21まさかの
俺は長かった1日を終わらせるために宿に入る。この状況で店の人は怪しんでこないかが心配だが取り敢えず入ろうと思う。入ったらまずは受付のテーブルがありその奥にいかにも強そうなおばさんが座っていた。「いらっしゃい!」真夜中にも関わらずでけえ声で挨拶をしてくるのは初めての体験だ。
俺はおばさんの方に近づいて行き「これウルフからここを紹介されたんで来てみたんだが部屋は空いているか?」とウルフから渡された紙と一緒に質問をしたところおばさんは紙を受け取ってテーブルの引き出しに突っ込んだ。
「ああ、空いてるぞ!だが1部屋しか貸せないな、この紙1枚で1部屋って契約なんでな。それに特別な部屋以外は全部埋まっちまってる。」奥の壁を見てみると確かに全部の部屋が埋まっていた。まあしょうがない、俺はやましい事をしないがこの魔法使いのコスプレをしている奴と一緒には正直同じ部屋でも嫌だが早く寝たいので今日は妥協しよう。それにここ以外で空いている店もあるか分からんしな。
「ああ、分かった。それじゃその部屋で頼む。」というと下から鍵を出してテーブルの上に置いた。それを取ろうとしたのだがおばさんは手を退かしてくれない。「おい、こっちは1日中忙しくて早く寝たいんだ!だから早くその手をどかせ。」少し大きい声が出てしまったがおばさんは気にしていないようだった。
するとおばさんはニチャニチャ笑いながら話しかけてきた。「貸してやろうと思ったんだが後ろに背負ってるの奴が少し面白そうだったんであんたと話したくなったんだよ、さっさと話してくれるならこの手を退かしてやる。」と言われたので俺はため息を吐きながら質問に答えることにする。今日何回目のため息なんだ、、
「その子はどうしたんだい?」おばさんが簡潔に質問してきたので「今日この店に来る途中襲われてたんで助けたんだ、そして警備隊の奴らに渡そうとしたんだが無理と言われてそこら辺に捨てても可哀想だったんで背負ってきたんだよ」俺の本当の感情は一旦隠して伝える。
「ほう、あんた優しいんだね、それが本当かどうかは分からないがウルフの紹介だから信じてあげる。それじゃあ答えてくれたお礼にいい事を教えてあげる。その服、魔法使いが良く着るローブなんだが実は冒険者学校の生徒の服だよ、それも今年入学する奴だ。確か冒険者学校の中でしか効果を得られないはずだからこの辺で着てるのはおかしいけど間違いないよ。あんたも将来金になるのを助けられてラッキーだね、それともあんたまだ若いからその子の事を狙ってなのかな〜!」マジでこの世界快楽がエロと酒しか無いのでいちいちエロ目的と絡んでくるのがめんどくさすぎる、ラニ然り。
「はぁ〜、な訳ないだろ、冒険者学校ってまだ子供が入るところだろ?俺は28の冒険者でそんな奴らに性欲は湧かない。」というかこの世界で一度も人間に対して性欲を感じたことがない、恐らくこの世界でモテる代わりにそういったことが出来なくなる呪いを神がかけたのだろう。
「ふ〜ん、そう言う奴から落ちていくんだ、私はそう言った奴らを何人も見てきたからね〜。」まだニチャニチャ笑いながらこっちを見てくる。この世界年齢関係なく結婚は出来るからな、マジで気持ち悪いな。まぁ15はほぼ大人か?いややっぱ無理だ。
「はぁ、そうですか。こんくらい話したら満足か?」すると手を鍵から離して俺の方に投げてきた。「ああ、満足だ、ここにくる奴は金を落としてくれるが気持ち悪い奴が多いからたまにはあんた見たな奴と話したくなるのさ。それにアンタが凄く悪い奴ではないことが分かったしな。ああ〜そうそう言うの忘れてた。もし盛んになっても気にしないで良いぞ、この宿はそう言うのを売りにしてるからな。後そっちに行けば鍵に書いてある部屋があるから探しな。」確かにこの時間になると普通の宿だったらアンアン聞こえてくる事があるのだが全く聞こえてこない。それだけはこの宿の良いとこか、
最初に言っていた言葉を無視して「感謝する。」と言って部屋に向かった。部屋を探していると前からデブい男と露出が多い若い女がべたべたとしながらすれ違った。なるほど少しさっきのおばさんの言っていた事が分かったきがした。ただ俺も性欲が凄かったらああなっていたのかもと考え、ないようにした。
鍵に書いてあった絵の部屋を見つけ中に入る。中は普通の宿でベットがありカーテン、椅子とテーブルがあるだけの簡素な作りになっている。俺は背中に背負っている子をベットに優しく置き寝袋を出して寝る準備をする。最後に今日貰った短剣を取り出す。鞘から取り出し刀身を見てみると凄い綺麗で惚れ惚れする、これで今日の嫌な事を忘れられる。本当に良い物を渡してくれた。俺は数分見て満足し寝ることにした。
「というかコイツも冒険者学校の生徒かよ。」小言を言いつつルイ然りコイツ然りどうやら俺は冒険者学校に行く運命らしい。




