11過去の話1
皆で今後のことを軽く話した後、俺達は残党を狩るために集まっている所に向かった。戦闘が終わった直後だから多くの怪我人と布を被った多くの勇者が居たが俺達は悔しさを滲ませつつもそれを横目に早足で集合場所へと向かった。
「みんなありがとう来てくれて。私はAランク冒険者のリーヒ・デルトだ。私達は先陣達のおかげもあり今回の戦いで多くの犠牲者が出てしまったが無事に勝てた。しかし戦闘が終わったようにも見えるがまだこの街の近くには危ないモンスターがいる、それを少しでも減らすのが今回の目的だ。それに聴いた話によるとランクが高いモンスターは高ランクの冒険者が軒並み倒したらしいから俺達は低ランクのモンスターを狩れるとおもう。まあ聴いた話だからどこまで信用して良いか分からんがな、勿論これも危険な事だが誰かがやらなければならない。だから今戦力が集まっているときにやるのだ。勿論危なくなった時は逃げても構わない。」
リーヒの話を聴きながら周りを見てみると4人パーティーで集まっている人達が多いが今回の場合ヒーラーやら魔法使いが逃げられるのが心配だったりする。俺たちを含めて十組くらいいるようだが全員生きて帰ってこれればいいと願う。
「やっぱ、俺等みたいに前衛2だけは流石にいないな、やっぱり俺らって可笑しいのかもな。」俺は笑いながらロイに小さい声で話しかける。
「まぁ、前衛2だけなんてやらない方がいいことの方が多いし皆んないる方が安全だしな。だが俺達には俺達の戦い方があるから気にするな。確かに可笑しいのには変わりないがな、」ロイも笑ってくれた。
俺達で話していると「では、健闘を祈る。」と聞こえたので門の方に向かっていく。今回デカい戦闘が起こった方は壁が立っており普段はそっちに人が行くこともこっちに魔物が入ることも出来ないような感じになっている。
ではどうやってそっちのほうに行ったかと言うと一つの門があるのでそこを使う。先の戦いでも使ったが開けると強力な結界が張られその門には魔物が入れず人間だけが通れるようになる。
この街は、森と街を遮るように一直線の壁が建っている構造になっており、壁の近くは冒険者が頻繁に魔物を倒すので魔物が少なく壁が無い方は何故か魔物が出ないようで出るのは野生の動物くらいらしい、そして多くの魔物がいるのは壁の方の森奥の方だ。だが今回の騒動で壁の近くまでもが危険になってしまったので少しでも駆除してほしいということらしい、そうしないと市民が安心出来ないからだそうだ。市民は良いよな〜とこの時だけ思いながら森に入って行く。
「今回は、街を守るために招集されてあまり金は期待できなかったが今回ので元くらいは取れるだろう。」こういうのは元が取れないのは有名な話なので冒険者はクエストを受けなければ良いのだが誰ががこういう事をやらないと自分がいた故郷に誰も助けに来てくれないということが発生するので勿論嫌だが行かざるおえないと思っている。
「ああそうだな、これに関しては運が良かった。僕が最終決定でここに来る決断をしたから皆んなのお金が減るんだったら自分で皆んなに出そうと思っていたところだったから取り敢えず僕の懐は痛なくてすむね。」
うちのリーダーは強いクセに良いやつなのが面白い。本当にこいつのパーティーで良かったと思う。
「おいおい、そんな事を言うなよ。誰もお前の判断が悪いなんて思っちゃいないんだからよ。だけどそこまで言うならしょうがない、皆んなにご飯を奢れよな。」俺は拳を前に出すとロイ了承の意味も込めて合わせてくれた。
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「マジで半端ない数いるが他のメンバーは大丈夫なのか?」今までこなしてきたクエストより数は格段に多いがモンスターは強くない為、俺らにとってはそんな難しいクエストでは無かった。
「僕達でこんなに倒しているんだ、他の人はもっと倒しているか逃げているだろうね。」そんな事を話していると俺の採取用のバッグの中がパンパンになってきたので一旦帰ることを提案する。
「おい、バッグがパンパンだ。そろそろ帰ろう。」体感2時間くらい殺していたから疲れてきたな。数にして恐らく100くらいか?剣を次々と交換していったので切れ味が下がる事もなかったのがここまで出来た理由だ。
「ああ、そうするか。」ロイと二人で話すとすぐに遠くから何か嫌な気配がした。何の魔力も感じないただただ嫌な気配、こんなのは初めてだ。
「お兄さん達早くにげたほうがいいよ〜。もう少しで魔王候補がこっちに来るから。」どっかから声が聞こえたので周りを見てみると木の上に人が座っていた。
「ヤッホ〜、君たち運が悪いね早く撤退すれば良かったのに。」そう言って木から降りてきた。「これ記念にあげる。」手渡されたのは月落ちる占いと書かれた紙だった。それを見てもう一度顔を上げると誰もいなくなっていた。
「今のはなんだ?魔王候補ってなんだよ。それにやっぱり嫌な感じがする。」俺がレオに言うとなんにも分からないといった顔をしていたが俺の言葉で臨戦態勢をとってくれた。
俺の魔力探知はスキルなんで自分で習得したものよりも恩恵がデカい。簡単に言えばスキルは才能、習得は努力みたいなものだ。
そして今回は初めての感覚だった、高速で移動しているのは魔力がないからだ。この世界は魔力で満ちているので魔力がない場所なんてあるはずが無い、だから逆に分かった。そして近くでそれが止まった。一分、二分、三分と時間がたちロイは剣を閉まった。
「ふう〜、今回は久しぶりにクラヨイの予想が外れたな。本当に魔力探知の精度が良いから今の言葉はちょっと怖かったけどね、はは。」ロイが笑いながら話してくるとそれが動きロイの後ろから首元めがけて襲いかかってきた。それを感じた俺は声を掛けるより早く走りロイを突き飛ばした。「おわっ、」いきなり突き飛ばされて何があったのか分からないロイは変な声を出して倒れた。そして目の前には二足で立っているモンスターがいた。
顔、身体、腕、足どれをとっても人間みたいだ。だが生殖期はなく、毛も無く目も無く口から垂れているのは固まった血のようなものがついていた。
起き上がったロイはそれを見て直ぐに臨戦態勢をとってくれた。