10洞窟6
俺的にはすぐ倒したつもりだったが結構時間は経っていたようで辺りはすっかり明るくなっていた。それに思ったよりも身体は疲れているようで木に寄り添って寝る事にした。こんな事は初めてだな、なんでだろう。まあそんな事はどうでも良い事なんで取り敢えずアイマスクをして寝る事にする。
「ひゃっふー。最高だ〜。なんたって俺はて・ん・さ・いだからね〜あっひゃう。」今になって嬉しくなってきた。一人で大声で叫びながらアイテム袋から高い金を出して作ってもらった毛布を取り出し魔物避けの粉をばら撒き直ぐに寝た。
「おれの〜、元いたパーティーは〜、優秀過ぎて優秀すぎ〜。アイテム買い過ぎ倒し過ぎ〜、俺も優秀、はい、最高。」おかしくなって寝た。
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俺の元いたパーティーリーダーのロイは、俺の事をパーティーに誘ってくれたし、危ない橋は極力渡らないし、渡った橋も数えるくらいしかなかった。それなのに馬鹿みたいに強かったし単純についていって良かったと思っている。後から入ったスイもハナもリウも強くなりすぎた、だから俺はついていけなくなり自分から抜ける事を選んだよな。俺が抜けた事によって危ないダンジョンに入れるようになって今ではすっかりSランクの仲間入りだし俺は別の方向で頑張っているのでとても良い感じだ。ただそろそろ会いたいという気持ちも出てきた。そんな事を夢の中で思い出していると、遠くの方から足音が聞こえてきた。
「か〜、るか〜、なら返事しろ〜。」
どこかで聞いたときのある声が聞こえる、するとこちらに気が付いたのか俺の方に近づいてきた。
「大丈夫か、怪我は無いか。」あまり顔を見たことは無かったが多分今泊まっている宿の奥さんの夫とハイ、それとライトが近づいて起こしてくれた。
「いや〜、ハイがどうしても気になるって聞かなくて冒険者なんだから一日くらい来なくても当たり前だよ、と言っても聞かなくてな。でも本当に無事で良かった。」本当に人柄が良さそうな笑顔で笑ってくれた。
1日以上経っているし1日帰らなかった事もここに来てからはなかったので心配してくれたのだろう。
「いや〜、ごめん。案外てこずってしまいこんな時間になった。今回は助けに来てくれてありがとう。もしかしたら死んでいたかもしれない。」俺が一言言うと「冗談も言えるなら大丈夫そうだな。」と言って安心したようで一緒に村へ戻った。そして宿の夫妻に明後日に村を出ることを伝えた。
宿に着き今日は色んな事が終わって一段落ついたので一日中寝ようと思ったのだが体は言う事を聞かずにいつも起きていた時間に目を覚ましてしまった。でも体の調子もほぼ戻っていたので俺は王都にある冒険者ギルドに向けてドラゴンを倒した戦利品を送る事にした。バックから王都冒険者ギルド所長アーノルドに向けたパックン鳥を取り出し口の中に詰めていく、コイツは主な活用方法はバックで口の中は異次元バック、外は音が無く高速移動できる超高性能の魔道具だ、しかもどんな所からでも1日以内で届く優れもの。欠点をあえて挙げるならばバックの中は息が出来ないので人が入れないのと魔力を食いすぎるので充電のし忘れには注意、ぐらいで安全面は最高と言えるだろう。
ドラゴンの戦利品を詰め込み「よし、行け。」と言って投げると一瞬で見えなくなった。「うーん、」背伸びをして俺がやる事も終わったのでいつも通りご飯を食べに行く。すると、
「この前の続き!」簡潔に俺にそう言ってきた。今日から何も無いので「いいよ、でもご飯を食べ終わってからね。」というと前から人が走ってきた。
「すいません、忙しいだろうに。なんですけど何回も言ったんですが言う事を聞かなくて。」そう言いながら頭を下げてきたので「大丈夫だ、それよりも食事を頼む。」といった。すると笑って申し訳なさそうに「よろしくお願いします。」と言ってとキッチンの方に行き食事を持ってきて貰った。
ちゃっちゃとご飯も食べ終わりハイ君と一緒に自分の部屋に入って続きを話そうとしたらドアがノックされたので開けてみるとライトが立っていた。なんでこの部屋知っているんだ?と思ったが昨日この宿の夫が教えたのだろう。
「突然すみません。あなたの部屋は宿の人に聞きました。そして、まずこれ私から、パーティーの皆んなからは後日で渡します。」渡してきたものはフルーツ系の物だった。気を使わなくても良いのにと思いつつ「ありがとう、後で食べるよ。」といって受け取ると後ろからハイが出てきて「お姉ちゃんもきく?」と言われて俺をチラッと見た後部屋の中に入ってきた。内心俺の冒険者時代聞かれんの恥ずいな〜とか思いつつ自慢もしたかったので話す事にした。
「どんな話ですか?」率直な言葉が飛んできたので「俺の冒険の話だよ、本当に聴くか?帰るなら今出てって良いぞ?」と言うと周りを見渡して俺がたまに使っている座布団を見つけそれに座った。
「はぁ〜、長くなるから飽きたら出ていけよ。」俺は話始める。
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俺達が着いてから二週間が経った。最初の方は戦力がほぼ互角だったので拮抗状態になっていたが段々と増援が来て遂に決戦が始まった。この戦いのリーダー的な複数のパーティーが二体目のボスの討伐をやるようなのでそこまでの道を切り開くのが俺等の仕事だった。俺達はこの戦いの中では比較的安全な位置での戦闘だったので被害はあまり無かったが先頭のボス付近で戦ったパーティーはとんでもなく被害が出たらしいがボスが倒された報告を聞き俺たちは街に撤退した。「終わったな。」ロイはいった。「俺達が戦った時間はあまり長くはなかったがこの戦いで少しでも貢献出来ていれば良いな。そして今回は危ないクエストだと思ったが誰一人死ぬ人が出なくて良かった、、本当に。」今回は他のパーティーよりもランクが高くなかった為危険な所には行かなかってのが俺達にとってとても運が良かった。。
「俺達は俺達でしかできない仕事をしたから貢献したに決まってるよ。」俺は今の厳しい精神状態の仲間達に言葉を発する。
「そうですよ、皆がこうして無事に生きているだけで良い結果ですよ。」リウとハナも頷いてくれた。「まあ、確かにそうだよな。俺達は生き残った、ただそれだけだよな。ところでリウのその傷大丈夫か?」リウが防御に失敗して腕に大きい傷を負ったみたいだ。
「大丈夫。ハナに応急処置はしてもらったから。」折れているのか硬い棒っぽいものと一緒に包帯でぐるぐる巻きにした簡易的な治療で処置している。大丈夫ではないだろうなと思いつつこの世界なら一週間もすれば治るだろう。
「そっか。大丈夫なら良いんだがちゃんと自分の体は大事にしないと後で痛い目見るからね。そう言えばもう少ししたら残党戦が始まるらしい、ここは俺とヤロフで行こうと思う。危なくなったらすぐに撤退するから一緒に行ってくれないか?」
何も聞いていなくて驚いたが俺とロウで逃げ切れなかった時はなかったし強い敵もいないと思うので了承する。と言うか頷くしかないだろう。
この世界は魔法使いが攻撃力だけで見るなら最強なので外から攻撃すれば良いと思われがちですが巨大レイドボス、今の話のようなやばい敵の周りは特殊な空間になっており外からの魔法がほぼ通ら無いので、魔法を通す為に魔法使いを送り込みその空間に適応させて、その適応が終わるまで前衛が時間を稼ぎきり魔法で倒すか、前衛の圧倒的なパワーで倒すしか無いので甚大な被害が出てしまった。