボス周辺のモンスターは余り強くないようだが油断せずに行こう、なんせ数が多いらしい。出発は後で言う。」そう言って二人はまたテントの方へ戻っていった。
また、二人になってしまった。「取り敢えず周りの奴らに話でも聞くか?」周りには結構な数の冒険者がいた。その中では見知った顔もちらほらいたので話し掛けようかと思う。
二人で聞き込みをしようとしたとき壁の上から鐘の音がなった。
「敵が動いてこちらに向かってくる。直ちに戦闘を開始する準備をしろ。」誰かがデカい声で言っている。
来たばっかりの最悪なタイミングで戦闘が開始するらしい。「はぁ〜、死にそうだな〜」と小さい声でそう言うと「師匠は戦い方が上手いし大丈夫だよ、それに私がいざとなったら守るから。」リウはそう言ってくれた。「え、惚れてもいいか?」緊張を解すために軽口を言いうと「本当に?」と恥ずかしそうに言ってきたので「これっぽっちも心は動いてないぞ、冗談だ笑、」三人が来たのでそっちを向く。
「よしみんないるな。現状は敵もこっちも戦力が拮抗している状態らしい。だからこの戦いで勝ったほうがこの戦いの勝者に大きく近づく。だが無理はしないでいつも通りにいくぞ。」みんなが頷く。
「で、俺達のやるべき事はモンスターを狩りまくればいいんだよな?」
スイが答えてくれる。「はい。ですが私達は負傷者優先でいきましょう。」
「じゃあ、行きますか。」俺がそう言うと、「それいっつも僕が言っているのに、」とロイが言って皆がクスッと笑った。
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「今日も色々聴かせてくれてありがとね〜、これサービスだよ。」今日の夕食は唐揚げだったがいつもより一つ多く入っていた。
「ありがとう。ここの唐揚げは美味いんだ。」俺はかぶりつく。「はっは、そう言って貰えると嬉しいね〜。またこいつに話を聴かせてくれると助かるからいつでも食堂に来てほしいわ。今日はここまでだけどね。」
宿の息子はウトウトしていたので母親が持っていった。そしたら遠くの方で「まだ聴く」と声が聴こえた。
だけどその後は聴こえなかったので聞き分けの良い子だな、とか思いつつ俺も部屋に入り寝ることにした。