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高ランク冒険者の気まぐれ人生  作者: shy
気楽な人生
12/34

12過去の話2

 今目の前に立っている奴の第一印象はとにかく気持ち悪かった。人になる一歩手前のような感じもするしあそこからモンスターにもなりそうだ。それに腹が膨れているのは、、考えるのをやめておこう。まずあいつが狙ってきそうなのは俺だ。俺はロイよりも魔力が少ないし見た目もあまりゴツくないので殺しやすいと思って攻撃しているのだろう。さっきはロイが油断をしていたから襲ったのだと思うだが今からは俺だろうな。そう思っているとやっぱり俺に来た、だがそんなことは慣れているので攻撃を受け流していく。一撃一撃は重いが受け流せないほどではない、その間にロイが攻撃を仕掛けるがまるでダメージが通ってない、皮膚すらも切れない様子だった。普段は魔力を見ればどれくらいか分かるのだが今は魔力が見えないので相手の強さが分からない、がこのままではジリ貧で殺されるのは目に見えている状態だった。逃げようにもスピードもかなりあって逃げ切れるかも怪しいし、応援を呼ぶかそれとも、、、。


 俺は少しだけ考え、「ロイ、少しだけ時間を稼いでくれ!」俺がでかい声で叫ぶとそれを汲み取って直ぐに対応してくれた。その間に俺はバックから小型の銃のようなものを空へ打ち込み、そこら辺にあった石を思いっきり遠くへ投げて、ボール型の物を取り出した。


 「展開。」そう言うと光り出して半径百メートルくらいの魔力で作られた障壁が一瞬でドーム型に展開された。これで内側からも外側からも出入りができなくなった。化け物はこの展開に驚いて動きを止めたがその隙にロイは距離を取るために思いっきりぶっ飛ばし俺の方に来た。


 「何も分からんがお前を信じる。」短い言葉だけ俺にいった。こいつはやっぱ俺ではなくこの世界の主人公だなとか思ったりしたがまずは集中だ。


 化け物が飛ばされてからほんの少し時間がたった。あれだけで死ぬことはないのは分かっているが何も起きないだけでも精神が削られる。


 「「はぁ、はぁ、」」常に集中して静かに構えているので俺達の息だけが聞こえる。そして遠くからこちらに近付いてくる気配がある。だがこの魔力量は、、


 「おい、あっちから人の気配がする、それも二人。」ロイが小さい声で話かけてきた。この範囲内かつ、いきなり気配が現れるのは罠の可能性がまあ百パーセントだろうが「行くのか?」と聞くと「勿論だ。」といった。


 気配があった方に近づいていくと木の枝に刺さっている他の冒険者が二人いた。それで恐らく魔力を作っている内臓のところを壊したのだろう、確か死んで間もない時は空気中の魔力くらいは持っており壊す事によって全身に多くの魔力が行き渡るようになる。だから俺の魔力探知でも分からなかったのだろう。ロイはこれを見ただけで歯を食いしばっていたが俺達が来た瞬間一人の頭を食い千切った。


 するとロイは直ぐに行動し始め「てめえ、なにしてんだ。」ロイには珍しく何も考えずに飛び込んだ。俺は止めようとしたが身体能力では勝てずに抑えることが出来なかった。そして斬りかかろうとした瞬間にもう一人の方を盾にし、一瞬鈍った所を蹴りでふっ飛ばした、そして俺を見てきた。俺は至っては冷静だが流石に死ぬのかな〜とか呑気に思っていた。そして戦闘が始まる。もう一人の頭を食い千切りそのまま死体を投げ捨て襲いかかってくる。真っ直ぐな攻撃なのでギリギリでいなしていく。流石に人を不意打ちで殺してきたからかパワーはあるが正面からの戦闘はあまり得意ではないようだ。俺もこの世界では強い方ではないが他の冒険者が酒やら女やらにかけてる金を全部アイテムにしているのでかろうじて戦えている。そして攻撃をいなしていると相手は一旦距離をとりそしてさっき殺した冒険者の剣をとった。


 「まじか、あれでモンスターかよ。」恐らく学習能力が凄まじく早く、俺らが剣を持っているのを見て持ち始めたのだろう。


 武器を持ったときこの世のものとは思えない程、口が気持ち悪い笑顔をしていた。俺もあんくらい気持ち悪く笑えたらもっとこの人生楽しいのかなとか思ったりもした。


 俺も腕につけていた籠手を外し手首を固定している物だけをつける、重さ軽減と手首を固定して捻らないようにする為だ。相手は今上機嫌でまだ気持ち悪く笑っているがあいつに持たれた魔剣も笑っているように見えた。そして眼の前から消えた、俺にはアイツが自分の力がどれほどなのか確かめているように見える、知能は高いように見えるが常識は無い子供のような存在なので惨虐性がとても高い。


 そして俺は考える。パワーもスピードも上がって経験値も上がり物理の攻撃はくらわない敵に一人で果たして敵うのかと、勿論敵うはずがない。だがさっきよりは戦いやすい何故なら武器を持って慣れるのに少しは時間がかかる、おまけにステルスだった敵に感覚で戦わなくてはいけなかったのが魔力を持った剣を使った事によって場所を感知できるようになったことで感覚じゃなく実力で戦えるからだ。


 素早い移動で後ろから攻撃したのに反応して咄嗟に受け止める、「おっもいな!」こんだけ経験値とアイテムで補っているのに、相手は剣の素人の筈なのに差がありすぎる格上の相手。いつ死んでも良いとは考えていたがこんな何にもないところで死ぬのは流石にごめんだった。


 「最後に残党狩りで二人でここに来て強敵とあたって仲間の顔も見ずに死ぬのなんかゴメンだ。」ポツリと言葉が出た。


 とにかく死にたくないという一心で何発か攻撃を交わしていたがそろそろ腕が持たなくなってきた感覚がする。それに気づいたのか今までと同じモーションだったのに全然威力が違う攻撃が飛んできて、横に逸らしたがそのまま体制が崩れた。あっ俺死んだな、そう思ったとき相手もさっきよりも口が上に開いていた、「にぃっ」と聞こえそうなくらい。そして振り下ろされる剣、俺は目を閉じると顔に生暖かい物を感じた。


 「遅くなって、、わりいな。」ロイが腕一本を犠牲に軌道を逸らして助けてくれたようだった。ここは魔法の世界なので腕をくっ付ける事は出来るが痛みは変わらないのでどんな思いで俺を助けてくれたのかが分かった。「作戦があんだろ?じゃあまだお前のスキルを使わせる事はできねえよなぁ!だから後は俺に任せろクラヨイ。」いつも危ない時、ロイは見栄を張るな。腕を斬られたと同時に敵もふっ飛ばした様だったので俺は冷静にバックから薬を無理やり飲ませロイの腕をひろい切断部分を物理的にくっつけ切断面に注射をうつ、すると人とは思えない程打たれたところの脈が出てきて無理矢理腕をくっつけようとする。


 「うわぁ、、、う、う、い、、あ、、あ。」ロイとは思えないような声を出してその場に倒れた。そして俺はロイに触る。


 「ありがとうな、大好きだよ。」ロイとさっき投げた石の場所が入れ替わった。

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