19回話
俺は早速貰った短剣を触ろうと思い「使ってもいいか?」と聞いたら 「いいぞ、だがあけるだけじゃぞ。」と言われたので早速使ってみる。持った感じは普通の短剣だが早速馴染む感じがする。鞘から剣を抜いてみると体が少し軽くなった気がした。「これは、」声がでた、何故なら実感できるくらいの効果があったからだ。この世界はアイテムや人による強化は可能らしいが実現はされていないと言われている、というか昔に消え去ったらしい。というのも味方をバフするには味方の魔力を知り魔法を使わないといけないし一回使ったらバフが継続ではなく一瞬だけになるので魔力がすぐに枯渇するので普通に魔法を撃ったほうが効率が良い。武器は魔力刻印での自己バフはあまり強化されないらしいので武器自体を強くした方ほうが使いやすく壊れにくくなるので廃れたらしい。俺も使ってみた感じ面白いと感じたがあまり使いたく無いコレクション用と感じた。だが今は最高の気分だ。
「どうじゃ?」ウルフが聞いてきたので「ああ、触ってみた感じ体が軽く感じるのだが実践で使えるのかは分からないが恐らく使えないと感じるな。結局は短剣ということで普通の剣と比べると力が足りないのでそこを補える魔力刻印が必要なのだがそれが自己強化しかも体が軽くなるだけと考えるといくら切れ味がいいといってもまだ使ってないが強くはないと思う。だが今は最高の気分だ。」俺はやはりアイテムが好きなので今まで見たことがなかった物が自分の手にあるので過去最高に興奮している。
「それは良かったわ、交渉でアイテム好きが喜ぶもんを用意してくれと言ったらこれを出されたんじゃ。正直これを出された時はワシも訝しんだがそいつは年月を共にしてる中だったから信用してやったんじゃ。気に入ってくれてよかったわい。」少し笑った後普通に会話をしていたのだが顔つきが変わった。「それでワシが聞きたかったのはドラゴンのアイテムをどこで手に入れたかじゃ、これは言いたくなかったら言わなくてもよい、単純にワシが気になるだけじゃ。」仕事をしている奴はしっかり仕事モードとオフモードを切り替えるみたいだな。
俺は隠す理由もないし話すことにする。「村の名前は忘れたが冒険者がよく中継地点として使う場所の近くに洞窟がありその洞窟を調べてみたところドラゴンを発見し討伐した。」
ウルフは目をしばしの間見開いてすぐに落ち着き少し考えた後、「もしかして村の名前はリアか?そこに腕がいい薬屋はなかったか?」恐らく通っていたアイテムを渡していたところか?やはりあの薬屋は知っている人は知っているところだったのだろう。リア、確かそんな名前の村だった気がする。「腕が良いかは分からないが素人ながら見ても良さそうだと思ったし確かリアって名前の村だった気がする。」と答えると「なるほど、」と言って考えこんだ。
5分くらい経っただろうか「はぁ〜、」とため息を溢して話し出した。「お前とは知り合ってからは長いし信用している、それにドラゴン倒したんじゃ、話しても良いだろう。」少し話しても良いかと聞かれたので了承する。
「お前はこの国、いやこの世界を救った勇者の話を知っておるか?」唐突に勇者の話になった、「確か御伽話で悪いドラゴンを倒しお姫様と結婚して子供を産み家族で仲良く幸せになったみたいな話だったか?」この話にもドラゴンが出てくるが関係はあるのだろうか?
「そうだ、その話じゃ。そして主が倒したドラゴンに恐らく関係のある話にもなっておる。実はこの話には続きがあるし省略されている部分があるのじゃ。」俺は黙って話を聞くことにする。
「勇者はドラゴンを倒した時ドラゴンの血と鱗と歯を持ち帰りどこかに隠してしまったそうじゃ、争いが起きる為、そしてこれはお主が持ってきた2つと一致するのじゃ。何故隠したのかは勇者はほぼ全てのスキルを持っておりドラゴンにどのくらいの価値があるのかを見抜いていたからじゃ。そして特に危険視したのがドラゴンの血だったようじゃ。勇者曰く持っていなかったスキル不死が戦っていた時にかかったドラゴンの血によって獲得できていたからだそうじゃ。そしてそれを知らずかどうかは分からないがこの国の勇者を恐れた他の国の王が姫を殺し変装し勇者殺そうとしたのじゃが失敗し怒り狂った勇者が理性は残っていたのじゃろう、国の者を皆殺しにせずその国の王様と周りの奴を皆殺しにしたのだそうじゃ。そして勇者は監獄に入り誰もドラゴンのアイテムの場所を知る者がいなくなったのじゃ。」なるほど確かにそう聞くと勇者がどこかに隠した物が俺が見つけたアイテムで正解なのかもしれない。
「そして長い時が経ちそんな物は無かったと思っていたら10年前にこんな物を見つけたのじゃ、リアの近くに隠したと書いてある物を、勇者の文字で。だが我々も大々的に捜索すると勘繰られるからワシと友人のパーティーで捜索した時洞窟を見つけたのじゃ。」
「そこが俺が攻略したところってことか。」
「恐らくそうじゃ、だが我々はボスの部屋に行く前に引き返したのじゃ、勝てると思わなかったからじゃ。だからお主が勝ったのは少し信じられんがアイテムがある以上信じることにしたのじゃ。」俺は結構凄い事をしたのかもしれない。
「はぁ〜、まあそんな事はどうでも良い、取り敢えずワシが伝えたかったのは、、勇者の形見を見つけてくれてありがとう。これは冒険者ギルドの長としての言葉じゃ。」頭を下げられた。
ウルフが顔を上げた後「取引は終わったのじゃがこれからの予定は何かあるのか?」と聞かれたので「冒険者学校に行こうと思う」と伝えるとまたびっくりした顔をした後笑い出して「頑張るのじゃぞ!」と言ってくれた。一応応援しているのだろう。
「そういえば宿屋はあるのか?」と聞かれたので「今から探すよ。」と答えたのだが一枚の紙を渡された。
「もし泊まれるところがない時は下流のホテルに泊まっても良いぞ、そこはワシのお気に入りじゃ。」そこには上流の別荘と書いてあった。
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ウルフと別れた後飯を食って探してみたのだが中々見つからなかったので紹介された方へ行くことにする。結構夜も暗くなってきており人通りも少ない道に入ってしまった。
「こっちで、あってるよな。面倒ごとが起きる前にさっさと行こう。」独り言を呟いてホームレスの横を通り過ぎ右に曲がると女の子を取り押さえた2人組の男がいた。
魔力刻印 武器に刻まれている武器を強化する刻印で刀身が長ければ長いほど大きければ大きい程難しくなる